婚活において、いいご縁に恵まれる人となかなか縁遠い人とがいます。その分かれ目は、どこにあるのでしょうか?  
 婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合いの現場に携わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えていく連載。今回は、「良きご縁を引き寄せるための法則」です。

良きご縁を引き寄せられる法則

神頼みよりも前にすること

 昨今、良縁に恵まれると名高い神社は、どこも参拝客でいっぱいです。ご縁とは目に見えないものですから、神頼みをしてでも見えない力で良縁を引き寄せたいと思うのでしょうね。

 もちろん神頼みも大切なのですが、良縁を引き寄せるにはもっと大事なことがあります。それは、ご自身の周りの人たちを“婚活応援隊”にすることです。

 学生時代の既婚友人やそのご主人、会社の信頼が置ける上司、親戚や近所の世話焼きおじさんやおばさんに、「誰かいい人がいたら、ご紹介ください」と頼んでおくのも一つの方法ですね。

 また、結婚相談所のようなところに入ったら、仲人に、「この子は、本当にいい子だわ。誰かいい人いないかしらね」と、思わせたが勝ち。仲人の会合やプロフィールを持ち寄る交換会のときに、「ウチの会員なんだけれど、すごく性格のいい子がいるのよ」と、ほかの仲人さんに売り込んでもらえます。

 仲人も人の子ですから、ほかの仲人から、「この男性に、誰かいい女性はいない?」と聞かれたら、真っ先に頭に浮かんだ会員から、紹介していくんですよね。

ご縁をどんどん遠ざけていく人とは?

 先日、仲人が集まる会合に出かけたら、ある仲人さんが、困惑した顔で言いました。

「入会して1か月活動した41歳の女性から、『申し込みをかけてくるのは会いたくない人ばかり。会いたい人に申し込みをかけても受けてもらえない。これじゃあ、登録損ですよね。入会のときに仲人紹介の見合いがあるとおっしゃっていましたが、どなたか、ご紹介いただけませんか?』と言われたんです。でも、正直この女性を、ほかのお仲人さんの会員さんに推薦できないなと思ってしまって」

 側で話を聞いていた仲人さんが同調するように言いました。

「以前ウチにもいましたよ。申し込みをかけても受けてもらえないのは、自分に魅力がないということに気づいていないのね。そういう人に限って、スイッチが入ると突然キレ出すの」

 私が知る限り、この2人の仲人さんはご自身の会員をいつもとても大切にしている方たちです。仕事とは割り切らずに親身になってお世話をしているから、たくさんの成婚も毎年、出しています。

 会員のお世話をする仲人たちは、良縁を運ぶカギを握っているのです。そんな人たちに、“この女性には、誰も紹介できない”と思われていたら、良縁は遠のいていくばかりです。

ケチはお金が貯まっても、ご縁は呼べない

 先日、女性会員の真澄さん(38歳、仮名)と、ほかの相談所の男性、里山さん(44歳、仮名)のお見合いが成立しました。「場所を女性側で決めてください」と言われたので、私がいくつか席の予約ができるカフェを当たったのですが、どこもすでに予約が埋まっていました。

 ただ一か所、ケーキセットを頼めば予約のできるカフェがあったので、そこを予約してお知らせしました。

 すると、仲人さんからこんなご連絡がきました。

「申し訳ありません。〇〇ホテルのラウンジカフェに、彼が早く出向いてお席を確保するようなので、予約していただいたカフェではなく、こちらでのお見合いにさせてください。予約していただいたお店は私がキャンセルします。本当にお金に細かくて嫌になっちゃう」

 ケーキセットを頼むと、そのぶん料金が上がります。お見合いのお茶代は男性持ちですから、予約なんか取らなくても自分が早く行って席を確保すれば、数百円のケーキ代が浮くと思ったようです。

 さらに、お仲人さんは、こんなことを言いました。

「先日、北海道の女性とお見合いを組んだんですよ。そのときにも、『土日、どちらでも構いませんが、午後の早い時間にしてください。泊まることになったらホテル代もかかるので』って言うんですよ。とにかく無駄なお金は、一銭も使わないの。こういう男性って、貯金は持っているんでしょうけど、女性にはモテないですよね」

 彼に合う年齢の女性がいたとしても、「この男性はケチだから、推薦できない」と仲人に思われてしまっては、良縁を逃しますよね。

身近な人への小さな気遣いが良縁を呼ぶ

 先日、ひどい風邪をひいてしまいました。

 女性会員のお見合いの立ち会いに行くと、私のガラガラ声を聞いた彼女が、「あ、風邪をひいたんですね。そんな中、お立ち会いありがとうございます。お大事になさってください」と優しい言葉をかけてきました。

 彼女はその日、午後からもお見合いがあったのですが、午前中のお見合いを終えると、「体調すぐれなかったら、午後の立ち会いはいらっしゃらなくても大丈夫ですよ」と、私の健康状態を気遣うメールを入れてきました。

 彼女だけでなく、ほかの会員のお見合い立ち会いもあったのでその旨を告げ、「大丈夫、うかがいますよ」と返信し、時間になったのでホテルのラウンジに出向きました。

 すると、間もなく彼女やってきて、私にのど飴を手渡してくれました。

「今、移動の途中に駅の売店で買ってきました。早く風邪を治してくださいね」

 この気遣いに、心がポッと温まりました。

 彼女だけでなく、旅行に行った会員から地元名産品のお土産をいただいたり、東京駅の近くのホテルでお見合いをした会員から、「このカステラが好きで、東京駅にくるとよく買うんです」といただいたり、スイーツ男子でお菓子作りが好きな会員男性から、手作りのマドレーヌをいただいたりしたことも……。

 こうした人たちは、なにも仲人の私だけに優しいのでなく、自分に関わっているすべての人たちに、こうした優しさをさりげなく振る舞っているのだと思います。

 人に優しい方は、人の喜ぶ顔を見るのが好き。また、喜ばせていただいた人はそれを覚えていて、その優しさには優しさでお返しをしますよね。

 知り合いの仲人さんから、「今度ウチに新しく入った会員がいるんだけれど、誰かいい人いない?」と聞かれれば、「ウチにね、人柄がものすごくいい会員がいるわよ」と、真っ先に推薦するでしょう。

 良きご縁を引き寄せられる法則は、優しさや気遣いを惜しみになく周りに与えることなのですよ。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/