冠二郎

最近、高齢者ドライバーによる事故が多発し、高齢者の免許自主返納への気運も高まっている。ベテラン芸能人も例外ではなく、それぞれが難しい判断をしている。立場上、人一倍、運転に気をつけなくてはならない彼・彼女らに、免許返納と高齢者の運転について考えをインタビューで聞いた。

「今年1月、インフルエンザがきっかけで『虚血性心不全』を患いました。緊急手術をして何とか生還し、退院してからは大好きなサウナと、車の運転を控えているんです」 

 医師から「1年間は現在の状態を保ってほしい」と言われたことで、万が一があってはまずいと考え、自ら運転をいったんやめているという。

「血糖値や血圧が上がるのはまずいので、3年前に結婚した31歳下の妻に塩分の調整をしてもらっています。

 退院してから1年間、今の状態であれば、この先も生きられると聞いて、自主的に運転もやめて車も売却しました。車があると乗ってしまうかもしれませんし、車を運転できるかどうかもわからない状態で運転して、事故でも起こしたらまずいですから」

 実は、免許を取得して運転を始めたのは、50歳を過ぎてからだったんだとか。

「高校を卒業してからすぐ、1度免許を取ったんです。ただ、そのまま東京に出て歌の修業に邁進していたので、更新ができなくて失効しました。その後、50歳を過ぎてから再び試験を受け、免許を取り直したんです。なので、実際の運転歴は20数年ですね。

 当時は車をわが子のように愛していて、何かがあると車に乗ってご飯を食べたり、考えごとをしたり……。若いころから乗っていたら“そろそろ運転も卒業かな”と思うかもしれませんが、50歳を過ぎてから車に乗っているので、なかなか返納する気持ちになりづらい部分もあるんです」

 車に対して特別な思いがあるそうだが、それは歌手になってからの“夢”も関係していると語る。

「この道に入ってから、3つの夢があったんです。『紅白歌合戦』に出ること、いい結婚をすること、そして車の運転をすることでした。

 私の人生にとって、車はとても大切なもの。事務所の社長からも“冠さんから運転をとったら、生きがいがなくなっちゃうじゃないですか”と、言われるほどです」

歌手という職業の矜持「自分を老化させるわけには」

 とはいえ、1度は生死をさまよい、75歳という年齢ということもあって、来年の免許更新で運転再開の可否を決めるそう。

「デビューから52年目ですが、自分が高齢化していることにまったく気づいていなかったですね。来年4月がちょうど、免許更新のタイミングなので、教習所で“運転をしないほうがいい”といった結果が出たら、素直に返納を考えようと思っています。運転できると思っても、自分ではわからない部分もあると思いますから。

 しかし、そのときに問題がなければ、運転を再開したいですね。妻の父親は86歳ですが、今でも元気に運転していますし、体力的にも個人差があると思います。それに私は歌手ですし、自分で自分を老化させたくありません。そうじゃないと、歌自体も弱くなってしまいますからね!

 芸能人も車との付き合い方は十人十色だが、運転をより一層楽しむためにも、安全運転を心がけてほしい!