安部譲二さん

結婚歴3回はウソ、今の女房とは実は9回目なんだ

 とある雑誌のインタビューの中で、“妻への遺言”として、こんな言葉を残していた安部譲二さん。

「中学時代から暴力団の事務所に出入りし、ヤクザ稼業を続けながら日本航空に勤務。その後、クラブ経営やノミ屋などさまざまな職に就き、'86年には刑務所での体験を綴った自伝的小説『塀の中の懲りない面々』がベストセラーに。本人いわく結婚を9回するなど、まさに波瀾万丈を絵に描いたような人生でした」(芸能プロ関係者)

 破天荒すぎる辛口コメントでも有名だった。今回、週刊女性でお蔵入りとなっていた、その当時に芸能界で話題となった有名人をバッタバッタと“斬り”まくった譲二さんの名言(⁉)の数々を大放出。

先輩後輩じゃなくて親子になりましょう

 日本ボクシング界で一世を風靡していた亀田ファミリーについては、

弱い相手を選んでケンカしてりゃ、負けるわけねぇんだから

 世間の気持ちをズバッと代弁してくれるのが持ち味だった。

 証券取引法違反で逮捕されたばかりの堀江貴文氏には、彼独特のエールを送った。

実刑は間違いねぇだろう。いくらカネを持ってたって、刑務所で風邪ひくと死んじゃうぞ。刑務所を出たら、ホリエモンを“わが息子”と言ってた武部(勤・元衆議院議員)に、本当の息子にしてもらいな。ま、生きて塀の中から出て来いやと

 空前の『冬ソナ』ブームを生んだ俳優のぺ・ヨンジュンに対しては、

日本人のオバちゃんたちは気づいてないけどさ、風呂に入るときにメガネをはずしたら、ただのバカな顔になるよ。本当に間延びした面だぜ

“みんながイイ”というものに対しては、辛辣な言葉を飛ばすひねくれ者でもあった。在任日数が歴代2位となった安倍晋三首相が最初に就任した際には、

自民党の偉いヤツはね、みんな女にはモテないからね。前の総理大臣は女房すらいなかったから、みんな喜んじゃって騒いでいるだけ。女房を見せびらかすんじゃねぇよ。たいしたオバさんじゃねぇじゃねぇか。滝川クリステルちゃんのほうがよっぽどキレイだぞぉ!」

 おしゃべり好きで、取材時には話がどんどん脱線していった。あるとき、週刊女性が元フジテレビの某女子アナについてコメントを求めると、

「番組で共演したことあるよ~。あんまりキレイな人じゃなかったなぁ~。フジテレビの女子アナは、キャバレーのホステスみたいなのばっかりなんだよ。唯一まともで素晴らしいのは、永六輔さんのお嬢さんの永麻理さんだけ。ある式典でね、永六輔さんと同じテーブルの隣の席に座ったことがあるんだ。そのとき、永さんに言ったんだ。“もう先輩後輩っていう仲はやめましょう、私たちは親子になりましょう”って。

 どうすれば親子になるんだって永さんが聞くから、麻理さんをボクにくれればいいって言ったら、その直後に永さんがステージの上に呼ばれてね。マイクの前に立ったけど、うろたえちゃって。“主催者がバカで隣に安部譲二を座らせやがって……、スピーチなんかできません”だって~、アッハハハハー! 

 永さんはね、スピーチと寄稿文の名人なんだよ。あの方の寄稿文を読んでごらんよ、すごいから。 ボクはね、作家になる前から、“うわっ、こういう文章を書きたい”って思った人なんだぞ!」

晩年もホラ話で人を笑わせて

 記者が女子アナについての話に戻すと、

今の女子アナはバカばっかり。そんな中、唯一、光り輝く女がいるぞ! 気づかないか⁉ 滝川クリステル!! あれは、いい女だぞ~!!

 今や小泉進次郎・衆議院議員の妻となった“滝クリ”と、女優の剛力彩芽が大のお気に入りだった。

滝川クリステルちゃんのおふくろはシルビア・クリステルに違いないぞ。クリステルは名前だろ?

 滝クリの本名を伝えても、 

いや、シルビア・クリステルの娘だ!! オイ!! 今すぐ映画『エマニエル夫人』のDVDを買ってこい!!

 譲二さんの根底にあるのは、“人を笑わせたい”というサービス精神。9月上旬、譲二さんの妻に晩年の様子について話を聞いた。

'15年に大腸がんの手術をして、去年の暮れには骨折したりで、最近は入退院を繰り返していたんです。でも、本人には“家に帰りたい”という強い要望があったので、今年4月からは自宅療養をしていました

 自宅で寝たきりの日も多くなったが、サービス精神だけは衰えていなかったという。

相変わらずといいますか(笑)。リハビリを手伝いに来てくれる理学療法士や看護師に自分の自慢話というか、ホラ話を披露して笑いを取っていましたよ。彼らはだいたい20代なので安部譲二のことを知らないから、おしゃべりすることが刺激になっていたのかもしれません

 夫の最期を語る妻の声も、まるで楽しい思い出話をするかのようだった─。

 9月2日、急性肺炎で亡くなる直前まで、人を笑わすことにこだわり続けていたという譲二さん。天国でも、そのユーモアあふれる弁舌を存分にふるっているに違いない。