11月下旬の夜、行きつけのバー『5taps』の前で撮影中の新垣結衣松田龍平

 歴史ある寺院の近くにあるその住宅街は、都心からさほど離れていないにもかかわらず、古きよき東京の景色を色濃く残す。普段は静かなこの一角で、ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の撮影が行われていた。

もともと質素な造りの木造古民家に、少し前から西洋風の外壁が増築されていって。新しくお店でもできるのかな、と思ったら『獣なれ』のロケが始まったんです。1週間に1回くらい通行人を規制しながら撮影してますよ」(近所の住民)

 新垣結衣演じる晶と、松田龍平演じる恒星が出会うバー『5tap』。物語の重要な場所となるロケ地がこの場所だったのだ。

「11月末には、12月5日に放送された第9話の雨が降るシーンの撮影が行われていました。スタッフさんたちが機材の準備をしている間、新垣さんと松田さんはベンチに横並びに座っていたんですが、ふたりとも無言で、ボーッと前を眺めていて、なんかシュールでしたね(笑)」(同・近所の住民)

新垣の“必殺アドリブ”

 世間体や常識、あらゆるしがらみから逃れられず、本能の赴くままの“獣”になりきれない登場人物たち。撮影は佳境を迎え、晶がパワハラの絶えない社長に反撃に出るが、現場は対照的にほんわかムードだという。

「みんな仲がよくて、撮影の合間には変顔で写真を撮ったり、映画の話をしたり。深刻なシーンのあとも変わらないですね」(制作会社関係者)

 そんな現場の雰囲気にひと役買っているのが、新垣の“必殺アドリブ”だ。

 第6話の、晶が恒星に対し「私、ヒゲ生やしている人、嫌いなんです。社長もだし」と言い放つシーン。松尾貴史演じる5tapのマスターであるタクラマカン斎藤が、自身もヒゲを生やしていることからショックを受けた表情に。それを見て、晶は「斎藤さんはオアシスだから」とフォローするのだが─。

実はこれは台本の流れではなく、新垣さんのアドリブだったんです。松尾さんの役どころは、仕事に疲れ果てた晶や恒星が、癒しを求めてここを訪れる“都会のオアシス”的なバーのマスター。新垣さんは、マスターがちょっとかわいそうになったんでしょうね。

 思いもよらない気のきいたアドリブには、現場にいた松尾さんや、同じくヒゲが生えている松田さんだけでなく、監督やスタッフまでみんなメロメロになったそうですよ。今回だけでなく、新垣さんは自然に気が遣えると、業界内でも評判です」(前出・ドラマ関係者)

 いよいよ12日が最終回。ほんわかムードのガッキーは“獣”になれるのか!?