藤井隆太社長はフルート奏者という異例の経歴を持つ。桐朋学園出身

「セクハラなんてなかったのに捏造(ねつぞう)してけしからん!」

 龍角散の元法務部長の福田由紀子さん(仮名・50)が、藤井隆太社長(60)によるセクハラ行為の社内調査をしたことで不当解雇されたなどとして、解雇の無効と地位の確認、賃金の支払いなどを求めて6月、東京地裁に提訴した。

 社長の赤裸々なセクハラの記録が事細かに記された訴状に記者らからは驚きの声も。

飲み会の席で女性社員に“首筋が色っぽい、ゾクゾクする”などと囁(ささや)いたり、福田さんを呼び出して抱きつくなどした行為が記されていました。いずれも酒の席での出来事で、被害に遭った女性社員はセクハラと認識していないことから社長側は“捏造だ!”と断言していました」(全国紙記者)

セクハラだけではなくパワハラも

 自分のことを“独裁者”と雑誌のインタビューなどで公言する藤井社長。原告側によると“独裁”は飲み会の席だけで行われていたわけではないという。

また、この問題はセクハラだけではなくパワハラも含んでいて、元法務部長の姉の福田明子さん(仮名)は、龍角散最大のヒット作『おくすり飲めたね』の開発者でテレビに取り上げられるほどの人物でしたが突然、千葉の多古町の工場に左遷され、外部との接触を禁じられるなど不当な扱いを受けています。龍角散側は福田さん姉妹がクローズアップされるのが面白くなかったのかもしれません。

 実際に、お姉さんが林修先生の番組で“今会いたい人”に選ばれたとき社長はそうとう嫉妬していたといいます」(民放ワイドショー関係者)

左から福田由紀子さん(仮名)、伊藤安奈弁護士、徳住堅治弁護士

 龍角散側はセクハラ、パワハラ行為を否定。

社長の経営方針を批判していた元部長が自身の姉と築いてきた社内での影響力を失わないためにセクハラの申告を利用しようとした

 などと、権力争いに論点をすり替え反論。

 裁判において「証拠を提出する」などと言っていたようだが──。

 その第1回口頭弁論が7月25日、東京地裁(伊藤由紀子裁判長)で開かれた。

 龍角散側からは社員が4人出廷したが社長は姿を見せず。福田さんの担当の伊藤安奈弁護士は、

藤井社長は“セクハラ、パワハラはなかった。証拠がある”などと言っていましたが、肝心の証拠を最後まで出さなかった。裁判長はあきれ顔で“では、次回必ず証拠を持ってきてくださいね”と念を押す始末でした

 次回公判は10月。龍角散が主張する証拠は出るのだろうか。この問題、のど飴(あめ)のように“スッキリ”とは解決しそうにない。