竹内涼真 撮影/森田晃博

「予告編を妹や弟と一緒に“うわっ、楽しみだね~”と見たあとに、日本語吹き替えのお話をいただきました。主人公と聞いて、すぐにピカチュウを想像してしまったんですが、さすがにそれはないだろうと(笑)

 世界中で愛されているポケモンの“ピカチュウ”をハリウッドが初実写化した映画『名探偵ピカチュウ』(5月3日(金)日本先行公開)。ピカチュウを相棒に、失踪した父の行方を追う青年ティムの声を演じるのが竹内涼真(25)。「めちゃくちゃ難しかったです」と本音を漏らした日本語吹き替えは初挑戦だった。

ちゃんとティムから声が聞こえてくるようにしたくて、いろいろと工夫しました。自分の声そのままだと彼が話しているように聞こえなかったですし、声を変えながら吹き替えをしてみたらキャラっぽくなってしまって。

 それは今回避けたいと思ったので、気持ちの部分からティムに寄せていきました。そうすると、自然と声が変わって。収録が終わった自分の声を聞いたときは、ちょっと変な気持ちでしたね。まだ、慣れていないからかな」

 ティムの動きに合うようにセリフをつけ足したり、語尾を変えたり、映画のテンションと変わらないように意識したりと、さまざまな試みをしたのだそう。それほどに力が入っているのは、小さなころから大好きな“ポケモン”だからかもしれない。出会いは、幼稚園の年中のとき。

「身体を壊して病院に入院したとき、おじさんのおさがりでゲームボーイと『ポケットモンスター』のソフトをもらったんです。それから、中学、高校、今もずっとポケモンシリーズのゲームを続けています。2~3年前だと思いますが映画『青空エール』で共演した葉山奨之くんと飲みながらポケモンをやったこともあって。ものすごく楽しかったです(笑)

 ポケモンの中からパートナーを選ぶとしたら?

いちばんはピカチュウですが、パートナーがいるので。次に考えるとしたら、映画を見てしまったからというのもありますが、フシギダネです。すごくいいシーンで登場するんです。もともとは、カイリューが好きなんですが、残念ながら今回の作品には出てこないので」

よくしゃべる女性は好き

 竹内も「超かわいい」と絶賛する作品の中のふさふさのピカチュウ。そのかわいらしい姿とは裏腹に中身はおっさんで、人間の言葉を話す。もし、日ごろは言葉を交わしてコミュニケーションをとることができない存在と話ができるとしたら? 

「実家で飼っている犬(ミニチュアシュナウザーのフレアちゃん)と会話できたら楽しいですよね。でも、思ってもみない性格だったりして(笑)」

 以前から「犬に好かれる」と公言しているが、その理由がわかるかも。

「まったく想像もしていなかった理由かもしれないですよね(笑)。なんで好かれるのか考えたことはないですが、匂いですかね? 犬って嗅覚がすぐれているじゃないですか、だから僕から犬に好まれる匂いがするのかな? もしかしたら、かわいい顔して近づいていったら、おやつをくれる存在だと思われているのかもしれません(笑)」

 映画で竹内が吹き替えを担当したティムは、新米記者のルーシーと出会うことで成長していく。

「グイグイいくルーシーと、“大丈夫?”と少し様子をみながら進んでいくティムの関係性がすごく面白いんです。お互いに足りない部分や、長けているところを補いながらある事件を解決していく。僕自身、ルーシーのようによくしゃべる女性って好きですね。あまり話をしてくれない方って、どう思っているかわからないときがあるので。僕も話すほうなので、お互いに楽しく会話ができるのは、仲間としてもいいですよね」

竹内涼真 撮影/森田晃博

 もうひとつ今作で描かれているのが父と息子、“親子の絆”。

「僕自身は、父親と何かした記憶があまりなくて。ただ、忙しい父だったんですが、大切なタイミングでは一緒に過ごしてくれたように思います。だから、圧倒的に世話をしてくれた母親よりも、父の印象のほうが強い。いいとこ取りしている印象です(笑)」

 父親とはよく一緒に食事に行き、いろいろな話をするという。

「父だけじゃなくて、母も食事に誘っていますよ。成人してから機会が増えたかもしれません。ただ、母は都内にあまり出たがらないので、必然とフットワークの軽い父と食事に行くことが多くなって。今回の作品は家族もすごく興味津々で、僕が参加したことをとても喜んでくれています」

 将来、自分はどんな父親になりそう?

「僕の仕事は土日がないことが多いので、計算して子どもと過ごす時間を作りたいですね。男の子は、あんまり関与せずに、ポイントを押さえて“いいとこ取り”をしたいです(笑)。女の子はかわいくて、ちょっとワガママに育てちゃうかもしれない。好きなものを買ってあげてたりして。ブランドのお店に行くと、たまに子ども服を見かけるんです。うれしいのは親のほうかもしれませんが、女の子なら買ってあげちゃうかもしれません(笑)」

演技の質を上げていきたい

 公開直前の4月26日には26歳の誕生日を迎える。何か予定があるのか聞くと、

「あぁ、そうですね。忘れてました! 休みなのかもわからないですしね。1日休めるなら、ゆっくりするかな。僕、いつも前日か当日に何をするか決めるんです。その日の自分のテンションとか、天気に合わせて外出するかどうかを決めるので。

 もし、1週間休めるなら、国内旅行に行きたいです。時差のある海外だと仕事に支障が出てしまうかもしれないので。定番ですけど、温泉に入って、そこでしか食べることができない美味しいものが食べたいです」

竹内涼真 撮影/森田晃博

 現在、作品を控え食事制限中という竹内。ごはんの話になると、「イタリアンが好きで、甘いものも好き。好みのアイスを組み合わせてシェイクも作ります。ポテトチップスもお菓子も、ハンバーガーもポテトも大好き」と、次々に食べ物の名前が出てくる。好物は、いい仕事をしたあとに自分へのご褒美として食べることが多い。

「今回、ポケモントレーナー役でカメオ出演もさせていただけて。その撮影でロンドンに行かせていただきました。その経験からも、いろいろな国の人と仕事してみたいなと思うようになりましたね。自分の持っているもの以上に、いろいろなアイデアや考え方がある。まだ、言葉の壁はありますが、意外と通じ合えたんです。だから、思い込みにとらわれないようにしようと思いました。

 もちろん、日本で控えている作品もどんどん演技の質を上げていきたいです。この作品で演じられて満足という気持ち以上に、みなさんに見ていただいて、いろいろな反響もいただいて、そのうえで自分の経験や経歴にしていきたい。挑戦する作品は、全部面白いと言っていただけるようにこれからも頑張りたいです」

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