
「ミスター・ジャイアンツ」「ミスタープロ野球」として知られる野球界のレジェンド・長嶋茂雄さんが、6月3日午前6時39分、肺炎のため都内の病院で死去した(享年89)。
家族の確執
長嶋さんは1958年にプロ野球・読売ジャイアンツに入団。球界を代表するスターとして、王貞治との「ON」コンビで日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。
2001年の勇退後は巨人の“終身名誉監督”となった長嶋さん。2004年3月に脳梗塞を発症していたが、懸命にリハビリに励む姿が伝えられてきた。2013年には、巨人時代の教え子である松井秀喜とともに国民栄誉賞を受賞。コロナ禍で開催された2021年の東京五輪では、王、松井と3人で聖火ランナーを務めていた。

2021年の秋には野球界から初となる文化勲章を受章したが、その周囲には不穏な空気も流れていた。
「茂雄さんが入院していた病室は、1日の差額ベッド代が十数万円もする特別室。そこには次女でスポーツキャスターの三奈さんが頻繁に姿を見せていましたが、寝ずの献身的な看病をしている一方で、同時に兄でもある長男の一茂さんとの長年にわたる確執がくすぶり続けてもいました」(スポーツ紙記者)
不仲の発端は、2009年6月に茂雄さんの肖像権管理やマネジメントを行っていた一茂の個人事務所「ナガシマ企画」から、次女・三奈が代表を務める「オフィス・エヌ」に権利が移行したことだ。一茂が父親の仕事に過度に介入したことが原因と言われているが、茂雄さんが、スポンサーや関係者にその通知書を送付した事で自体が表面化。自分に関係するビジネスから一茂を排除したことは、当時大きな話題にもなった。
「一茂さんをファミリーから外した裏に、妹の三奈さんと茂雄さんの妻・亜希子夫人の弟の妻であるAさんの存在があると指摘する報道が、週刊誌で相次ぎました。一茂さんが“長嶋茂雄”の商標権を獲得し、これに対してミスターが“一茂から騙しうちにあった”として、無効を主張していることなども報じられたかと思えば、今度は一茂さんが、田園調布の長嶋邸に保管されていたミスターのグッズを資産家のファンに無断で売却処分をしたなど、家族内の情報戦での争いが激化していったんです」(同・スポーツ紙記者)
最後まで“ミスター”
一茂は『週刊新潮』が2013年5月に報じた記事に対し、名誉毀損で提訴していたが、2015年5月の証人尋問のため出廷した際には「もともと長嶋家はバラバラで、母の生前も6人が揃って旅行に行ったことも、食事だってそろってしたことは一度もないです」と、家族について衝撃的な証言をしたのだった。

「一茂さんが子供のころ、ミスターが球場に連れて行ったあと、試合後に忘れて帰ってしまったという笑い話がありましたが、あながち笑えるエピソードでもなかったようですね。茂雄さんの憔悴は、妻として、また母として長嶋家をずっと支えてきた亜希子さん(享年64)が2007年に亡くなったことも大きいでしょう」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
ミスターが亡くなった今、子どもたちは改めて膝をつき合わせ、話し合う必要が出てきた。そんな一方、ネット上では長嶋さんの“最期”が話題になっている。
「長嶋さんの現役時代のポジションは三塁手で、背番号は3。偶然にも命日が3日であり、また享年が“野球”と重なる89歳であったことから、世間では驚きの声が寄せられています」
野球ファンからは、
《偶然とは思えない巡り合わせ。最後まで“ミスター”すぎる》
《長嶋さんらしい旅立ちというか…ご冥福をお祈りします》
《まさに野球を愛し、野球に愛された男。何かの運命なのかな》
といったコメントが。
今年3月には、東京ドームを訪れロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平と2ショット写真を撮るなど、元気な様子を見せていた長嶋さん。ミスターの栄光は、永久に不滅だ。