古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第67回は鮫肌文殊が担当します。

中岡創一さま

中岡創一

「オ○ン○ンが痛いーーーーっ!!」

 ロッチ中岡君の絶叫がフィンランドの寒空の下、こだました。つい先日オンエアされた、私が構成に参加している『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)のロケでのひとコマ。

 世界中のYou Tube職人の皆さんの面白動画を中岡君が身体を張って再現するイッテQ!の名物コーナー『Qチューブ』。その回の舞台は零下20度以下の極寒の国フィンランド。幾多の過酷ロケを乗り越えて来た猛者ぞろいの『イッテQ!』ファミリーの芸人と言えども、さすがに体験したことがない想像を絶する寒さである。

 そんな中、上半身裸になって氷の上を滑っていき、うまくいったら熱々の湯船へイン。失敗してコースアウトしてしまったら水の中へ落ちてしまうという動画に挑戦していた中岡君。案の定ミスってしまい、水の中へボチャン。「寒い、寒い、寒い!」を連発しながらロケ現場近くの本場フィンランドのサウナへ暖を取るため入った途端、マイナス20度以下の外気温と80度以上のサウナの温度差が股間を直撃! 何かしらの不具合(!?)が生じてしまったのか、突如、股の間に押し寄せてくる激痛に思わずあげたのが本文冒頭の悲鳴であった。

 しかし、この回の『イッテQ!』は中岡股間激痛効果もあってか、久しぶりの20%超えの高視聴率。良かった、良かった。

 思えば『Qチューブ』のコーナーのために、我々構成作家陣だけでなくディレクターから末端のADまで『イッテQ!』スタッフ一同、ネットに転がっている面白動画を1年中リサーチしている。

 例えば、過去に私が探し出したドッキリネタで「スプーン中岡」ってヤツがある。スプーンをくわえてじゃんけん。勝った方が口にくわえたスプーンで下を向いた状態の相手の頭を叩く……というゲーム。口にくわえたスプーンではそんなに力が入らないので全然痛くない。ただし、中岡君が負けた場合に限り、横にいる審判が思いっきり手に持ったスプーンで頭をぶっ叩くのだ。下を向いた状態の中岡君はそれに気づかず「あれ? なんでこんなに痛いんだろ?」とナゼの嵐になるというドッキリ。

 見つけて会議に提出したところ即採用となり、内村光良vs中岡君に審判・宮川大輔の形でやって爆笑ロケとなった。

 そう! 我々が素晴らしい面白動画を見つければ見つけるほど、中岡君的には大変なロケになってしまうのだ。今回、いつもゴメンナサイの気持ちを込めて中岡君に「オ○ン○ンが痛くても身体を張ってこれからも頑張って……なぁ」賞をあげて勝手に表彰したいと思う。

 じゃあ今夜も「中岡君、ゴメン」と呟きながら面白動画を求めてネットを徘徊することにしますか。これ、仕事だけどホントに楽しい作業なんだよねー。


<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝く!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)新宿ロックカフェロフト「トーキョー歌謡界アワー」(奇数月開催)などでの和モノDJ関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。

<近況>来月から声優の番組を担当することになりました。情報解禁まだなんで詳しくは言えないんですが、今をときめく人気声優出まくりです。その方面に詳しい超年下のADに教わりながら、全然門外漢だった声優ワールドを勉強中の日々。乙女ゲーム、一度やってみないとなぁ。