峯田和伸 撮影/佐藤靖彦

普段、あまり地元には帰らないんです。自分から“ここじゃダメだ”って山形から東京へ飛び出してきたからには、簡単に帰っちゃいけない気がしていて。でも、こないだ25年ぶりに中学の同窓会に参加してみました。50歳くらいになったらほとんど死んでるかもしれないから、40歳のうちに会っておかなきゃって(笑)

 子どものようにいたずらっぽい笑顔で話すのは、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に人力車の車夫・清さん役で、大河初出演の峯田和伸(41)。バンド『銀杏BOYZ』として多くの人々を虜(とりこ)にしてきた彼が、最近はドラマや映画に多数出演し、役者としての活躍もめざましい。

やっぱり本職はミュージシャン

 そのことを本人に聞いてみると、

「われながら、目を見張るものがありますよね(笑)。でも、1年間でお芝居にかかっている総時間数は、本職の音楽活動と比べると、8対2くらいの割合かな。

 もともと、音楽でも“ドームでライブをやりたい”“メジャーデビューしたい”っていう思いはなく、好きだからやっている。お芝居も“こういう役者になりたい”“賞が欲しい”とか目標はなく、こんな僕でも声をかけてもらえているから、やらせていただいているっていう感覚なんです。だから“いよいよ俺が大河に出る時代が来た!”とかは思わないです(笑)」

 役者として「目標はない」と話す一方、今作の役作りのためにランニングや水泳など「運動は昔から苦手」と言いながら、一生懸命に清さんと向き合っている。

 さらに、人物像を内面から作り上げるために、

「物語の中でこの人はどんな顔つきで、どんなたたずまいでいるのかをイメージして、今までに自分が見てきた作品の中から似たキャラクターを探して、取り入れようと。

 例えば清さんの場合は、映画『七人の侍』の中で三船敏郎さんが発する輝きや豪快さ、映画『レザボア・ドッグス』に出てくるスティーヴ・ブシェミのお調子者の感じとかを、要素として参考にしている部分はあります

「俺は何も変わってない」

儲かりまくって、有名人すぎて電車に乗れないっていう状況になったら“俺も売れたな”って思うんでしょうけど、普通に乗ってますからね(笑)。大河とかに出て“なんか峯田、遠くなっちゃったな……”ってみなさんが勝手に思ってくれているだけで、俺は何も変わってねーのになって。リハーサルスタジオも、高校生バンドが練習しているような近所のスタジオで、変わらずに練習してますよ(笑)」