映画『天気の子』製作報告会見(2019年7月2日)

 前作『君の名は。』で400億円を超える興行収入を叩き出した新海誠監督(46)が放つアニメ映画『天気の子』。

 離島から上京した少年が、不思議な力を持つ少女と出会い、自分たちの生き方を選び取っていく物語で、今月19日に初日が迫る。

 7月2日に製作報告会見が行われたが、

「通常であれば、完成披露試写会を実施する段階。ところが、この期に及んでまだ完成していない。新海監督は会見で『なかなかしびれる状態です。今もスタッフが全力で作業中です』と言っていましたが、公開がずれ込むようなことはもうない、というメドが立ったようです」

 とはスポーツ紙映画担当記者。

 関係者試写や完成披露試写会を実施する時間的余裕はないが、メディアを通してファンにアピールしたい。そのために製作報告会見が行われたが、そこでは、これまでの映画の記者会見には見られなかった新風景が見られたという。

予算のかからない宣伝マン

 前作の大ヒット、新海監督の世界的ネームバリューなどから「あらかじめヒットが約束された作品」(映画ライター)だが、試写会がない不安を少しでも薄めようと配給元は、会見でひとつの手を打った。ファン100人を記者会見場後方に入場させ、いわゆるインフルエンサーとして活用しようとしたのだ。

「配給元の東宝は、よく演劇の会見で”オーディエンス”と呼ぶ人を招いています。かつては口コミと言われた宣伝スタイルが、現代はSNSになっている。その効果は期待できるもので、今回、東宝は映画の会見に珍しくファンを招き入れたのです」(前出・スポーツ紙記者)

 彼らに対し、配慮もした。メディアのカメラマンが撮影した後に、20秒間の撮影タイムを設けたのだ。質問も2問、受けつけた。その後、司会者がSNSで拡散を、と促したが混乱はなかった。

 昨年、大ヒットした映画『カメラを止めるな!』も、SNSによる口コミが功を奏し、大ヒット映画に化けた。

 5日に公開された映画『Diner ダイナー』の初日舞台あいさつでも、主演の藤原竜也(37)は「みなさんの力を借りられたらうれしいです」と、客席にSNSでの拡散を呼びかけた。

「そのようなあいさつは映画イベントの定番」(前出・映画宣伝会社)という。自分の金で映画を見て面白いとSNSでPRするファンは、映画製作側から見れば、まったく予算のかからない宣伝マンと同じだ。

 製作記者会見にファンを入れるかどうかの判断は、製作者側が自由に決めることができるため、

「演劇と同じように、映画の会見にも“オーディエンス”が日常的に見られるようになっても不思議じゃない。ただ、SNSでの画像拡散を許さないジャニーズタレントが登壇者にひとりでも入っていればできませんけどね」(前出・スポーツ紙映画担当記者)

 時代は様変わりする。

<取材・文/薮入うらら>