左から、山口達也(2018年4月)、ベッキー復帰会見(2016年6月)、浦田直也(2019年4月)

 4月20日、コンビニでの女性への暴行事件で逮捕された男女6人組人気グループAAAのリーダー・浦田直也。

 翌日釈放されてすぐ、謝罪会見を開いたが、肝心な部分は「(泥酔して)覚えていない」の連発、当日は髪を黒く染め謝罪に臨んだが、その理由を問われると、「黒いほうがいいかな」と返した。

「報道陣とのやりとりの中、謝罪の場であるのに少し微笑んでいるようにも見える表情や言葉選び、すべてが『軽く』見えてしまいました。会見場に現れてすぐ、長く頭を下げるなど謝罪の姿勢を示していますが、その後の受け答えが、全く反省していないように多くの人に感じられてしまった。

 かつてスノーボードの日本代表だった國母和宏が、移動中の“腰パン”姿を指摘された後の会見で『反省してまーす』と、ふてくされた態度で返したことで総バッシングとなってしまったことを思い出しました」

 と、ある芸能ジャーナリストは語る。

謝罪会見はその後の活動を大きくを左右する

SNSの発展によって、今までよりもちょっとした態度や受け答え方、話していることの矛盾や違和感などが大きく民意として拡散されるようになり、それですべてを失ってしまうことがある時代になりました。謝罪会見で思い出すのは、芸能界だけでなく、レスリング協会や体操協会、日大アメフト部など、スポーツ界の騒動も記憶に新しいです」

 レスリングの伊調馨選手へのパワハラ騒動で、栄和人氏が謝罪会見をした際には「反省が感じられなかった」との声があがった。また日大アメフト部の悪質タックル問題では、反則タックルをした当時20歳の選手があえて顔を出して謝罪したことが共感を呼んだ。しかし、翌日に行われた前監督とコーチの会見では、監督への非難に加え、司会者の態度にも批判が集まった。

 前出の芸能ジャーナリストが続ける。

「最近ではNGT48の山口真帆さんの暴行事件関連もありましたね。運営側が第三者委員会による報告会見を行い、メンバーが関与した事実はないと明言した直後に、山口さんがツイッターで即座に反論。会見中にそれが読まれるという事態になり、現時点では全く収拾がつかない状態に陥ってしまいました」(同)

 会見の発言はもちろん、内容や姿勢によって、そのイメージは大きく左右されてしまう。ほかにも、まだまだ近年の「しくじり謝罪」の例は枚挙にいとまがない。

「ベッキーとゲスの極み乙女。川谷絵音の不倫騒動では、ベッキーは好感度タレントらしく、発覚した当日、すぐに謝罪会見を開きました。そのときに彼とは友人で恋愛関係はないことを主張しましたが、直後に『(会見は)友達で押し通す予定!笑』『センテンス スプリング!』といった会見と真逆の内容のLINEのやり取りが流出。リカバリー不能の事態になってしまいました。

 女子高生に強制わいせつを行った容疑で書類送検された、元TOKIOの山口達也も会見で“しくじり発言”をしました。彼は涙ながらに“許されるのであればTOKIOに戻りたい”と訴えましたが、その甘い考えが猛反発を受けたのです

 このような謝罪会見での失敗は、なぜ相次いでしまうのだろうか。礼儀やマナー本も執筆したあるライターは言う。

「もちろん、それぞれのケースによって違うのですが、いちばん肝心な部分に対しての謝罪をすることが大切です。AAAの浦田さんの場合は、知らない女性に平手打ちしたという事実。そこを、すべて『覚えていません』で押し通してしまった。ベッキーさんも、恋愛関係の事実に大きなウソをついてしまった。よくある『軽率な行動で』などという、どうとでもとれる言動も信頼を得ることはできません。

 そして、謝罪をする相手に対しての誠意がまず見えないといけません。謝る人は、スポンサーやテレビ局への謝罪になってしまうケースが多く、これでは見ている人の共感を得られない。スポーツの各協会や団体もそうでしたが、今はおかしいと思えば誰でも声をあげることのできる時代。世間は当事者が簡単にごまかせたり、だませたりする時代ではありません」

 さらに、会見で謝罪後に行われる質疑応答に関しても注意が必要だと言う。

「浦田さんの場合は、質疑応答での軽さが致命傷になりました。でも、質疑応答の場を設けたのはよかったと思います。

 ベッキーなど謝罪会見は行うものの、そのあとの“質疑応答は受け付けません”というスタイルが時折ありますが、これは論外ですよ。誠意を伝えようとしていると思われるはずがなく、ツッコまれたらボロが出ると言っているようなものです。

 例えばピエール瀧のように、釈放後、報道陣の前で謝罪のみで、会見は行わないというのも、批判はされますが、それ以上のしくじりを起こさないための手段ではあります」(前出のライター)

 謝罪する場の会見なのに、そこでしくじってしまうと、ますます信頼を失うことが多いのが謝罪会見の難しいところ。「すぐ謝罪」の姿勢はもちろん大切だが、まず自身が起こしたことに真摯(しんし)に向き合うことが大切のようだ。

<取材・文/渋谷恭太郎>