聖心女子大学の卒業式で古川さんと記念写真を('57年3月)

聖心女子大学同級生・古川裕子さん

 大学での4年間、美智子さまとは英文学科の同級生で、仲よくさせていただいておりました。ご結婚直後に東宮御所で開かれたお茶会にもお招きいただいて。

 正田邸にもよく遊びに行っていて、美智子さまは、自室にあったパンダのぬいぐるみがお好きでした。

 運動神経が抜群で、どんなスポーツでもおできになるし、優秀な成績者だけが選ばれる“オーナースチューデント”にも、お名前がよく貼り出されていましたね。大学の演劇クラブでは、美智子さまは背が高いのでよく男役を演じられていましたが、低い声が出ないのでお困りになっていたことを覚えています。

 とにかくきれいなお方だったので「上を向いて歩いてはダメよ」と、周囲から注意を受けられていたほどです。通り過ぎる男性たちが「あの人に決めた!」となりますし、電車のホームにいるときも、周りの人たちが「なんてきれいな方なんだ」と話していたのを聞いたことがあります。

 勉強もスポーツなども含めて、非の打ちどころのない方なので大丈夫だとは思いましたが、民間から皇室に嫁がれるのは初めてだったので、当時は心配の気持ちもありましたね。

 大学4年生のときに、私が日本画を習っていたので「あなたが結婚なさるときは肖像画を描かせてね」と約束したことがありました。その3年後、美智子さまに絵をお贈りすると「どうもありがとう」とお礼をいただきましたね。

 現在はもう送られてくることはないのですが、一時期は美智子さま直筆のメッセージが書かれた年賀状もいただいておりました。昔はご家族の写真でしたが、'13年は皇居で咲いた舞妃蓮というお花の写真でしたよ。

 あるとき、軽井沢のテニスコートで美智子さまとお話ししていた際に「皇太子さまとテニスをしたのよ」というお話をされ、ピンときたのです。

 いつもの雰囲気とは違ったこともあり、何かあるのかもしれないと思っていたら婚約されたので驚きました。ご成婚のときにお召しになっていた白のお洋服の仮縫いをされた際、お手伝いに伺って「この部分、ちょっとあきすぎじゃない?」といった話もさせていただきましたね。

 ご結婚の直前、美智子さまと思い出話をしていたら「こんな楽しい昔があったことだけでも、私は幸せだと思うわ。これからは今までに比べれば自由はなくなるでしょうけど、そんなことを考えていたら、きりがないんですもの」と、おっしゃっていました。

 今後、ご家族やご友人にどれだけお会いできるかを心配されていたのだと思います。