週刊誌でよく見かける「極秘」の文字

 『フライデー』(9月21日号)に、ジャイアンツの長野久義選手と同2軍片岡治大コーチが、“極秘合コン”に参加していたという記事が掲載されていた。

 はたして、極秘合コンの中身とは⁉

 8月29日、ふたりは東京・青山にある高級イタリア料理店で、男女総勢8人ほどで宴会をしていた。同席していた女性たちは、全員モデル級の美女だという。それは、うらやましい限りだ。  

 極秘交際・極秘同棲・極秘結婚・極秘出産・極秘離婚……。

 週刊誌の芸能記事では、なぜか見出しなどに“極秘”と付くことが多い。“極秘”とは文字通り、外部に知られてはならないことを指している。

読者は、タイトルに極秘が付いていた方が、スクープ性があるように感じます。だから記事を作る側は、極秘と言えるのであれば極秘にしたいところがあります」(週刊誌記者)

 だが、今回の記事をただ読んでいくだけでは、今ひとつ“極秘“感は伝わってこない。

状況が極秘っぽくないときは、読者を納得させるために、それが極秘に当たると思われる理由を示さないとダメです。それは取材対象者の置かれている立場と心情ですね。それが見え隠れする内容にしてあげればいいんです」(前出・週刊誌記者)

トシちゃんのデートは「極秘」じゃないの?

 “極秘”と打たれる報道には、“罪悪感”や“背徳感”が潜んでいることが多い。また、悲しいことに、週刊誌が取り上げる合コンには、なぜかやましさが漂う。

 今回のケースでは、長野選手の妻はテレビ朝日の下平さやかアナウンサー。片岡コーチはベッキーと交際中。つまりふたりにはパートナーがいる。

 また、この日は《ジャイアンツが広島戦で3連敗を喫して、首位・広島と13・5ゲーム差となり、優勝の可能性が潰えた》日。さらに球団は選手に、夜遊びしないように指導しているという。

ふたりはきっと、“バレたらやばいな”と戦々恐々として合コンに参加しているはず、だと記者や編集者が推測します。だから、きっと極秘だろう、ということになるんです」(前出・週刊誌記者)

 かくして、どうかわからなくても、“極秘”の文字が生まれてくることになる。

 宴会が終わって、各人帰路についているようだし、ただの食事会のような気もするのだが……。

 同誌にはもうひとつ、気になる記事が掲載されていた。

 “トシちゃん”こと田原俊彦のポルシェデートだ。真っ赤な愛車の助手席に、鎮座しているのは《30代と思(おぼ)しきロングヘアーの美女》。トシちゃんは相も変わらずモテモテだ。

 だが、トシちゃんだって、立派な“妻子持ち”だ。でも、同誌はトシちゃんを、ジャイアンツのふたりに対するように《大切なパートナーに対する裏切りではないか》と、咎めてはいない。むしろ、《モテぶりは変わらず》という表現まで使っている。

 こうなるのもトシちゃんのキャラクターゆえだが、結局は作り手の「倫理観」が誌面に強くに反映されているのだろう。

 このように“極秘”のたった2文字から記事の裏側を見ることができる。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。