圧倒的大パノラマ! 緑が萌える山々の後方には、夏でも万年雪に包まれる壮大な北アルプス

 今年の夏はどこに行くか決めた!? まだ、という人は北アルプスを一望できる白馬の夏山はいかが? 山といっても登山靴は不要。サンダルやパンプスをはいてお散歩気分で、親子3世代で出かけよう。そう、グリーンシーズンの白馬は身近な場所になっていた!

絶景を楽しむ“天空カフェ”

 眼前に広がる2800メートル~2900メートルクラスの山々が集う、壮大な北アルプスの一角、後立山連峰(白馬岳・鑓ヶ岳・杓子岳など)。白銀と深緑のコントラストは、まるで絵はがきのような優雅な光景。そんな景色を見られるのはコツコツと山を登ってきた、さぞ体力に自信のある“山ガール”だけ……と思いきや、

遠くから眺めるだけでも十分きれいなのに、こんなに近くでアルプスが見られるとは思いませんでした。しかも、こんなに気軽に、パンプスで行けるなんて(笑)

 そう話すのは、初夏を満喫するため長野県・北安曇郡白馬村へ旅行に来たという都内に暮らす50代女性2人組。標高1300メートル地点とは思えないほど軽装だ。そういえば、あたりを見渡すと、なんと小さな子どももいれば、高齢者までいるではないか!?

 ここは山小屋、ではない。白馬岩岳エリアに昨秋オープンした『白馬マウンテンハーバー』。ニューヨークで20年以上も愛される老舗『ザ・シティ・ベーカリー』の焼きたてパンと淹れたてのコーヒーを、絶景と楽しめるおしゃれな“天空のカフェ”だ。

白馬マウンテンハーバー

 空にせり出すように建てられたテラスまでは、麓からゴンドラに乗るだけで登山装備は必要なし。都会の猛暑から抜け出し、大空の下でできたてサクサクのサンドイッチを冷えたビールで食す……、想像しただけで幸せになりませんか!? さらに近くにはドッグランもあり、ワンちゃん同伴で一緒に夏の思い出づくりもできてしまう。あれっ、ここって標高何メートルだったっけ。

山頂からせり出す“天空”のテラスで、マフィンやサンドイッチ、コーヒー、スープにアルコールも楽しめる

 これまで登山・トレッキング愛好者には知られた夏の白馬だったが、実は今、劇的に変わりつつある──。

 白馬といえば、’98年の長野五輪で知られたとおりウインタースポーツのメッカだ。実際、5年前からは“HAKUBA BALLEY”と銘打ち、さまざまなプロモーションを展開。’16年には共通自動改札システムを導入し、すべてのゲレンデが、単一チケットを利用して滑走できるようになり「日本最大のスキー場」として生まれ変わった。昨今、パウダースノーを求める外国人スキー客が殺到している、という話を耳にしたことがあるかもしれない。

 一方で、春から秋にかけた“オフシーズン”では、コンテンツ不足による低稼働や、低迷する国内スキー・スノーボード参加率などの影響から、リゾート地として改善の余地があった。そこで、“グリーンシーズン(夏場)”の観光客、特に日本人観光客の誘致に力を注ぎ、初めて白馬を訪れる人でも、気軽に北アルプスの魅力を満喫できるスポットやアトラクションを続々と誕生させているというわけ。

「夏山=トレッキングという固定観念を変えたかった」とは、白馬マウンテンハーバーを手がけた白馬観光開発株式会社代表取締役・和田寛さん。

「“山登り”のイメージが先行する限り、体力のない方や関心のない方は、夏の山には足を向けません。山の魅力を知っていただくために、白馬には“登る”以外の楽しさがあることを伝えたかった」

 実際、和田さんたちが手がけたのは、従来の夏山のイメージを覆すものばかり。特に麓からゴンドラでアクセスできる栂池高原(標高約800メートル)に登場した、フランス発のアドベンチャー施設『白馬つがいけWOW!』は、昨夏オープンから3か月で8000人の来場者を記録した人気スポットだ。

3世代で過ごせる非日常

 中でも、日本初の空中自転車綱渡り「コギダス」は、地上10メートルの高さから片道約140メートルの湖上を往復する。いわば3~4階建てのビル屋上を自転車で走破するようなもの。その名のとおり自分の足で漕ぎ出す勇気とスリルはまるでサーカス団の一員になった気分。最初は恐る恐る足元ばかり見ていたものの、慣れてくるとこれが爽快! 顔を上げれば、見事な白馬の山々が目に飛び込んでくる空中ツーリングは非日常体験だ!!

想像以上の高さを行く「コギダス」は、命綱があるとわかっていても怖い! 下の池では「ポチャダス」を楽しめる

 ほかにも3層式でネットが張り巡らされた「アミダス」、絶叫系スライダー「トビダス」といった大自然をバックにしたアトラクションは圧巻。とはいえ「子どもだけが楽しいんじゃないの?」な~んて思ったら大間違い。ネット全体がボヨヨンと跳ね続けるアミダスは、油断したら転んでしまうのでバランスをとるのに必死。夢中になって30分も中にいると汗びっしょり……、これはダイエットにもなるんじゃないの!?

「トビダス」のスライダー
エアチューブに乗り、約12メートルの高さから滑りおりて空に向かって「トビダス」

 そして、WOW! からゴンドラリフトで約20分、さらに上がると、手つかずの大自然に囲まれた栂池自然園(標高約1800メートル)に到着。

3世代で来た家族が、おじいちゃんたちは自然園へ動植物観察に、親御さんとお子さんはWOW! で過ごすことも多いです」と和田さんが語るように、それぞれの家族に合った選択肢が北アルプスのごとく広がっているのだ。

遊歩道が整備された「栂池自然園」で、高山植物や山並みを楽しむ

 そんな夏山の魅力を最大限に活かしたコンテンツ作りは功を奏し、昨年のグリーンシーズンの来場者数は過去5年で最高を記録した。

単なるスキー場ではなく、白馬はオールシーズンを満喫できる“マウンテンリゾート”を目指しています。老若男女、それぞれにマッチする山の魅力を届けていければと思います」(和田さん)

 夏の白馬に満足すれば、「今度は冬も来たいね」と再び、冬の白馬に日本人スキー客が戻ってくるかもしれない。まずはこの夏、サンダルやパンプスをはいて、お散歩気分で北アルプスの山々を見に行ってはいかが♪

HAKUBA MOUNTAIN HARBOR』
GREEN SEASON 営業中~11月10日(日)※冬季も営業予定
営業時間:9:00~16:30※天候により営業できない場合あり
アクセス:白馬岩岳ゴンドラリフト「ノア」山麓駅から約8分

『白馬つがいけWOW!』
営業中~10月31日(木)
営業時間:9:00~16:00(最終入場15:00)
料金:アミダス 大人2500円、小児2000円
トビダス・タワー 大人2000円、小児1500円など(すべて税込み)
アトラクションごとに変動
アクセス:栂池ゴンドラリフト 栂池高原駅より約10分