山口達也

 元TOKIO・山口達也が『女性セブン』にキャッチされたのは、ジャニーズ事務所を退所して1年ほどたった今年5月のことだった。頭を丸め、ひげが伸び、一見ワイルドな感じはするが、くたびれた姿に驚いた人は多かった。

 それから4か月、今度は同誌で5時間にわたるロングインタビューを受けている。

 掲載されている写真を見ると、丸刈りなのは前回と変わっていないが、ひげはきれいに剃られてさっぱりし、目に力を感じる。痩せて引き締まった体に白いTシャツが良く似合っている。退所した当時の山口より、精悍さが増しているように感じた。

 だが、表紙をめくって驚かなかった読者はいないのではないか。

 巻頭ページに、腕を組みカメラをしっかりと見つめている山口の姿があった。しかもカラー写真。どう見てもこれは“グラビア写真”だ。隠し撮りされたモノではなく、きちんとセッティングされて撮影されたものだ。

記事と写真の“矛盾”

 インタビューでは、現在の生活や病状の経過、TOKIOに対する思いジャニー喜多川さんとのエピソードとともに、「芸能界復帰はない」といった心境を吐露している。

 そしてインタビューの最後は

《今回取材を受けましたが、私は一般人なので今後は話すつもりはありません。今まで心配してくれていたかたがたに、“山口はなんとか元気です”と伝わればありがたいです》

 と結ばれている。

 インタビューでは何度か自分が一般人であることを強調しているが、巻頭の“グラビア写真”でポーズを決めているところをみると、正直、矛盾を覚えざるをえない。

《もう話さないと決めていたんですが、これを最後の告白とさせていただきます》

 と重い口を開けたにしては、何枚もポーズを決めて写真を撮らせていることが同記事のネット版をみてもわかる。

 週刊誌に使われることがわかっているにも関わらず、腰や顎に手を当ててカメラ目線をとる彼の姿からは、とても“一般人”である自覚はみてとれない。そもそも不祥事を起こして表舞台から消えた人間は、写真を撮られ、しかも世間に公開されるのを嫌いそうなものだが……。

事前にインタビューは決まっていた?

 確かにファンは復帰を待ち望んでいるだろう。また、ファンにとってはこれほどありがたい記事はないだろう。

 だが、読者は山口のファンばかりではない。100歩譲って激白はまだいいとしても、ポーズを決めた“グラビア”写真はいかがなものか。

 アイドル然としたこれらの写真を目にしてしまうと、“自分は一般人”とか“芸能界復帰はない”という言葉は詭弁(きべん)にしか聞こえなくなってしまう。

 事件直後にも関わらず、会見で「TOKIOに席があるなら戻りたい」と口走ってしまったことからもわかるように、彼はきっと心の奥底では芸能界に戻りたいと言う気持ちでいっぱいなのかもしれない。

 たとえ、深く考えずに写真を撮らせたとしても、堂々とキメポーズを取っている写真で巻頭を飾られてしまうと、『女性セブン』と結託して復帰の筋道をつけようとする“プロモーション記事”と捉えられてしまう可能性すら出てきてしまう。

 また「自分の言葉をメディアで発信したい」という意図を隠すために、よくあるインタビュー記事ではなく、“体として”直撃風になるように記事を構成したのでは? と邪推されても仕方がない。

 それほど、この“グラビア写真”は深い意味を持ってしまうのだ。

 週刊誌にノセられてしまった結果なのかもしれないが、せっかくの“最後の告白”なのにこれではかえって印象を悪くしてしまいそうだ。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。