吉本新喜劇の豪華メンバー 撮影/森田晃博

 ホンワカパッパホンワカパッパ♪

 そんな軽快なリズムに合わせ幕が上がり、昔から変わらぬベタな笑いで展開されていく喜劇―。多くの人たちは、吉本新喜劇にそんなイメージを抱いているだろう。

 関西では地上波で放送され、劇団員たちは身近なスターとして古くから愛されている新喜劇。しかし裏を返せば“関西限定”でもあった。

 そんなイメージを変えようと、バラエティー番組でもおなじみの小籔千豊ら次世代座長が奮闘したかいあり、関西以外でもレギュラー放送がスタート。

 60周年を迎えた今年は海外公演に加え、初となる47都道府県公演を行うなど、再び黄金期に突入したといっても過言ではないほどの盛り上がりを見せている。

 そこで、現在開催中の60周年公演に密着&座長2人に直撃! 新たなステージに突入した新喜劇の魅力を大解剖しちゃいます♪

東京公演に密着! 

山田花子 撮影/森田晃博

  男性と女性の楽屋は分かれているものの、座長も劇団員も同じ楽屋で慌ただしく準備。↓

男性の楽屋での様子。 撮影/森田晃博

 食事は温かいケータリングを各自とる。↓

島田珠代に写真をお願いすると、バッチリ決めショット 撮影/森田晃博

 本番20分前に着替えをすませ、ヒロイン役の宇都宮まきと本読み。↓

小籔千豊と宇都宮まき 撮影/森田晃博

 時間がないため、メイク中や移動中も行っていた。↓

小籔千豊と宇都宮まき 撮影/森田晃博

 動き回る島田は舞台裏では真剣な表情でストレッチを。↓

島田珠代 撮影/森田晃博

 本番直前。山田花子、今別府直之といったベテラン勢も緊張の面持ちで舞台を見つめていた。↓

山田花子と今別府直之 撮影/森田晃博

 60周年公演は47都道府県で行われ、それぞれの『住みます芸人』が登場するコーナーも。初日は東京住みます芸人の『キャベツ確認中』が登場した。↓

キャベツ確認中と川畑泰史 撮影/森田晃博

 本番スタート。↓

(左から)川畑泰史、小籔千豊、宇都宮まき 撮影/森田晃博

 直前まで台本を練り直していたとは思えないほど、自然な演技であった。

座長の2人が語る吉本新喜劇の魅力とは

 そのキレ味するどいトークで、バラエティー番組に引っ張りダコの小籔千豊。女装姿で演じるすち子の“乳首ドリル”ギャグが幅広い層にウケているすっちー。そんな座長の2人に、吉本新喜劇の魅力について語ってもらった。

「いろんなお笑いの先生がいますが、いちばん最初に目に触れたお笑いの先生だと思います」(小籔)

(左から)すっちー、小籔千豊 撮影/森田晃博

高齢者の娯楽って子どもには退屈だったりするものも多いけど、新喜劇は全世代をカバーできるコンテンツだと思います

 劇場でお子さんがいると、“笑っているかな?”って気になりますね」(すっちー)

 ともにコンビの解散をキッカケに新喜劇に入団したが、入ってみて、そのシステムのすごさを改めて実感したという。

笑いを科学しているんです

 面白い芸人の先輩たちは感覚でホームランにしているけど、新喜劇はホームランになる理由をきちんと説明できる。それを見たときにいちばん驚きました」(小籔)

「新喜劇はキチンとした型がある。その型は若手のころはベタすぎて恥ずかしかったりするものもあるけど、そのとおりにやったときは見事にウケますね」(すっちー)

コンビ時代はいかにジャンプするかばかり考えていたけど、入団してから笑いまでの“助走”の大切さを知りました。ボケに向かっていくまでの道筋を考えるようになったのは大きな変化です」(小籔)

「コンビではボケ担当だったのですが、ウケる顔や言葉ばかり考えていた。でも、トータルで大きな笑いを取るためには、黙っている間や普通のことを言うのも大事なんだと新喜劇から学びました」(すっちー)

 また、座長になったことでも変化が……。

100周年までつながれば

座長になったときに覚悟を決めたのは、下っ端のころより頭を下げようって。僕が作ったわけでも、60年続けたわけでもないのに、歴史がありレジェンドだらけの劇団を代表してこうしてインタビューを受けるのも本当は申し訳ない。

 だから、“あいつを座長にしてよかった”と思ってもらえる存在にならなきゃなと」(小籔)

「座長になったことで、改めて看板のでかさを実感しました。そのおかげで僕らは活動させてもらえている。

 座長になったときに大阪の難波にでかい看板が出たんですが、『Mー1』チャンピオンになってもそんなことはしてもらえない。大阪で60年やっている劇団の座長ってこういうことなんだなって」(すっちー)

 座長としての目標を聞くと、力強くこんな答えが返ってきた。

60周年の座長がしょうもなかったから、70周年、80周年が迎えられなかったとなるのが嫌。これまでの先輩方の頑張りを次の10年につなげるという思いを4人の座長で共有し、100周年までつながれば」(小籔)

新喜劇がみなさんに愛され、若手も育っていけるよう、僕らも頑張らなきゃいけないですね」(すっちー)

合言葉は、“感謝・平和・革新”です(笑)」(小籔)

小籔千豊 撮影/森田晃博
PROFILE
●こやぶ・かずとよ●’73年9月11日生まれ。大阪府出身。’93年、お笑いコンビ『ビリジアン』としてデビュー。’01年、解散したのをキッカケに、新喜劇に入団。’06年1月、座長に就任。『吉本新喜劇ィズ』『ジェニーハイ』のドラムを担当。音楽フェス『コヤブソニック』も主宰する。
すっちー 撮影/森田晃博
PROFILE
●すっちー●’72年1月26日生まれ。大阪府出身。’96年、お笑いコンビ『ビッキーズ』としてデビューするも、’07年9月に解散。翌年10月に新喜劇に入団。’14年6月に座長に就任した。

吉本新喜劇ワールドツアー ~60周年 それがどうした!~
9月8日(日)まで。前売5500円(全席指定)