中山美穂、キム・ジェウク 撮影/廣瀬靖士

 年上の美しい売れっ子小説家・涼子と、作家を目指す韓国人留学生・チャネの”愛の記憶“を描いた映画『蝶の眠り』。韓国のチョン・ジェウンが監督したことから、昨年10月の釜山国際映画祭で初上演され、レッドカーペットに登場した涼子役の中山美穂(48)とチャネを演じたキム・ジェウク(35)に”ベストカップル!!“と称賛の声が上がった。

キム・ジェウク(以下、ジェウク)「気持ちよかったですよ(笑)」

中山美穂(以下、美穂)「ええ、光栄です」

 笑顔を浮かべるふたりは、それ以来の久々の再会だと言う。落ち着いた声のトーンと、気持ちいい会話の流れ。それは、本編の涼子とチャネを見ているよう。

美穂「わりと、(会話で)温め合わなくても、こんな感じでした」

ジェウク「自然に、特にきっかけがあったわけでもなく」

美穂「出会いから始まるストーリーなので、役にしたがって距離が近づいていったのかもしれません」

 作品では、チャネが涼子の執筆を手伝うことで、年の差を超え惹かれ合っていく。

美穂とても失礼かもしれませんが、(ジェウクを)あまり年下と思わなかった。涼子がチャネに特別な感情を抱いたように、このくらいの年齢になれば、別に年が上でも下でもフィーリングが合えば、相手に惹かれていくと思うんです」

ジェウク「おっしゃるとおりです。僕も、美穂さんとは、最初からすごく気持ちが楽でした

美穂「(ジェウクが)自然体でいてくれたから」

ジェウク「撮影中もちょこちょこ話をしたし、監督がリハーサルのときに美穂さんに伝えたいことがあるときに」

美穂「(ジェウクが)通訳してくれて」

ジェウク「逆に、美穂さんには日本語のイントネーションを教えてもらったり」

 日本人スタッフによって、日本で撮影された今作。セリフは、全編日本語。子どものころ、日本で生活をしたことがあるというジェウクだからこその流れるように耳に入ってくる美しい発音。

美穂本当に、すごく心地いい日本語だと思う

ジェウク(テレながら)頑張りました

“愛を注いでいるもの”に共通点が

 劇中、大学で講義をする涼子が自身の小説を朗読する。”恋愛は命がけの狩りだ“と読み上げるが、ふたりにも狩りの経験が?

美穂「思い当たらないですね……。だから、狩ったことがない(笑)」

ジェウク「僕もちょっと違うかも(笑)」

 朗読シーンは、”欲しいと思った相手を追いかけ、言葉の、あるいは仕草という矢を放つ“と続くが、こちらは?

美穂「……、考えたことないです(笑)」

ジェウク気になった人なら、どんなことされてもドキッとしますよね。目が合うだけでも

中山美穂、キム・ジェウク 撮影/廣瀬靖士

 “愛”を描いた作品にちなみ、今、愛を注いでいるものを聞くと、

美穂「私は、猫!!」

ジェウク「あっ、僕も!! 今じゃなくて、いつもです(笑)」

美穂「飼っているのは、結構、野性的な猫なんです。犬も好きなんですけど、今は猫ですね。本当、何をやっても、もう全部かわいいの♪」

ジェウク「正解!! 全部かわいい(笑)。この話、盛り上がっちゃいそうですね」

美穂「ほんとに(笑)」

ジェウク「このあと、写真を見せ合いながら”うちの子は“ってやりましょうか(笑)」

2人が感じたこと、驚いたこと、覚えていること

―美穂が感じたこと―

(2016年に撮影でジェウクと)出会ってから、たった2年ですが、ずいぶん大人っぽくなったと思うんです。すごくいい感じになってきているなと。どんどん精悍になっているというか。もしかしたら、チャネが学生の役だったから、そう、感じているのかもしれません」

―美穂が驚いたこと―

「決まっていた撮影場所を見て、監督がちょっと違うと思ったみたいで、そのままスタッフを含め、みんなでロケ場所を探してあちこち歩き回ったことを覚えています。初めての経験で、楽しかったですね(「韓国ではあることですよ」とジェウク)」

―ジェウクが今でもはっきり覚えていること―

「最初に美穂さんを見たのは、衣装合わせのときでした。僕が衣装チェンジをしているとき、”中山さんが入ります“という声が聞こえて。振り向いたらいらっしゃったんです。ハッとして、2、3秒くらい止まってしまいました(笑)。『Love Letter』という映画は韓国で知らない人がいないんです。だから、本当に(主演した)中山美穂さんって存在するんだと思って(笑)」

『蝶の眠り』 (c)2017SIGLO,KINGRECORDS,ZOAFILMS

<作品情報>
映画『蝶の眠り』5月12日より、角川シネマ新宿ほか全国ロードショー
配給:KADOKAWA
 中山美穂、5年ぶりの主演作。パートナーは、『コーヒープリンス1号店』など数々のヒットドラマにも出演する韓国俳優のキム・ジェウク。あるきっかけで出会った作家の涼子(美穂)と韓国人青年チャネ(ジェウク)。遺伝性のアルツハイマーを患い、自分をコントロールできなくなっていく涼子と、彼女に寄り添い続けたいと考えるチャネがともに過ごすシーンが美しいほどに、その先を思うと……。