KOKIAさんとレオナルドくんの微笑ましいツーショット

 1998年にデビュー以来、アテネ・オリンピック日本代表選手団公式応援ソング『夢がチカラ』など、オリジナル作品はもちろん、CM音楽、アニメ主題歌、ゲーム主題歌なども手がけ、国内外で活躍するKOKIA。

 現在3歳になるひとり息子レオナルドくんの母となってからは、『tontonton』というプロジェクトも立ち上げ、大人も子どもも楽しめる「どうぶつ」や「いきもの」をモチーフにした音楽で新たな人気を得ている。

 海外でも活躍するKOKIAは、レオナルドくんにも早くから英語に慣れ親しむようにしているという。すでに、日本語でも英語でも会話ができるようになっているというレオナルドくんにどのように学ばせてきたのでしょう? ご本人にインタビューしてみると……。

話をちゃんと聞き、きちんと伝える

あどけなく笑うレオナルドくん

──3歳ですでに2か国語を使えるってすごいですね

 英語が話せる相手とは英語で、日本語が必要な場面では日本語で、というふうに自然に使い分けるようになってきています。

 どの言語でも、言葉でいちばん大事なのはコミュニケーション力。話したい、伝えたい、知りたいからこそ言葉は身につくと思うので、その意味で、子どもの話をちゃんと聞く、そして、こちらの話もきちんと伝える、ということは意識して心がけています。子どもが“ママと話したい″という気持ちを持てるようにすることが大事だと思います。

──何か特別に勉強していることはありますか?

 特別な勉強というよりは、ネイティブのきちんとした言葉にどんどん触れてインプットしていくのが、特に小さいうちは効果的だと思っています。

 そもそも息子をインターナショナルスクールに入れていることはもちろんですが、日本に住んでいる以上、それだけでは英語を本当の意味で身につけるのには不十分だと思います。親子で勉強という意味でわが家では、ふだんテレビをつけるときの音声はすべて英語にしています。私はネイティブではないので、自分のための勉強も兼ねてですね。

 もともと私はあまりテレビを見ないので、1日のうちのそれほど長い時間ではありませんが見ている息子は、“テレビは影響力がある”というとおり、私よりハイペースでどんどん英語を身につけていってるように感じます。

KOKIAさん

 こんな言い方をするのは、頑張っていらっしゃる親御さんに失礼かもしれませんが、高いお金をかけて、子どもが小さいうちから、日本人が英語を教えるような英語塾に通わせたりするのは少し中途半端な気がします。

 音楽もそうだと思うのですが、結局は“海外の人とつながりたい! 話したい!”とか“音楽でつながりたい! 世界に飛び出したい!”というような興味が自分の内から湧き出てこないかぎりは、環境をどっぷりそれにする以外、身につくはずがないように思うんです。

──KOKIAさん自身はどのようにして外国語を身につけたのでしょうか?

 私も3~4歳から英語は習わされていたのですが、そんなに身につかず、学校の英語の成績などもあまりよくありませんでした。ただ、学校の英語の成績がよかった人でも、大人になってあまり活かせていない人ってけっこう多いですよね。

 言葉ってやはり使わないと意味がない。私の場合、音楽で世界の人とつながっていきたい、コミュニケーションをとりたいという思いが強くなって、かなり苦労しましたが、とにかくどんどん英語を実践で使うようにしはじめてから、コミュニケーションがとれるようになっていきました。それでもまだ今も子どもと一緒に勉強を続けています。

創作話には本人を登場させて

──ほかに子育てで気をつけていることはありますか?

抱き合うKOKIAさんとレオナルドくん

 大人が思っている以上に、子どもは状況に応じて進化していけると思います。ですから、ちょっと危ないこと、ちょっと痛いくらいのことは、目の届くところで経験させるようにしています。また、大人の対応しだいで、子どもはちゃんと応えたふるまいをしてくれます。話しかけられたらちゃんと返事をする、何か起きたときはその都度、ちゃんとわかるように説明するといったことは気をつけていますね。

 それと、結果だけでなくプロセスを見せるようにすることも。例えば、料理なら食材を切るところから見せていくとか。服を洗って、干して、たたむまで見せるとか。どんなことにも、人の手がいろいろかかわっていることを知ってほしいと思っています。

──「読み聞かせ」についても工夫されているとか?

 ある時期までは絵本を読んであげていたのですが、寝るときは部屋を暗くしたい。でも、そうすると絵本が読みづらい。そこで“創作話”を聞かせてあげることにしています。「むかーし、むかし、あるところにレオちゃんという男の子がいました。ある日、レオちゃんが歩いていると、大きな恐竜さんがどっしどっしと歩いてきました……」というふうに、本人を創作話の中に登場させると、より興味を持って聞いてくれます。

──KOKIAさんが初めて手がけた絵本『ママのだいじさん』には日本語と英語がついていますが、その意図は?

『ママのだいじさん』作・絵=KOKIA(主婦と生活社社刊) ※記事内の画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします

 絵を描くのは好きだったのですが、『tontonton』で描いた動物の絵が好評で、そこから絵本につながっていきました。もともと世界と音楽でつながりたいという夢を持ち続けていて、この絵本も、世界中の親から子へ、そして次の世代へと読み継がれていくようになってほしいという願いがあります。英訳は私にとってチャレンジでしたが、とてもいい勉強になりました。

──レオナルドくんの感想は?

「ママとレオの本だね」と言ってくれています。人生は一度きり。親子になれたのはとびきりスペシャルなご縁。ママという顔も、ミュージシャンという顔も、楽しみながらベストを尽くしたい。いろいろな言葉を身につけることで、それだけ感情の色の種類も増えると思います。音楽であれ、絵であれ、子どもも親も、自分自身が主人公になってハッピーな人生を送るためのエールになるような作品を世の中に作り続けていきたいですね。


KOKIA(こきあ)1998年のデビュー以来、国内外で活躍するシンガー・ソングライター。さまざまなCMソングや主題歌を手がけ、「ボーダーレスな歌声」として、海外からの評価も高い。著書に、自ら子育てをするなかで気づいた、子どもが自分らしく幸せに生きる力の育み方を綴った育児エッセイ『ハッピー力』(あさ出版)がある。「こんな音楽が子どものためにあったらいいな」をプロの音楽家目線で作った音プロジェクト『tontonton』を2017年に立ち上げる。同プロジェクトは動物をモチーフに曲が書かれ、登場する動物の絵を自ら手がけ、反響を呼んだことから、今回の絵本作家デビューとなった。本作は、音楽を通して世界中の人たちに「LOVE&PEACE」を問いかけているKOKIAらしい愛情あふれるストーリーとなっている。オフィシャルホームページwww.kokia.com

《INFORMATION》
『ママのだいじさん~My life with my precious』
作・絵=KOKIA 主婦と生活社刊 本体1100円+税
ひとり息子・レオナルドくんへの思いを、やさしいタッチの愛らしい絵と独自の言葉づかいで綴った愛情あふれるストーリー。