黒羽麻璃央 撮影/吉岡竜紀

 9月6日公開の映画『いなくなれ、群青』で、孤高の文学少年・ナド役を演じた黒羽麻璃央。

「制服を着られてよかったです! 似合ってました? よかった、ありがとうございます!」

 7月に26歳の誕生日を迎えた黒羽は、劇中で学生服を着られたことをうれしそうに笑った。インタビューの前に行われた撮影でも、カメラの前で次々とポーズを変え、くるくると表情を変える姿がとても印象的だった。

“すげー奴”になりたい

「(主演の横浜流星とは)初めての共演だったので、それはうれしかったですね。流星くんのほうが年下ですが、しっかり芯を持っていて、役に対して真摯に、そしてアツく考える役者だなって」

 横浜が演じる主人公・七草にとって唯一、心を通わせる友人という重要な役どころ。物語の中では、周りと違った空気をまとい謎めいた存在感を放っている。

「見てくださっている人に疑問を抱かせる役でもあったので、それを意識しながら。自分でも演じていて面白い役だったと思います」

 黒羽は2010年の第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストをきっかけに芸能界入りし、2012年のミュージカル『テニスの王子様』で俳優デビューを飾った。コンテストで準グランプリを獲得した当時のことを振り返ってもらうと、「スーパースターになっている予定だったんです」と意外な言葉が。

最初はこの世界をナメていた……という言い方はよくないですが、そんな感じ。例えば、ジュノンボーイになったら、仮面ライダーや戦隊ヒーローの主演が決まって、映画やドラマに引っ張りだこ! みたいな(笑)。誰しもが小池徹平さんとか三浦翔平さんとか、溝端淳平さんとか菅田将暉さんみたいになれると思っていたんです。9年前に思い描いていたのは、今の僕よりずっと上のところ。でも現実はそこまで甘くないし、すごい世界ですよね。

 どんな役者になりたいかと聞かれたら、単純に“すげー奴”。よくわからないけど、すげーなって言われる人っているじゃないですか? 芝居にしろ存在感にしろ、周りの人に“すげー”とか“やべー”って思われる役者になりたい。できれば同業者の方から。点数をつけられるものではないと思いますが、将来的には“形”として残る何かが欲しいですね。役者として賞をとるとか」

初めての経験

 評価について、“イケメン”と言われることはうれしい?

うれしいです、容姿を褒めていただけるのは。でも、“イケメン”って言われてる人はたくさんいる(笑)。芸能人って日本の大学生の人口よりも多いんですって。第一線で活躍している同年代の役者はものすごく多いので、戦国時代に生きてるな〜って感じますね」

黒羽麻璃央 撮影/吉岡竜紀

 これまでの俳優生活の中で、初めての経験だったと語ったのが意外にも“誕生日のお祝い”。

「僕、今年初めてリアルタイムでお祝いしてもらいました! 当日にバースデーイベントを開催して、ファンの方からおめでとうって言ってもらえたんです。舞台やテレビを通さず、“役”のフィルターがかかっていない状態でみなさんとお会いできる機会って少ないですし、すごくうれしかったです」

 ちなみに、これまでの誕生日は?

家で、ひとりで、ファンのみなさんから送ってもらうTwitterのコメントを見て楽しませていただいてました。誕生日当日って、みんな気を遣ってなのか、まったく誘ってくれないんですよね(笑)。

 普段から、僕は自分から誘わないタイプ。ご飯行こうって誘っても、断られたら“僕のこと嫌いなのかな”って考えちゃうので、誘ってもらえたら行く……というか、もっと誘ってほしいんです!!(笑)

<作品情報>
映画『いなくなれ、群青』
9月6日全国公開
原作:河野裕『いなくなれ、群青』(新潮文庫nex)
監督:柳明菜
脚本:高野水登
配給:KADOKAWA /エイベックス・ピクチャーズ
(c)河野裕/新潮社 (c)2019映画「いなくなれ、群青」製作委員会

黒羽麻璃央 撮影/吉岡竜紀

黒羽麻璃央◎くろば・まりお 1993年7月6日生まれ。宮城県出身。180cm、AB型。ミュージカル『テニスの王子様』(2012年)でデビュー。出演ドラマ『パパ、はじめました』(BS日テレ)、『テレビ演劇 サクセス荘』(テレビ東京)、『コーヒー&バニラ』(MBS・TVKほか)が放送中。

<取材・文/たかはしもも子 ヘアメイク/泉脇崇(Lomalia) スタイリスト/ホカリキュウ>