リリー・フランキー
 リリー・フランキーの職業は? そう聞かれたら、あなたはなんと答えるだろうか。NHKの朝ドラと大河ドラマにW出演していることから、俳優と答える人も少なくないだろう。だが、そのルーツはイラストレーターで、マルチに活躍しているのは周知のとおり。いったい、どんな人なのか―。

 朝ドラでも大河ドラマでも、重要な役で姿を見せているのがリリー・フランキー(55)。

「『なつぞら』では紀伊國屋書店の創業者・田辺茂一がモデルの社長役、『いだてん』では朝日新聞のカリスマ記者・緒方竹虎を演じています。NHKの2大ドラマで同時にキャスティングされるのは珍しいですね」(テレビ誌ライター)

 テレビだけでなく、映画でもなくてはならない存在になっている。

「昨年カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』で主演。是枝作品では『そして父になる』で福山雅治さんと共演。いま話題になっているネットフリックス配信のドラマ『全裸監督』にも出ていますね。橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』が高く評価され、それ以来、有名監督から引っ張りだこです」(映画ライター)

 活躍を見てリリーを専業の俳優だと思ってしまうのはしかたがないが、もともとはイラストレーターだった。

リリーが持つマルチな才能

「北九州市小倉の出身で、武蔵野美術大学を卒業。最初は5000円のイラストを月に3本描いていただけだと言いますから、借金まみれの生活でした。たちの悪いサラ金から借りて大変なことに。30代になってから少しずつ仕事が増えてきて、10年かけて借金を完済したそうです」(前出・テレビ誌ライター)

 '94年には森高千里のCD『ロックン・オムレツ』のジャケットイラストを担当。そのころ、放送作家としても活動を始めた。

「'91年には宍戸留美のラジオ番組、'95年からは『SMAP POWER SPLASH』で構成作家を務めました。絵の方面では『おでんくん』で絵本作家デビューも果たしています」(前出・テレビ誌ライター)

 '05年に発表した自伝的小説『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』は220万部を超える大ヒット。ロックバンド『TOKYO MOOD PUNKS』のメンバーでもあり、肩書がわからないほどマルチな活動を行っているのだ。

「飲食店経営者の顔もありますよ。'15年に渋谷と恵比寿の間に居酒屋『夜ノ森』、銀座にバー『水の泡』をオープンしました」(スポーツ紙記者)

 週刊女性が以前取材すると、

「オススメはレモンサワー。リリーさんが愛媛に行き“無農薬でおいしいレモンを見つけた! これでサワーを作ろう”ってなったんです。リリーさんは『かに胡麻豆腐』をつまみに、ビンテージのウイスキーを飲んでいますよ」

 と店員が語っていた。

 しかし、改めて訪ねてみると状況に変化が。

「リリーさんとは関係なくなって、別の会社が運営しています。リリーさん時代の名残はお酒のメニューが描かれた木の板とお店のロゴぐらいですよ」(現在の男性店員)

 銀座のバー『水の泡』は夏季休暇中だったが、近くの店の従業員が話をしてくれた。

「リリーさんのお店と聞いてご挨拶に伺いました。リリーさんがカウンターに立ってお酒を作ってくれてね。作ると言っても酒を注ぐだけですけど(笑)。もとはお茶漬け屋さんで、カウンターだけの小さなお店です。海外の蒸留所でなければ買えないようなお酒が置かれていてウイスキーマニアなんだなと思いました」

さまざまな女優と流した浮名

 活動が多岐にわたるだけあって、交友関係は幅広い。

「福山雅治さんとは公私ともに親しい間柄です。ムロツヨシさん、ピエール瀧さんは飲み仲間ですね。みうらじゅんさんとは一緒に“ラブドール”を買いに行った仲(笑)。KAT-TUNの亀梨和也とは毎年、元旦を一緒に過ごしていますよ」(前出・スポーツ紙記者)

 モテ男としても知られ、さまざまな女優と浮名を流した。

「'00年には女優の加藤紀子さんとの熱愛が報じられました。長澤まさみさんとも関係を噂され、'11年には宮古島への2泊3日の旅行が発覚。'16年には5時間ものはしご酒デートが報じられました。柴咲コウさんと路上で熱いキスを交わしていたという報道もありましたね」(前出・スポーツ紙記者)

 派手な女性遍歴だが、今も独身。レインボーブリッジを見渡せる高級マンションに、ひとりで住んでいる。彼の人生観をうかがわせるのが、'09年に行われた雑誌『CUT』のインタビュー。『ぐるりのこと。』の演技について話していた。

《どの仕事もそうだけど、ただ一生役者だけやれって言われるのは嫌。絵だけ一生描いてろっていうのも嫌なんですよ。そうやって決められるのが嫌なんです》

 マルチな才能を発揮しているのは、型にはまるのがイヤという気持ちがあるかららしい。肩書をつけるとしたら何か、という質問にもインタビューで答えていた。

《その日、なんの仕事で呼ばれているかっていうのが一番でかいですよね(笑)。なんかこう……なにかになりたいって思ったことが1回もないんですよね、おれ。野球選手はあったけど。職業に憧れはなかったんですよ、まったくといっていいほど。なにかを表現する人になりたいなっていうのはすごくあったけど》

 まだ自分の可能性を出し切ってはいないようだ。もしかすると、来年はハリウッド映画で主演しているのかも。