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「人は血管とともに老いる」という言葉がある。しなやかでなめらかだった血管も、年とともに硬く厚く、内壁も狭くなる。自然な老化ならしかたがないが、生活習慣病、メタボリック症候群などが重なると、血管の老化が一気に進む。

血管の若返りが長寿の秘訣

「日本人の死因のなかでも、心疾患と脳血管疾患を合わせた“血管事故”の割合は、死因1位のがんに匹敵するほど多い。血管事故は、血管の老化が進むほど発生するリスクが高くなります」

 そう語るのは“血管先生”の異名をとる、循環器専門医の池谷敏郎先生。

 血管年齢が若返れば、血流もよくなる。すると身体の老化が抑えられ、見た目も若返り、肌がきれいになったり、髪の毛が生えてきた男性もいるとか。

「血管の若返りこそ、健康長寿の秘訣です」

 実は、池谷先生の血管年齢は、なんと28歳。実年齢56歳の半分だ。はつらつとした見た目からも血管年齢の若さがうかがえる。

 池谷先生のように血管年齢を若返らせるには、健康的な生活を取り戻すことが第一。

「バランスのとれた食生活に適度な運動、十分な睡眠、禁煙など生活の改善が必要です」

 そこで池谷先生が推奨しているのが「ハハハの五か条」。

「まず、“腹八分目”で飲みすぎ、食べすぎをあらため、“ハハハと笑う”ことでストレス解消。“早歩き”で運動不足を解消し、“早寝早起き”で十分な睡眠をとり、そして“早めの禁煙”を心がける。これらのハから始まる5項目を実践したら、生活習慣が改善され、血管年齢も間違いなく若返ります」

 気がつけば、お腹いっぱい食べてしまうという人には耳が痛い話。では、腹八分目の食事は、具体的に何をどうとればいいのだろうか? 血管が若返る食事法についてアドバイスしてもらった。

「ひとつは、老化の原因になる炭水化物のとりすぎに注意すること。そして、大事なのが油のとり方です。みなさん、スナック菓子やカップ麺、スーパーやコンビニの惣菜、ファストフードの食べ物に多く含まれる植物油・リノール酸をとりすぎる傾向にあります。

 リノール酸は、体内で代謝されると過剰な炎症を引き起こし、動脈硬化やアレルギー性疾患の悪化を招きやすくなります

“天然のマルチサプリ”を摂ろう!

 一方、EPAやDHAといった脂肪酸は、過剰な炎症を抑えるように働いてくれる。

「血管から若返るためには、リノール酸のとりすぎを抑えて、EPAやDHAを多くとることが大切なのです」

 そんな池谷先生がオススメする食材は、”天然のマルチサプリ”といわれる大豆を蒸した『蒸し豆』。

「血管の機能を整える大豆イソフラボンや、腸内環境を整える大豆オリゴ糖などが豊富に含まれ、しかも蒸すことから水に溶け出しやすい栄養素や機能性成分が多く残っています。どんな料理にもトッピングに添えるだけでOKです」

 手軽なメニューとしてイチオシなのが、大豆入りトマトパッツァ。缶詰のサバやイワシを、季節の野菜とともにトマトソースで煮込み、仕上げに蒸し豆をのせるだけでできあがる簡単料理。

 トマトには血圧を下げる成分のGABAや、抗酸化作用がある。そのうえ、血管の動脈硬化を防ぐリコピンも含まれるため、血管年齢の若返りには最適の食材といえそう。

 最後に、池谷先生が毎日欠かさず食べているメニューを公開しよう。

「ヨーグルトに黒蒸し豆をのせた『蒸し豆のヨーグルト』と、無塩のホットトマトジュースに甘酒を入れた『ホットマト甘酒』。温かい飲み物は飲むだけで血管を開いてくれ、しかも甘酒の米麹は血圧を下げる効果も。お手軽で、私にとっては欠かすことのできない朝食メニューです」


冬にオススメ、池谷先生の定番メニュー
蒸し豆のヨーグルト&ホットマト甘酒

蒸し豆のヨーグルト&ホットマト甘酒

【材料(1人分)】
黒蒸し豆 ヨーグルト(ヨーグルトはお好みでOK)、 (無塩)ホットトマトジュース、 甘酒、レモン果汁
【作り方】
ホットトマトジュース2、温めた甘酒1の割合で入れ、レモン果汁を垂らしてできあがり。トマトジュースが嫌いな方でも臭みが消えて飲みやすさ抜群。


《PROFILE》
池谷敏郎先生 ◎いけたに・としろう。医学博士、池谷医院理事長兼院長。総合内科専門医、循環器専門医。臨床の現場に立つかたわら、内科・循環器のエキスパートとしてさまざまなテレビ、ラジオ番組、雑誌、新聞などへの寄稿や講演を行うなど、多方面で活躍。著書に『図解「血管」を鍛えると超健康になる!』(三笠書房)など多数