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 最近、電車の中や駅のホーム、スーパーやコンビニといった公の場所で、怒ったりキレたりする人が目につくようになった。駅員に怒鳴ったり、店員に理不尽な要求をぶつけていたりする人も。

 子どもの声を騒音とみなす、電車内のベビーカーに舌打ちするなど、以前は考えられなかった対象にまで怒りの矛先は広がりつつあるようだ。

 40代の女性会社員は、

「通勤途中、私と同年代の女性に、すごい形相で怒られたんです。ちょっと荷物がぶつかっただけなのに、気分悪いですよ」

 と、“プチギレ”ぎみに語る。職場のパワハラ上司、家族に当たり散らす夫、不機嫌な子ども……。イラッとさせられることばかりで、もしかして自分もキレやすくなってる? 

キレる高齢者が増加

 その背景について、心理カウンセラーの酒井豊美先生はこう話す。

「インターネットやSNSの普及により、生身の人間と接する環境が少なくなりました。他人との距離感がわからない人が増えているように感じます」

 なかでも目立つようになったのが“キレる高齢者”。法務省の『犯罪白書』(H29年版)によれば、65歳以上の暴行・傷害の検挙犯は20年前に比べ17.4倍に増えている。

「高齢者になって、いきなり性格が変わるということはありません。人生の後半になり、抑えつけていた理性がはずれて、感情をストレートに出してしまうようになっているのでは?」(酒井先生、以下同)

 また、このほかに考えられる原因として、「もしかしたら“隠れパーソナリティー障害”が増えているのかもしれません」と酒井先生は指摘する。

 パーソナリティー障害とは、ものの考え方やとらえ方などの偏りから家庭や社会生活に支障をきたし、円滑な日常を送ることが困難になる精神疾患のこと。

 大多数の人とは違う反応や行動をしてしまうことで、本人がひどく苦しんでいたり、周りが困っていたりする場合に診断される。

心理カウンセラーの酒井豊美先生

「キレたり怒ったりする人たちすべてがパーソナリティー障害というわけではありませんが、関係は深いと思います」

アメリカの研究では、人口の15%に当たる人がパーソナリティー障害であると報告されている。

「精神科医のなかには、病名を本人に告げないほうがスムーズに治療を行えるとして、告知しない医師もいます。そのため、本人がパーソナリティー障害だと自覚していないケースもあります

 症状を認めながらも治療機関につながっていない人も多く、こうした“隠れパーソナリティー障害”の実数は計り知れない。

 パーソナリティー障害はいくつかのタイプに分類されるが、人付き合いや感情のコントロールがうまくできない点は共通項。その結果、怒りやキレることにつながると考えられている。

 酒井先生によれば、パーソナリティー障害は、幼少期からの成育過程で発症するケースがほとんどだという。

「親の過保護や放任、暴力などの問題があると起こりやすいといわれています。また親がパーソナリティー障害の場合、子どもに連鎖する可能性が高いと考えられています」

 さまざまな原因でイライラが募りやすい現代。最近、不機嫌になりがちかも……という方は、以下のチェックリストにトライしてみて!


パーソナリティー障害チェック

※酒井先生への取材をもとに「週刊女性」本誌作成。6個以上チェックがついたら、要注意!

□ 周囲の人や大切な人から見捨てられる感じがする
□ 自分を傷つけたくなるときがある
□ この世から消えてなくなりたいと思うことがある
□ 人生は楽しくない
□ 幸せになれない、または、なってはいけない気がする
□ 孤独で寂しい感じがする
□ 自分が家族に必要とされていないと感じてる
□ 自己主張がうまくできず、我慢をしてしまう
□ 誰も自分を必要としていないように感じる
□ 人間関係が長く続かないことが多い