田中道子 撮影/森田晃博

初めて現場に入ったとき鈴木(亮平)さんが“タマ、おはよう! 昨日まで鹿児島に行ってたからお土産だよ!”って入浴剤をくださって。その人柄の温かさが、みなさんに伝染したみたいに、現場が本当に太陽みたいに温かかったんです

 大河ドラマ『西郷どん』(NHK/毎週日曜夜8時~)で、品川宿にある宿屋、磯田屋で働く給仕・タマを演じる田中道子(28)。吉之助(鈴木亮平)が昔、出会った貧しい農家の娘・ふき(高梨臨)の同僚で、妖艶な美しさを放つ役どころだが、田中自身の美しさは“世界”からのお墨つき。なんと、2013年度『ミス・ワールド』の日本代表に選ばれた経験が!

「当時は、1日に野菜を最低30種類食べるなどストイックな生活で。本当はラーメンとか大好きなんですけど、そういうのも隠していました。とにかくモデル時代は、みなさんから見て理想的な内面、外面に見えるよう、たくさんの鎧(よろい)を知らず知らずのうちに背負っていた気がします

 就活で東京に来ていた際にスカウトされ、単身上京。両親の反対を押し切って、小さいころからの憧れだった“女優”になる夢を叶(かな)えるため家を飛び出したが、

上京したばかりのときは仕事もなく、タイ人の女の子とシェアハウスに住んでいて。お金がないからその子に“お昼作って”ってお願いしたらタイ料理を作ってくれたんですけど、パクチーが苦手で食べれなかったり……(笑)。でも、スカウトしていただいたことで、小さいころからの夢に少しでも近づけているのかと思うと、そんな貧乏時代も全然、苦しくはありませんでした!」

 モデルとしてキャリアを積み、2016年に夢だった女優デビューを果たし「素の自分をさらけ出せるようになった」と語る。

「女優のお仕事って、モデル時代に背負ってきた鎧をすべてとっぱらって、自分の個性をぶつけて裸一貫で勝負する世界。だから、最初は“個性を出すって、なんですか?”っていうところからのスタートで。でも、おかげで個性として自分の“好き”を発信できるようになって、昔より心が解放された気がします。だから、今は競馬とかラーメンとか好きなものは好きって隠さずにどんどん言ってますよ!(笑)

衝撃を受けた、あの言葉

以前、共演させていただいた生瀬(勝久)さんに“目が大きい人は目の演技だよ”って言葉をいただいたんです。セリフ合わせのときも“今のまばたき、するならもうちょっと後のほうがいいよ”など、本当にたくさんアドバイスしてくださって。まだまだ勉強中なんですが、そういった細かい部分を今回のお芝居でも生かせたらと思っています」

<プロフィール>
たなか・みちこ◎1989年8月24日生まれ。2013年『ミス・ワールド』の日本代表に選出、その後も主にモデルとして活躍。2016年にドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』で女優デビュー。主な出演作にドラマ『貴族探偵』など。