東出昌大 撮影/廣瀬靖士

「こういう撮影って、久々な気がします。なんだか恥ずかしいですね……(照)」

 これまでたくさんの映画やドラマに出演してきた東出昌大。そんな彼も久々の取材に緊張した様子だったが、シャッターが切られた瞬間からガラリと雰囲気が変わり、さまざまな表情を私たちに見せてくれる――。

 今回、東出が挑むのは自身にとって初挑戦となる月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(4月9日[月]夜9時スタート)。詐欺を生業(なりわい)にするも、小心者で早く足を洗いたいと思っている通称“ボクちゃん”という役だが、

みんなの暴走を止めようとするんだけど、最終的にはいつも翻弄(ほんろう)されるキャラクターで。そんな彼の姿が、素の自分に似ているなと思います(笑)。それに、彼はいつも他人をだましているようで、常に仲間からだまされているので、見てくださる方々にいちばん近い感覚を持っている役なのかなとも思います」

 実は、コメディー要素が多い今作に向けて、自分なりに勉強をしているんだとか。

「どういうふうにしたら人が笑ってくれるんだろうってことをひたすらに考えました。お笑いの方のライブ映像や、コメディー映画を見てみたり。でも、だからといってすぐにできるわけでもありませんし、二匹目のどじょうがいないように、同じことをやっても意味がない。僕らのオリジナルを作れるよう、“いかに笑ってもらえるか”を常に意識しています」

 しかし、努力家の彼にも苦手なものがあり、

1話のホスト役で激しく踊っているシーンがあるんです。撮影ではかなり踊ったはずなんですけど、すごいカットされていて。どうも僕のダンスが下手だったみたいです……(笑)

 和気あいあいとした現場で撮影は順調みたいだけど、実は困っていることが……。

「小日向(文世)さんが、いつも僕を笑わせようと仕掛けてくるんです(笑)。それがあまりにも面白すぎて“こひさん、本当にやめてください。笑ってお芝居ができないから”っていうやりとりを何回もやっています」

不安の中、“迎えてしまった”30歳

 ひとつひとつの質問に、丁寧に答える東出。とても落ち着いた大人の雰囲気をまとっているが、実は2月に30歳になったばかり。

「20歳になったときに“こんな20歳でいいのか”と思ったように、30歳ってもっと大人のイメージが先行していたので、こんな自分でいいのかなと。23歳でこの仕事を始めて、自分では頑張っているつもりになっていたんです。でもよく考えたら、頑張っていない大人なんていないなって気づいて。どこの畑を見たって、プロフェッショナルの方はゴロゴロいらっしゃるんですよね。そういう方たちから、たくさんのことを学びたいと思ったのと同時に、自分の存在がいかに小さいかを実感したんです

東出昌大 撮影/廣瀬靖士

 今回の月9をはじめ、これまで役者なら誰もがうらやむような作品に多く出演してきた。

 しかし、東出の口からは意外な言葉が。

役者としてまだまだだと思う一方で、“いつまでこの仕事をやっているんだろう”と、ふと思う瞬間があって。“仕事がある限りやり続ける”って、僕は言い切れるんだろうかと考えたときに、漠然と迷いが生まれるんです。たった1回しかない自分の人生、どこまでできるかわからない。でもだからこそ、やるからには一生懸命、頑張りたいと思っています」

“お願いだからだましてくれ!”

「撮影現場で誕生日のサプライズをしていただいたんですが、もうバレバレだったんです(笑)。でもせっかくサプライズをしてくれるんだし“えー!”って驚いたリアクションをしないと、と思って。スタッフのみなさんも、僕をだましているふうでしたけど、はたして僕が気づいていることに気づいていたんでしょうか……(笑)

ひがしで・まさひろ◎1988年2月1日生まれ。モデルとして活躍した後、2012年に映画『桐島、部活やめるってよ』で役者デビュー。代表作にドラマ『ごちそうさん』『花燃ゆ』『あなたのことはそれほど』『予兆 散歩する侵略者』や、映画『デスノート Light up the NEW world』『聖の青春』『関ケ原』など多数。