11月9日の午後2時過ぎ、黄色地に紅葉模様があしらわれた秋らしい着物姿でお出ましに

「11月9日の午後、東京・赤坂御苑で天皇・皇后両陛下が主催する秋の『園遊会』が行われ、出席者は約1800人にのぼりました。

 主な招待者はスポーツや文化事業などの各界で功績を残した人々が選ばれます。今年は、脚本家の三谷幸喜(57)や、平昌パラリンピックで金メダルを獲得した成田緑夢選手(24)などが出席していました」(皇室担当記者)

 今回の女性皇族方は、それぞれ艶やかな着物をお召しになり、招待者との会話を楽しまれていた。

 園遊会では毎回、そのときどきで招待者がかわるのだが、'14年秋の園遊会に出席した歌手のイルカ(67)に、当時の思い出を聞いた。

美智子さまはイルカが出演した歌番組をご覧になったというお話もされた('14年11月)

「非常にうれしかったのは、美智子さまが“きれいなお着物ですね”とおっしゃってくださったことです。“私が描いたものなんです”と話すと、“まあ!”と驚いてくださって」

 この日にイルカが着た着物は、自身がデザイン・手描き・染めをしたものだったという。

「私が制作している着物はすべて、国際自然保護連合(IUCN)の親善大使としての立場で描いているので、生物多様性や絶滅危惧種などをテーマにしています。

 このときの着物には、里山の生き物たちが、食べものを分け合って暮らしていくというメッセージを込めました。秋の里山を代表する生き物たちであるウサギやサル、タヌキなども描き、深い緑色をベースに真っ赤な紅葉を散らしたものです」

 陛下がご研究を続けている“あの動物”にも話が及んだそうで、

「天皇陛下がタヌキの研究をされているということを思い出して、“ご研究はどうなさっているんですか”とお聞きしたところ“今はまだ進んでいないですが、今後続けようと思っています”とお答えくださいました。

 その際、着物の後ろの裾にあたる部分にも、タヌキの絵が描かれていることを思い出したんです。背中を向けると失礼だと思い、身体をひねってお見せすると、“タヌキですね!”と両陛下がとてもお喜びになっていたことが印象に残っています」(イルカ)

 今までも、招待者の話に真摯に耳を傾け続けてこられた美智子さま。しかし、すでに来年春の園遊会が『退位の礼』を控えていることから、中止が決定している。

両陛下にとって“人生最後”の園遊会でしたが、あいにくの雨が降り続けていました。

 しかし、おふたりは招待者へのお声がけの際、陛下の透明な傘ひとつだけで“相合い傘”を。少しでも招待者との交流を大切にされているようでした。

 美智子さまの左肩はびしょ濡れになっていましたが、後ろに控えていた女官長が傘を差し出しても、受け取ることはなかったのです」(宮内庁関係者)

15年ぶりに全行程をこなされた雅子さま

雅子さまが療養前に“フル参加”された'03年10月の園遊会での着物姿

 一方で、雅子さまは、実に15年ぶりに園遊会の全行程をこなされたのだ。

「療養に入られてからは、'15年の秋から連続して園遊会に出席されている雅子さまですが、前回までは途中で退席されていたのです。

 今回に関しても、園遊会の前日まで検討を続けていて、雅子さまにとって負担が大きい和装のドレスコードだったにもかかわらず、最終的には“フル参加”をお決めになったのです」(東宮職関係者)

 すべての行程に参加されただけではなく、お話しされたひとりひとりにお心を配られていたという。

 内閣官房原子力災害専門家の山下俊一さんは次のように話す。

「皇太子ご夫妻は、放射能に関してご理解が深いのだと感じました。雅子さまからは、“目に見えないものに対する不安などは、どのように払拭されていますか”と、ご質問があり“ご苦労さまでした”と慰労のおことばも同時にいただきました」

 事前に、話す相手のことを勉強していなければできない質問も。

「雅子さまは子どものときにハツカネズミを飼っていらっしゃったそうで、“宇宙での小動物の飼育ミッションはいかがでしたか”という質問をいただきました。

 雅子さまは私だけではなく、妻にも“半年というミッションは大変だったのではないですか”と、お声がけをいただいて、とても優しいお心遣いを感じました」

 そう語るのは、国際宇宙ステーションに約5か月半、滞在していた宇宙飛行士の金井宣茂さん(41)だ。

平昌パラリンピック金メダリストの村岡桃佳選手と(11月9日)

 平昌パラリンピックのクロスカントリースプリント立位で銀メダルなどを獲得した新田佳浩選手(38)の妻・知紗子さん(41)は、雅子さまとの会話で感じたことを笑顔で話してくれた。

“ご家族のサポート、大変でしたね”と、お声がけをいただきました。“主人にとりまして、家は帰りたい場所であること、それをただ務めさせていただきました”とお答えすると、“そうですよね、それがいちばんですよね”とおっしゃってくださいました。

 雅子さまも、私と同じ気持ちを体験されていたのだと思いました。すごく柔和で、温かい印象を受け、その優しく受け入れてくださる感じは、美智子さまと同じ印象を受けましたね」

 お代替わりが近づくにつれ、好調ぶりを見せている雅子さま。

 “15年の壁”を超えた理由を、皇室を長年取材するジャーナリストで文化学園大学客員教授の渡邉みどりさんは、こう説明する。

雅子さまが、15年ぶりに園遊会で最後まで歩かれたのは、ご自分の意志が強かったのではないでしょうか。

 皇后におなりになる前の最後の園遊会ですし、美智子さまの前で、きちんと最後まで歩きたいお気持ちがおありだったのだと思います。

 お代替わりの後は、以前のように途中で退席するわけにはいきませんし、ご自身の“覚悟”が感じられました

 美智子さまから雅子さまへと、“バトン”が着実に渡されているようだ─。