木村文乃 撮影/廣瀬靖士

子どもって、親に楽しんでいてもらいたいんです。くだらないことでもいい、生き生きと楽しそうにしていてくれたら、もうそれだけでいいんです

 シングルファーザーがラジオ体操を通じて地域デビュー&初めての家事に奮闘する姿を描いた映画『体操しようよ』で、草刈正雄扮する主人公のひとり娘役を演じた木村文乃(31)。劇中では“定年お父さん”のこれからを案じて娘から“親離れ”宣言!! だが、木村家では逆だったそうで、

「私は16歳からこの仕事をしていたこともあり、母親からずっと“20歳になったら一切何も言わないから、お願いだからちゃんと学校を卒業して、しっかりやってほしい”と厳しく言われ続けていて。実際に私の2歳下の弟が20歳になったときに“卒母”宣言されたんです

 と、驚きの親子関係を明かす。今は名前で呼び合うことも多く、いい意味で振り回されることも多くなってきたと言い、

「いきなり“NY行きたい”って言いだして。ひとりで行かせるわけにもいかないから、私がついてくよと(笑)。これまで私と弟のために自分の時間をたくさん犠牲にしたと思うんです。だから今、そうやって生き生きとしている姿に娘としては安心しています

 その発言からは、プライベートでもしっかり者であることがうかがえる。そんな彼女だが、今回演じた弓子については、

私は反抗期にはちゃんと反抗してきたタイプ。でも弓子は言われた側の痛みがわかる人なので、反抗期にも反抗できなかったんじゃないかな。当時、親が受けた痛みがわかるようになってきた今、この役に出会えてよかったなと思います」

 劇中では父親とぶつかるシーンも多いが、現場では草刈の優しさに感激したとか。また、

草刈さんってクールでカッコいいイメージが強いと思うんですけど、現場ではジャージで、常にシャツをインしてラジオ体操をしている姿がとっても可愛かったです(笑)

 と笑顔で話す姿は、まるで本当の“娘”のよう。

 そんな2人も本作で挑んだラジオ体操、今年で制定90周年!!

「昔、ラジオ体操はサボってばかりで、やったとしてもまねしている程度。今回、マジメにやったら翌日、筋肉痛になりました(笑)。これからも続けようかな? この作品は、何か新しいことを始める人にはぴったりだと思います。

 映画では草刈お父さんが一歩踏み出すことにもがいてましたが、その一歩を前に踏み出せるか踏み出せないかで人生ってすごく変わる。やってみて悪いことはないと思える作品なので、見ていただいた方の背中をそっと押す、そんな作品になれたらいいなと思います」

“お父さん”とは初共演

「現場はお父さん役の草刈さんをはじめ、O型が多くて、すごく穏やかで不思議な団結感がありました。そんな草刈さんとは今回が初共演! 初めてお会いした日に、“待ってたよ~”って両手を広げて、私を出迎えてくれたんです。草刈さんの懐の深さに、感動しました

映画『体操しようよ』 (c)2018「体操しようよ」製作委員会

<作品情報>
映画『体操しようよ』
11月9日(金)全国ロードショー
出演:草刈正雄、木村文乃、きたろう、渡辺大知、和久井映見