廣瀬容疑者の中学時代(卒業アルバムより)

「不登校で学校に来てなかったので、全然記憶にないんです。卒業アルバムの集合写真でも、右上に顔写真が載っていました。

 2008年に土浦で通り魔殺人事件を起こした金川真大・元死刑囚('13年に執行)も同級生なんです。金川は暗い人だなという印象がありましたが、廣瀬については全然わからない

 中学時代の同級生は、メディアで報じられている逮捕時の姿形と卒アルの少年を見比べながら、そう振り返る。

被害者を乗せたタクシーの運転手に聞く

 東京都葛飾区の女子大生が1月31日、茨城県神栖市の空き地から遺体で見つかった事件で、警視庁捜査一課は同市の無職・廣瀬晃一容疑者(35)を死体遺棄の疑いで逮捕した。

 被害者は、日本薬科大学に通う菊池捺未さん(当時18)。35歳の無職男と18歳の女子大生を結びつけたのは、ゲーム関連の掲示板だった。

 昨年11月20日、午前中に大学の授業に出席した菊池さんは、午後3時ごろ、ひとり暮らしをしているマンション最寄りのJR綾瀬駅からJR鹿島神宮駅へ向かった。2人に面識はなかったが、一部週刊誌は、廣瀬容疑者が菊池さんに、会うだけで数十万円の報酬を支払うと条件提示していたと報じている。

 見知らぬ駅に降り立った菊池さんは、駅前でタクシーに乗車。行き先は、廣瀬容疑者宅近くのコンビニ。

 菊池さんを乗せたタクシーの男性運転手に話を聞いた。

「警察が話を聞きに来たとき、“乗せてない”と言ったら“あなたが乗せたんです”って言うからさ、びっくりして。全部調べてあるんだろうね」

 と驚きを伝え、事件当日の菊池さんの様子を伝えた。

「無線で“〇時〇分の電車で着くお客さんが来ますから”と言われたので、ロータリーのタクシー乗り場から離れたところで待っていたんです。すると女の子がこっちにまっすぐ歩いてきてね。普通の女の子でしたよ。乗車したのは午後5時40分ごろです」

 タクシーの中で菊池さんはスマホをいじっていたようで、ミラー越しに映ったのは、菊池さんの頭頂部だけ。

「“そこのコンビニでいいです”って言われ降ろしました。日報を記入して周囲を見たときには、もう姿が見えなかった。どっちに行ったのか……」

 降車後、菊池さんは、約200メートル先の別のコンビニへ移動し、廣瀬容疑者と合流。自宅バレを防ぐためだったのか、目隠しをされ、車に乗った。そこから廣瀬容疑者が住む木造2階建てアパートまでは5分ほどの距離だ。

 合流地点のコンビニは、廣瀬容疑者が普段使いしていた店。女性店員が記憶していた。

特徴的な容姿だったので覚えています。お金のやりとりだけですが、独特な風貌や雰囲気からハードルの高い接客に感じました。週に何度か来ましたが、いつも買うのはタバコだけ。銘柄はほとんど“エコー”。駐車場に会社の名前入りの軽バンを止めてずっとスマホをいじっていました。コンビニのWi-Fiを使っていたんだと思います」

 廣瀬容疑者の自宅で何があったのか、まだ明らかになっていないが、廣瀬容疑者は菊池さんを帰そうと車に乗せ、土地勘のない場所で降ろし放置した。

2度の有罪判決

 菊池さんはコンビニの記憶などを頼りに、近隣住民に「場所がわからない」などと聞きながら、廣瀬容疑者の自宅に戻る。今度は何らかの決着を見たようで、午後8時ごろ、先ほどの近隣住民を訪ね「問題は解決しました」と報告したという。

 だが、本当の問題はその後に待っていた。廣瀬容疑者の車に再び乗った菊池さんの携帯電話の位置情報は、容疑者宅から10キロ以上離れた場所で突如、途絶えたのだ。

 菊池さんの父親はメディアの取材に、「とにかく無事でいてほしい」と訴えていたが、1月31日、変わり果てた姿の菊池さんが発見された。

 遺体が埋められていた場所には、たくさんの花や飲み物などが供えられていた。

遺体発見現場には花や食べ物、三途の川の渡り銭も供えられ

 廣瀬容疑者は、茨城県土浦市出身。一家が住んでいた場所の近隣に住む女性が話す。

「今は更地になっているそこに家があってね。容疑者は長男で2番目。上にお姉さん、下に弟と妹。お父さんは、子どもが小さいころに亡くなって、お母さんがよく働いていました。愛想もよくて、本当にいい人。子ども4人抱えて一生懸命やってらっしゃった」

 中学卒業後に牛久市へ転居し、その後、現在の神栖市へ。建設会社でアルバイトをするなど生計を立てていたが、一昨年と昨年、児童買春の疑いで逮捕され罰金刑と執行猶予つき有罪判決を受けていた。一件は、現金を渡す約束で女子高生を呼び出し、わいせつな行為をする手口だった。

 廣瀬容疑者は「騒がれたので車の中で殺した」と供述しているというが、再び金銭の支払いで誘い出したのか。リアルでは接点のない2人をネットが結びつけた以外、真相は闇の中だ。