仕事の合間に休憩をとるMatt(本人のインスタグラムより)

 元読売ジャイアンツの桑田真澄投手の次男・モデルのMatt。

   今、彼がネットニュースを席巻するという不思議な現象が起きている。

 突如としてテレビの世界に姿を現したのは‘17年ごろ。自身を“美容中毒”と形容し、まつ毛エクステや眉毛ケア、皮膚科で美容点滴やイオン導入をするなど日々、美を追求する様子を公開し、その“常人ならざるビジュアル”で話題を集めた。

 もはや「桑田真澄の息子」という肩書とは全く関係のない“美容男子ルート”を切り開いたのもつかの間、詳しい事情はわからないが、昨年からは出演がめっきり減少。今年の4月に本人がインスタグラムで「約半年間、テレビのお仕事はすべて断ってきた」ことを明かしている。

──ということで、いま彼の姿を拝めるのはもっぱらインスタグラムが中心ということになった。それに食いついた(?)のがネットニュース媒体だ。

 父の始球式を観戦した様子をインスタにアップしたかと思えば、すぐさまニュースになり、すっぴん姿を投稿すれば、またすぐに取り上げられる。

 しかも、“すっぴん姿”につけられた記事タイトルは、

『Mattがインスタで再び「すっぴん」を披露「清らかで無垢」など反響』(スポーツ報知)

 である。

“初披露”ならまだいい。“再び”でニュースになるとはいったい何事だ。しかもそれらの記事がたびたびネットニュースの『アクセスランキング』上位にランクインするのはなぜなんだ。

なぜ人はMattをクリックするのか

 5月11日にも、

『Matt、ドイツ生まれ男性モデルから刺激「こんなにハンサムできれいなのに美に貪欲な姿勢に脱帽」』(スポーツ報知)

 といった記事がアップされると、一時はランキングのトップ3に入るほどアクセスが急上昇した。

 記事の内容はいたってシンプルだ。ドイツ出身のモデルの友人とディナーをともにし、「(友達が)今いちばんハマってることはスキンケア! とりあえず肌がきれいすぎて。僕ももっと肌磨きしなきゃ!」と刺激を受けた、とのことだそう。知らんがな。

『スポーツ報知』もまさか読売ジャイアンツのレジェンド・桑田の息子を、このようなかたちで取り上げまくるとは思わなかっただろう。いや、それともレジェンドの息子だからこそ取り上げるのだろうか──?

 それにしても、気になるのは“なぜ世間の人々はMattの記事をクリックしたがるのか”だ。

 前述の記事のコメント欄に多く見られたのは、

《この写真が加工ならいいなぁって本当に思う。実物もこのままだったらさすがに怖すぎます》

《Mattさんは化粧というかトリックアート的な領域きてる気がする》

 といった容姿に対する反応。たいていのMattの記事が似たような、インパクトのあるビジュアルに対し驚きを示すコメントが寄せられるのだが、そのなかに興味深い記述を見つけた。

未解決の“神秘”

《見たい、見たい。今いちばん、生で見たい、芸能人。じっくり、見てみたい》

 ある種、これがひとつの答えなのかもしれない。

 街を歩いていてすれ違ったら絶対に気づけるはずなのに、たいていの人は出会ったことがない。それでも確かにこの日本で生活し、レストランでドイツ生まれの友人とディナーをしているMatt。

 そこにある種の“神秘性”を感じてしまうのではないだろうか。これは写真の加工なのか、それとも何か? と、「じっくり見てみたくなる」のかもしれない。最近はめっきりテレビに出なくなったことも、現在の姿への関心を高めるのに一役買っているのだろう。

 また、彼に対するネット上の意見でつきまとうのが“整形疑惑”。これについても本人がたびたび「外国人風メイク」だと完全否定し、疑惑を突っぱねているのも興味をそそる。

 もし仮に整形していたとして(事実かどうかは別として)、「僕は整形です」と公表していたら、ここまでネットニュースのアクセス数は伸びていないのではないか。

 例えば同じ芸能人の有村藍里は今年の3月に美容整形をしたことを公表。手術の模様がドキュメンタリー番組で特集され、はじめこそネットニュースに大きく取り上げられていたが、いまは「インスタに顔写真をアップした」くらいではどこも記事にしない。

 いちど明るみになってしまった事実よりも、あくまで“疑惑”のほうが人を惹きつけるのだろう。“未解決”である限り、Mattに対する世間の興味は持続するのではないか。

  ためしにGoogleで「Matt」と入力して検索してみると、さっそく以下のようなサイトが並んでいる。

『Matt(マット)は整形?超絶進化を過去から現在まで画像でチェック』

『Mattの変身が止まらない。美意識のナゾ、整形説を高須克弥院長に聞いてみた』

『桑田真澄、息子Mattが整形やりすぎで話題に!?すっぴんとの差がヤバイ!?現在は?』

 やはり、みな「で、実際のところどうなの……?」といった興味で満ち満ちているようだ。私もつい高須院長がどんなジャッジを下しているのか気になってサイトに飛んでしまったが、その回答はなんともいえないものだった。

《本人が明かしてないのに『してる/してない』とは言えないですよ。言えることは『ウチじゃない』ってことだけ(笑)》(『女子SPA!』)

 これではますます“神秘性”が増すばかりじゃないか──。

 しかし、そんな彼がついに5月24日、『ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説 2019春 2時間スぺシャル』(テレビ東京系)で半年ぶりにテレビ出演を果たすことを自身のインスタグラムで報告している。

 ある意味、みずからが都市伝説化していたMattを再びテレビで拝むことができる。彼のネットニュースをクリックせずにはいられない“Mattジャンキー”たちはきっとこの日、予定をいれずに直帰するのだろう。

〈皿乃まる美・コラムニスト〉