新津春子さん

 2013年から6年間で5回、「世界一清潔な空港」に選ばれた栄誉を持つ羽田空港。その最大の功労者の一人が環境マイスターとして活躍する新津春子さん。『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)でも取り上げられた“清掃のカリスマ”だ。

 現在は、その羽田空港で培った清掃品質を家庭へ、という思いからハウスクリーニング事業を立ち上げ、スタッフの育成に力を入れている。その「おうちお掃除術」のノウハウを盛り込んだ「“世界一”のカリスマ清掃員が教える 掃除はついでにやりなさい!」『掃除は「クロス」を使って上手にサボりなさい! 』(ともに主婦と生活社)は計20万部を突破。

 新津春子さんが私生活で心がけている掃除のコツを伺った。

今から始められるお掃除習慣!

───清掃のプロにいうのもなんですが……掃除がとにかくめんどう。今の時期は湿気やカビがやっかいで、なんとか水回りだけはと思っても、休日にまとめてやるのがせいいっぱいです。

 たとえば、「歯磨き」はイベントですか?「毎日のルーティン」ですよね。掃除もそんなハードルの低い習慣だと思ってほしいんです。

 カビがはえやすい浴室の掃除は、入浴ついでに石鹸やボディソープで洗えばOKです。それと水回りはステンレスの部分をキラッと輝かせるのがポイント

 羽田空港の清掃もそうなんですが、光を反射する窓やステンレス、床面はとくにピカピカに磨き上げているんです。多くの人がゆきかう空港には大量のほこりが舞い落ち、手垢がいたるところにつくのですが、それらは空間のくすみ、よどみになるんです。磨き上げてキラッとツヤを出すことで透明感を上げる。そうすると空間に明るい輝きを与えられるんですね。

───こまかい掃除はおいといて、まずはツヤと輝きを意識するくらいなら、なんとかなるかも……。

 人の印象に残る清掃というのは、清潔感だけでなく、ツヤとか輝きをしっかり出せているかどうか。たとえば肌とか髪、爪がちゃんとお手入れされていてツヤがある人って好感度がいいでしょう? イヤリングやネックレスをつけるだけでも顔まわりがパッと輝いてすてきな印象を与えるもの。空間の清掃も同じで磨き上げることで明るさと魅力が増すんです。

 まずは磨く習慣をつけることが大事。たとえば、スマホ。いつも手アカまみれじゃないですか?私は、電車にのっている時など、ちょっとした空き時間があれば、スマホやコンパクトの鏡を磨いています。わざわざ不便に、気分悪く使う必要はないでしょう? 5秒あればきれいになるんですから。まずはそんな身近なところから始めてみましょう。

掃除とギョウザの意外な共通点!

───手アカどころか、若干、割れてもいます……。本を読んで驚いたのは、傘を使うたびに洗っているということなんですが。

新津春子さん

 雨は酸性なので乾かすだけでは折り目に黒い線が入ったり、骨がさびる原因になるんです。使った傘は毎回浴室でボディソープで洗って酸を洗い流し、直射日光のあたらない風通しのよいところでしっかり乾かして防水スプレーをかけます。傘袋も裏返してたまには洗いましょう。傘立てに挿す場合、マイクロファイバー製のクロスを敷いておくと湿気防止にいいですよ。

───マイクロファイバー製のクロスは、たしかになにかと便利ですよね。

 速乾性がありますから、洗濯後もサッと乾いて便利。梅雨時のお掃除にはうってつけですね。皿やグラスを拭いたり、しょうゆさしの下に敷いて液だれしないようにしたり、観葉植物の葉っぱについたホコリを拭いたり、家じゅうマルチに使えます。

 掃除はね、「水気も汚れもすぐに仕留める」のがコツなんですよ。ほうっておくと、こびりついて洗剤に頼らないといけなくなりますから。

 ちなみに私は食材専用のマイクロファイバー製クロスも用意。わが家で作るギョウザはニラをまるごと一把使うんですが、吸水性が高いので水切りがしっかりできて重宝なんですよ。「中華料理は水切り命、少しでも水気が残ったらおいしくない」というのが父の教えでした。

───掃除とギョウザの具。「水気を残さない」が共通ポイントだった……。

 日々の生活に役立つお話、ありがとうございました。

『“世界一"のカリスマ清掃員が教える 掃除は「ついで」にやりなさい!』(主婦と生活社)
新津春子=著 ※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
『“世界一"のカリスマ清掃員が教える 掃除は「クロス」を使って上手にサボりなさい! 』
(主婦と生活社)​新津春子=著
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PROFILE
●にいつ・はるこ●日本空港テクノ株式会社 ハウスクリーニング事業部(兼務)環境管理部環境マイスター。1970年、中国残留日本人孤児2世として中国・瀋陽に生まれ、17歳で渡日。以後、30年以上清掃の仕事に従事する。「“世界一”のカリスマ清掃員が教える 掃除は“ついで”にやりなさい!」「“世界一”のカリスマ清掃員が教える 掃除は「クロス」を使って上手にサボりなさい! 」(ともに主婦と生活社)ほか、著書多数。