横浜中央郵便局別館をリノベーションして開業した、横浜駅直結の複合型体験エンターテイメント施設ビル「アソビル」。中でも、SNSを中心にザワザワさせている『うんこミュージアム』を恐るおそるのぞいてみると、香ばしい世界が……。レッツ、ウンジョイ!
カラフル&ポップな、かわいいうんこがモリモリ 撮影/渡邉智裕

「こんにちうんこー!」「ナイスうんこでーす!!」

 うんこ帽子をかぶったお姉さんが、日常では絶対に口にしないであろう挨拶をハイテンションで交わしてきた。

「あの……序盤すぎて、まだテンションについていけないんですけど……」という取材班の困惑もなんのその、入場そうそう、もう、「うんこ」まみれだ。この異様な世界は一体、何なんだ!?

 実はここ、期間限定(7月15日まで)オープン中の『うんこミュージアムYOKOHAMA』。ミュージアムといっても、世界のうんこの歴史をたどる、うんこのはく製やミイラを陳列するような硬便ならぬ、お堅い施設ではない。うんこをモチーフにしたゲームや、ポップなうんこアートなどを楽しむ没入型エンター、いや、ウンターテイメント空間なのだ。

 冒頭の挨拶が絶えず響く中で、入館者は「マイうんこメーカー」で“パスポート”を作るのだが──。キュートな色とりどりの便座に座って、促されるままに「う~ん」と踏ん張ると便器の中には、いつの間にかパステルカラーのうんこが。わぁ~、かわいい♪ このうんこを棒に刺して、館内を持ち歩く気分はまるで“アラレちゃん”。うん! 自分が何をしているのか、不安になってくる!

「こんにちうんこー!」元気に挨拶しよう 撮影/渡邉智裕
世界中のうんこ玩具や絵本なども集合。USA製うんこ(浮輪)の存在感たるや 撮影/渡邉智裕

「安心してください。既成概念としてあるうんこへのイメージを解放することが、このミュージアムのテーマです」

 そう語るのは、同館をプロデュースした面白法人カヤックの香田遼平さん。無事にオープンを迎えてか、何だかすっきり顔だ。これまでに「UN高」「うんこ名言カレンダー」などのサービスを手がけてきた、一家言を持つうんこのスペシャリストでもある。

「外国人を含めた老若男女に、不快感を与えずに楽しんでいただけるようデザインや細部にこだわりました。正直、“怒られるのではないか?”といった不安もありましたが、おかげさまで好意的な声ばかり。あらためて、うんこの可能性に驚いています(笑)」(香田さん、以下同)

 実際、館内は驚くほどポップな空間が広がる。光と映像と音楽とうんこを融合させたアトラクションや、早々に迎えられるうんこの巨大オブジェは圧巻。なんだか、うんこがおしゃれなものに見えてきて……、非日常感にハマりそうな自分が怖い。

巨大うんこオブジェから、うんこが噴火するうんこ広場(ボルケーノ) 撮影/渡邉智裕

 すでに「うんこ」を20回も連発しているのをお気づきだろうか。

数々の“うんコンテンツ”
羞恥心は水に流すべし

「ウンテリジェンス(知性)、ウンタラクティブ(双方向性)、ウンスタジェニック(インスタ映え)という具合に、みなさんの五感を刺激する“うんコンテンツ”を設けました」

 館内は家族連れ、カップル、グループなどさまざまな形態であふれ、それぞれが無邪気に「うんこ!」と叫んでは、童心に返ったようにコンテンツを楽しんでいる。

 例えば、床にうんこのデジタルアートが出現し、指定されたうんこを踏んでいくゲーム。普段は絶対に踏みたくないうんこを夢中で踏みにいく高揚感。また、大声で「うんこー!!」と叫んでデシベル値を競うアトラクションは、ストレス発散に最適。恥ずかしがっては逆にたまるので、腹の底から出したい。そして、ガーリーでウンスタジェニックな部屋やオブジェなどは、女子同士で盛り上がってうんこ映え。たしかに、うんこミュージアムは、うんこの既成概念を流していくよう。

WANTED!無心でうんこを踏みまくれ! 撮影/渡邉智裕
カップル便器に座って“ウンスタ”映え! 恋愛ウンアップ!? 撮影/渡邉智裕
理不尽すぎる!? “クソゲー(ム)”コーナーに没頭 撮影/渡邉智裕

 ここまで真剣にうんこと向き合うのには理由がある。国際機関OECD(経済協力開発機構)によると、日本人の問題解決能力は他国に比べて軒並み優秀である一方、こと知的好奇心になると世界ワースト2位。そして複合型体験施設『アソビル』は、そんな知的好奇心を向上させるために誕生した背景を持つ。

 うんこミュージアムは、世界に共通する、大人も子どもも密接にかかわる偉大なうんこを通して、やわらかな知的体験を提供している、というから、とぐろ……じゃなかった舌を巻く。

「子どもと一緒に来訪されたお母さんが、帰りの電車で“うんこっておもしろいね”と共通言語として盛り上がってくれたらうれしいです。ぜひ、あなたのうんこ感を解放してください」(香田さん)

 停滞しがちな知的好奇心のフンづまりを解消するべく、“うんミュー”でスッキリしちゃいましょう!

■うんこミュージアム YOKOHAMA
神奈川県横浜市西区高島2丁目14-9 アソビル2F
7月15日(月)まで開催 不定休
営業:月~木11:00~20:00 金土日・祝前日・祝日 10:00~21:00
料金:大人(中学生以上)1600円/子ども(小学生)900円/小学生未満無料
入場は事前予約によるチケット制※空き状況次第で当日券(大人1700円)あり
その他詳細は https://ale-box.com/unkomuseum/

『アソビル』には遊べる体験いっぱい!

 横浜中央郵便局別館をリノベーションした横浜駅直結の『アソビル』は、ほかにも見どころが盛りだくさん。

 特に、横浜ゆかりの18店舗が集結する1Fのグルメストリートは、がっつり飲めるお店から、ちょい飲みできるお店まで幅広い。駅近だけに新たな飲食スポットになりそう。中でも、編集部オススメは、横浜に本社を構える崎陽軒の「シウマイBAR」。いつもの弁当とは異なる蒸したてアツアツのシウマイは、ほどよい弾力と肉汁がたまらない。鉄板で運ばれてくる新商品の「焼焼売」も、ビールと相性よすぎ!

和洋中のレストランが集まる「POST STREET」 撮影/渡邉智裕
蒸したても美味しい崎陽軒のシウマイ。お弁当も購入可 撮影/渡邉智裕

 2Fはうんこミュージアムだけでなく、リアル脱出ゲームや、キングコング西野亮廣の絵本『えんとつ町のプペル』のVRコンテンツなど、知的好奇心を高める体験イベントがそろう。親子で楽しめるフロアだ。

 また、3Fハンドメードフロアでは、陶芸、アクセサリー、キャンドル作りなど計20ジャンル200種類以上の「ものづくりワークショップ」を体験。ほかにもフットサルやバスケットボールができるコートを屋上に開放し、地下1階には“大人の遊び場”であるバーラウンジも展開。それぞれのニーズに合わせて利用できそう。

 まるまる遊べるビル『アソビル』で、思いっきりエンタメ体験しよう!

(取材・文/我妻弘崇)