お祭り男・宮川大輔

 人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で5月20日に放送されたラオスでの「橋祭り」に関するやらせ疑惑が、波紋を広げている。

 番組の人気企画「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」は、世界各国で開催されるお祭りに、お笑い芸人の宮川大輔を中心に番組出演者が参加。競技コンテスト形式のものに関しては、上位入賞を目指すという内容。

 問題となった放送回は、ラオスで行われている「橋祭り」を紹介した。橋に見立てた全長25メートルの細い板の上を自転車で渡り、そのスピードを競うというもの。

 ところがこの「橋祭り」というお祭りが、番組側が考案した架空のものでないかと、「週刊文春」が報じ、大きな問題となっている。

「現地からの提案」と主張

 11月8日、日本テレビは見解を発表、「今回の企画は、現地からの提案を受けて成立したもので、番組サイドで企画したり、セットなどを設置した事実はなく」と、疑惑を否定した。あくまでも、現地コーディネート会社側からの提案によるものだと主張する。

「この、番組側が企画していないということが、やらせかどうかについて、大きな違いを生みます」

 と、さまざまな人気番組を手がける、ある放送作家は言う。

たとえば、大盛り料理にチャレンジする番組で、そのお店にそんなメニューが無いのに、デカ盛りメニューとして登場することがあるとします。これを、番組側が、『何か作ってもらえませんか?』とお願いしたらアウト、やらせになります。

 しかし、お店側から『こんな感じの料理なら作ることはできます』と“提案”された場合、これはセーフとなる。

『橋祭り』に関しては、橋を渡るところまではよくても、障害物として巨大なゴムボールが登場する作りは、完全に日本のテレビ番組の作りですよね(笑)。現地コーディネート会社からの提案と主張するのは、そのような理由があるからではないでしょうか」

 このような祭り自体、初めて見たという声も現地では上がっているようだが、「橋祭り」は、ラオスで毎年、開催されているコーヒーフェスティバルの会場内で、開催された形となっている。

 ある芸能記者は言う。

『コーヒーフェス』というお祭りは、実際に開催されたものであり、その会場内で催されたものと考えると、広い意味では“お祭り”は正式に開催されたもの、という考え方はできます。

 日テレの見解では、橋祭りがここで毎年開催されているような紹介をしたことで誤解を招いたと、この点では謝罪しています。この会場で開催された“第1回”であったとするなら、問題ないともいえます。

 さらに、コーヒーフェスの敷地内での開催ということにも触れ、『イベントとセットで催しが行われるケースは珍しいことではなく』と、事前に承知済みだが意図的に紹介しなかったわけではない、としていますので、ここも、問題にはならないようですね

 他にもこのような疑惑を持たれそうな企画が複数あるのではないかと思われるが、同企画では、過去にも「トマト祭」や「チーズ転がし祭」など、海外の有名な祭りに参加している。

 時には、そのことが現地の新聞やテレビなどで、日本人の参加が報じられることもあり、実際に開催されている祭りを数多く紹介している。前出の放送作家は言う。

ネットやSNSが発達した現代では、誰でも調べればすぐわかることだから、明らかに架空のものというのは、まずありえないと思うのですが……。

 このような番組の企画会議は、コーディネート会社などから複数提案されるお祭りの中から、面白そうなものを選んでいくというスタイルが多いと思います。だから、日テレの主張通り、番組側が主導した企画や提案ではないのではないでしょうか」

 日テレは『イッテQ!』の今後の放送継続を発表しているが、9日時点ではラオス政府でもこの件は問題視され、対応を協議中だという情報もある。

「言うまでもなく、日テレの看板番組ですから打ち切りはなんとしてでも避けたい。お祭り企画を事実上終了させ、番組は継続という形が一番いいと思いますが、ラオス政府が直接関わることになると、もう少し大きな問題に発展する可能性もありますね」(前出・芸能記者)

 日曜の夕方、『笑点』から続く、日テレの独走。人気番組の行方は今後も注目だ。

<取材・文/渋谷恭太郎>