『パーフェクトワールド』フジテレビ系 火曜夜9時~ (c)カンテレ

 事故で車イス生活になった青年と、初恋相手の青年に再会した高校の同級生とのラブストーリー。障がい者と健常者との恋愛ドラマは過去にもあるが、プロデューサーが明かした今作のこだわりと見どころとは。

松坂桃李、30歳の“色気”

 大学時代に事故に遭い下半身不随になった青年が偶然、再会した高校の同級生と心を通わせるラブストーリー。原作は、有賀リエの同名コミック。昨年に『パーフェクトワールド 君といる奇跡』として映画化(出演・岩田剛典、杉咲花)された。

 ドラマ版では主人公で車イス生活となった1級建築士の鮎川樹役は松坂桃李、ヒロインでイラストレーターを夢見ていた川奈つぐみ役は山本美月がそれぞれ演じ、松坂と山本は初共演。

 連ドラで純粋なラブストーリーに初めて挑戦する松坂は、「新鮮で、うれしい面もあれば、表情が崩れるような正直こそばゆい面もあります」とコメント。

 制作する関西テレビの河西秀幸プロデューサーは、経緯についてこう語る。

松坂さんとは4年前に『サイレーン』でご一緒したのですが、そのころからラブストーリーをやりたいと考えていました。松坂さんのマネージャーさんと、松坂さんにとっても役が合う! と意気投合したのが『パーフェクトワールド』でした

 30歳になった松坂の“色気”にも期待を寄せる。

「30歳は余裕も出てきたけれど、若いころから引きずっているものも見え隠れする年齢。今作の樹は、これまで松坂さんが演じてきたさまざまな役(プレーボーイ、娼夫、刑事など)が血肉となっているのを感じます。

 ナチュラルな好青年役を演じるのはかえって難しいと思いますが、30代ならではの魅力、色気のある演技をしてくれています。

 わかりやすい“色気”では、樹とつぐみのキスシーンですが、樹が投げかける言葉、つぐみの言葉を受けとめる樹の仕草や表情などにもドキドキするはず。撮影現場でもキスシーン以上に“今のセリフの言い方、カッコいい!”などと歓声が上がっています(笑)」(河西P、以下同)

障がい者のリアル

 制作にあたっては原作のモデルになった、1級建築士の阿部一雄さんはじめ実際に車イス生活を送る方の話を聞いたり、リハビリ施設などに取材を重ねた。劇中に出てくる樹の排泄障がい、障がい者に対する偏見などもリアルで、松坂が迫真の演技を見せている

「ラブストーリーを主軸に、意外と知られていない車イスの方々の実情や人間関係、当事者や周りの人たちとの考え方の違いや思いを丁寧に描写しています。

 つぐみの父親(松重豊)は樹との付き合いに反対しますが、それは年ごろのお子さんのいる障がい者の親御さんの意見を参考にしましたそれぞれの立場で言い分や思いもあり、誰しも間違っていないんです。自分ならどうする、どう思うかを考えながらご覧いただけたらと思います

樹とつぐみはハンディを乗り越えてひかれあうようになる (c)カンテレ

 樹とつぐみは“奇跡の再会”を果たし、お互いにひかれていくが、その一方で、つぐみに一途な幼なじみの是枝洋貴(瀬戸康史)、樹への思いをこじらせぎみの介護ヘルパーの長沢葵(中村ゆり)らがそれぞれの思いで動き出し、ふたりの恋を阻むことに。

「つぐみは介護の勉強を始めますが、長沢からのプレッシャーでかえって空回りするなど、樹への好意だけでは突っ走れない現実を知るようになります。

 ラブストーリーですが、キュンキュンするというよりは、切なく胸に迫る感じ樹とつぐみが純粋な気持ちで、さまざまな困難を乗り越えながら幸せに向かっていく姿にご注目ください

 また、ふたりの恋だけでなく、ほかにも恋愛模様をちりばめているので、そちらもお楽しみに」

 ドラマのキャッチコピーは“いつかこのドラマがありふれたラブストーリーになりますように。”。そしてタイトルの“パーフェクトワールド”とは、どんな世界なのか? 樹とつぐみが織り成す恋愛模様に、その答えが見えるはず。

 原作は完結していないけれど、ふたりがどんな“ハッピーエンド”を迎えるのか、オリジナルのラストにも注目したい。

■撮影現場の癒し犬

樹が飼い始めた子犬のチャコ(c)カンテレ

 樹が飼い始めた子犬のチャコ。茶色いフワフワの毛が可愛い柴犬で、犬好きの松坂、山本らが空き時間にも可愛がっているという。「撮影開始当初は、まだ名前がついていなかったんですが、いろいろ考えた候補のなかから松坂さんと山本さんが、毛色から“チャコ”という名前を選びました」(河西P)

■原作以上の存在感に

瀬戸康史が演じるメガネ男子の洋貴(c)カンタレ

 瀬戸康史が演じるメガネ男子の洋貴は原作にも登場するが、ドラマ版ではオリジナル要素も。

「原作では同級生ですが、今作では幼なじみで家族ぐるみの付き合いという設定を加えて、キャラクターを膨らませています。10年以上も一途につぐみを思う気持ちは切なく、視聴者の方は応援したくなるかもしれません。樹とつぐみのラブストーリーのキーパーソンで当て馬のような洋貴には、樹以上にファンがつくかもしれません!」(河西P)