「こんな方と結婚したい」という理想は、どなたにもおありだと思います。ご自身の結婚ですから当然ですよね。また、「妥協してまで結婚したくない」というのも婚活者からよく聞く言葉です。 
 婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えてゆく連載。今回は、『“妥協”するのではなく“妥当”なお相手を探しましょう』です。

婚活のお相手探しは難しい (写真はイメージです)

女性の稼ぎをあてにされるのは嫌!

 先日、33歳年収1300万円の女医、亮子さんから、こんな婚活相談を受けました。

「大手の結婚相談所に入っているのですが、こちらの希望にかなうお相手からの申し込みがありません。こちらが希望する男性に申し込んでもお見合いを受けていただけないし、現状でお見合いが組めない状態です」

「どんな男性をご希望なんですか?」とお聞きしたところ「できたら私の年収に近い方、もしくはそれ以上の方」とおっしゃいます。そして、こう続けました。

「私の年収に近いかそれ以上の男性は、女性に若さや容姿を求めています。バリバリ外で働くよりも、仕事は腰かけ程度でいいからいつもキレイにおしゃれをして、家のことをちゃんとやってくれる女性と結婚したがっている。だから、私は選ばれないんです」

 そこで、私は言いました。

「33歳で1300万円を稼げるというのは、誰にでもできることではないですよ。それだけの年収を得られるのは、亮子さんにそういう能力と才能があるから。

 素晴らしいじゃないですか。今は男女平等の社会なのだから、亮子さんが男性を養うくらいの気持ちで、年収には目をつむったらどうでしょう。そうすれば、たくさんの方とのお見合いが組めるのではないですか?」

 そんな私の言葉に、亮子さんは不満げに言いました。

「以前、同い年で私の年収の半分くらいの人とお付き合いしたことがあったんです。最初はうまくいっていたんですが、だんだん男性が働く意欲をなくしていって、あげくの果てに『2人で住むマンションを買ってほしい』と言われました。そうした言動に、私の気持ちもだんだん冷めていきました」

 亮子さんの半分の年収だと、650万。30歳前後の男性だったとしたら、立派に稼いでいると胸を張れる金額です。ですが、彼女が2倍も稼いでいるのだから、マンションをねだってもいいだろうと思ったのでしょうか。

 ただ、物をねだられる行為というのは、ねだられた側は心地いいものではありません。それが1杯600円のコーヒーだったとしても、デートのときに男性がお財布を開こうとせず、「このコーヒー、ゴチな」と言われたら、女性はムッとするでしょう。

 それが何千万円もするマンションだったら、たとえそれを買える経済力があったとしても、確かにいい気持ちはしなかったのでしょうね。

男性は一流大学卒限定!

 外資系の保険会社にお勤めの40歳、年収800万円の幸枝さんは、入会面談のときに、こんなことをおっしゃっていました。

「できれば私よりも年収のいい男性と結婚したいのですが、そういう男性は限られてしまうと思うので、私は男性の年収よりも学歴にこだわりたいと思っています」

 なぜ一流大学を出ていてほしいのか、理由はこうでした。

「そういう方は学生時代に勉強を頑張ったから、その大学に入ることができた。努力ができるという証(あかし)ですよね。自分の人生においても向上心がある方だと思うんです」

「年収にはこだわらない」と言ってはいたものの、最初にお申し込みをかけたのは、ご自身の年収よりも高い男性たちばかりでした。しかし、40代で年収1千万円に近い、またはそれを超える男性たちは、40歳の女性は選ばずに、30代前半、20代にお申し込みをかけるのが現状です。

 思うようにお見合いが組めなかったのですが、その中でも年収800万円の国立大卒の男性とお見合いが組めました。しかしお見合いをしたものの、幸枝さんからお断りをしてきました。

「とても誠実でいい人なのはわかりました。ただ、上司と話しているような感じがして、このままお付き合いに進展しても男性として好きになれないと思いました」

 “誠実で良い人だけれど、上司と話しているみたい”というのは、お見合いを終えて、相手の男性をお断りするときに女性たちからよく言う言葉です。さらに幸枝さんは、「こんなことを言ってもいいのかな」と前置きしてから、こう続けました。

「顔が嫌い」

 いわゆる“生理的に受けつけない”ということでしょうか。この“生理的に受けつけない”というお断りの理由も、女性たちがよく使いますが、判断が自分の感覚なのでやっかいです。

理想の相手は、どこにいるのか

 結婚は、ご自身が納得のいくお相手、好きになれるお相手としてこそ幸せになれる。それは確かなことでしょう。

 しかしながら、彼女たちが選ぼうとしているお相手は、婚活市場にどのくらいの割合でいるのでしょうか? 

 まずは、年収1千万円を超えている男性は、就労男性全体の6.92%(国税庁「民間給与実態調査」2017年調べ)しかいません。ここから1千万円以上稼いでいる30代、40代の男性を絞り込むとパーセンテージはもっと少なくなりますし、さらに、婚活対象となる独身者に絞り込むと、もっともっと少なくなりますよね。

 一流大学を出ている人たちというのもしかりでしょう。何をもって、どこからが一流というのかその線引きが難しいので、ここはデータで示すことはできません。大学偏差値ピラミッドを作ったとしたら、最先端のところに属する男性(その中でも独身)というのは、おそらく数パーセントの人数になるでしょう。

 そうした人たちとお見合いできるという確率がそもそも稀有(けう)なのに、会ってみたら、「女性の稼ぎをあてにされた」「上司と話をしているみたい」「顔が嫌い」「生理的に合わない」……。そんなこと言っていたら、結婚することがますます難しくなっていきます。

 ただ、ご本人たちにしてみたら、残りの人生をひとつ屋根の下で一緒に暮らす人なのですから、「妥協できない」という気持ちもわかります。

理想が高い人ほど、早婚せよ!

 もしも理想どおりの結婚をしたいなら、どうしたらよいのか。思想どおりの結婚ができる確率を高めるためには、できるだけ若いときにお相手を見つけることです。

 たとえば「年収にこだわりたい」亮子さんの場合、今、婚活市場の中でご自身の理想にかなう結婚相手を探そうとしたら全体の数パーセントしかいません。しかし、医学部に通っていた大学時代や研修医時代ならば、亮子さんの理想にかなう独身男性が大学や病院にたくさんいたはずです。

「学歴にこだわりたい」という幸枝さんも自身が大学時代に、一流大学だと思う大学の男性とサークル活動やインカレでたくさん出会う機会を作って、そこから結婚相手を探していたら、もっと簡単にお相手は見つかったでしょう。

 理想の相手にかなう集団が社会に出てバラバラにならないうちに、また、ほかの女性と結婚して既婚者にならないうちに、結婚相手を見つけることが大事だったのです。

 そのチャンスを逃して社会に出て年を重ねてしまったなら、そこは理想を高く掲げるのではなく、今の自分がどうしたら結婚できるのか考えてみるとよいと思います。

 “妥協”ではなく “妥当”な結婚相手を見つけていくことが、婚活では大事ではないかと思うのです。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/