中学生のころのA容疑者(一部加工)

 被害者と同年代の女性は、

「気持ち悪すぎる。私だったら絶対、髪の毛を切る。トラウマになっちゃうかもしれない」

 と眉をひそめた。

舐めたくなる

 事件が起きたのは昨年5月24日、午後8時過ぎのこと。

 会社員の女性(当時29)はJR横浜線新横浜駅のホームからコンコースに移動するため、エスカレーターに乗った。のぼり終えたところで後ろに結んだ髪の毛が気にかかり、触ってみるとポニーテールの先端に誰のものかわからない唾液がべったり……。

 それから8か月余りがたった2月4日、女性に唾液をかけた暴行の疑いで神奈川県藤沢市に住む24歳の男、A容疑者が神奈川県警港北署に逮捕された。

事件現場のエスカレーター付近

「女性の被害届を受理して捜査に着手しました。目撃者はいませんでしたが、駅の防犯カメラ映像や唾液のDNA鑑定などから逮捕にこぎつけました。Aは容疑を認めています」(捜査関係者)

 A容疑者はエスカレーターで女性の後ろにぴったりつけた。背後からポニーテールに顔を近づけ、ペロリ……。

「犯行動機については“女性の香水やシャンプーの匂いが好きだった”と供述しています」(前出・捜査関係者)

 女性とは面識がなかったという。全国紙の社会部記者は、「突発的に舐めたのか、狙いを定めて犯行におよんだのかわかっていない。“女性の髪が好きで舐めたくなる”“ポニーテールが好き”といった供述もしているようで、過去にも同様の行為をしたことがあるようだ」と話す。

 舐めた女性に気づかれるかもしれないスリルを味わいながら、自分の唾液で女性を汚すことに快感を覚えて、犯行を重ねていたのだろうか。

 あと数か月で元号が変わる平成最後の変態・髪舐め男。駅の階段で女性に精子をかけたり、女性用自転車のサドルばかり盗んだり、ハイヒール強奪フェチなんてのもいたが、髪を舐める変態は記憶にない。

 中学の同級生の母親は、

「テレビのニュースでAくんの事件を知った息子は“やべえじゃん!”と絶句していました。そんなことをする子には見えなかった」

 別の同級生も、

「中学のころは女子にちょっかいを出すやつではなかったし、事件を起こすようなやつには思えなかった」

 と逮捕に驚いていた。

 A容疑者は小学校低学年のときに現在の自宅に引っ越してきた。地元の小・中学校を卒業し、県内の公立高校に進学。運送会社に勤務していたという。その素顔を追うと、

「どちらかというと寡黙というか、おとなしい感じ。鉄道がすごく好きみたいで“撮り鉄”なんですって」(近所に住む60代女性)

 事件を起こしたのは駅。撮影帰りだったのかもしれない。

 両親は自宅でパン屋を営んでいるが、A容疑者が手伝う姿を見かけた住民はいなかった。近所の男性は、

「うちの妻や娘はAさんのことを気にしていたみたいです。私は男だからあんまりわからなかったんですが、どうもイヤらしい視線を感じたことがあるそうで本能的な恐怖を感じていたようなんです」

 この男性の妻子は髪の毛が長いという。さらに、

「近くに中高一貫の有名女子校があるんですが、Aさんがそこの生徒に声をかけていたと聞いたことがあります。ママ友の間ではウワサでした」(小学生の娘がいる母親)

深く考えずに言っちゃうタイプ

 地域では最近ちょっと変わった変態事件が発生、数々のウワサが流れている。

「女性に唾をつけた男がいた」(50代女性)「子どもを触ったり、舐める男がいる」(40代男性)「何者かが女の子に水をかけて逃走した」(70代女性)

 A容疑者による犯行かどうかは不明だが、近隣住民は不気味な影に怯えている。

 女性の髪を舐めるという性癖はいつ形成されたのか。小中学校時代の印象は意外なものだった。幼なじみの男性。

中学時代は騒がしく疎まれたことも

「小学生のころはおとなしくてクラスでも目立たないやつでしたが、中学に入ってからはいきがっているというか、授業中にふざけたりする騒がしいやつに変わってしまった。当時、小学生時代を知る友人たちは“Aは変わったな”と驚いていました」

 といって不良、というわけではなかったという。

「ヤンキーにはよくいじられていましたね。あいつは嫌がっていましたが、実家がパン屋なので“パン屋”ってあだ名がついていました」(同男性)

 実家のパンを同級生に配ることもあり、一部の男子から気に入られ、面白がられていたA容疑者。中学3年のときに“やらかし”たことを前出の男性は覚えていた。

普段はふざけるだけでしたが、英語の授業中に外国人の女性教師に“Fuck(ファック)”と叫んで怒らせたことがあります。あんまり深く考えずに言っちゃうタイプ。下ネタ好きでよく話していましたね。でも、女子とは直接話はしていなかったような。彼女もいなかったと思います。ただAKBがすごく好きで、よく教室でメンバーの名前を叫んでいましたね」

 捜査関係者によると、A容疑者は釈放され、任意の在宅捜査が続いている。

 事件の真相を聞くため容疑者宅を訪ねた。父親に「本人にお話が聞きたい」と、伝えると、「本人は反省していると言っていますので……」と、弱々しい口調。そこに母親が言葉をかぶせた。

「お答えすることはありません!」

 インターホンの向こうに容疑者はいたのだろうか。

 近くに住むA容疑者の祖母は、「孫には何年も会っていないのでわかりません」と困惑した様子だった。

 女性にとって、髪は美のシンボルで大切なもの。ポニーテールをする際には後ろに気をつけたい。