末吉9太郎(CUBERS) 撮影/齋藤周造

「アイドルオタクアイドル」として、アイドルのオタクのモノマネをSNSにアップするたび、“いいね”の数が1万超え。オタク用語である「マウント」「病んだ」「沸いた」などを多用した動画の再生回数は3000万回を突破し、ネット上では大きな話題に。そんな末吉9太郎さん(26)に、不思議な名前の由来から動画が生まれたきっかけを聞いてみた。

――いま、Twitterを中心にSNSでは9太郎さんの「オタクあるある動画」がとても話題です。“末吉9太郎”というお名前の由来から教えてください

 所属しているグループが『CUBERS』っていうんですが、ステージデビューが1週間後に控えているタイミングで名前が決まっていないのは僕だけだったんですね。そんな中、事務所のエラい人に「お前は末吉9太郎だ。“きゅう”は数字の“9”だ!」って言われたんです。正直、“マジか、この人頭おかしいんか”って思ったんですけど、そのときは言い返すことができず……。

 だってほかのメンバーは名字もついていないし、自分なんか名前に数字が入ってるんですよ。これはヤバすぎ。誰も止めなかったのなら、ここはヤバい大人しかいない、って思いました。偉い人たちがいないところで、メンバーに「9太郎って何? ヤバくない?」って言ったら、みんな自分のことじゃないから面白がってて。

――特別な意味が込められているんでしょうか……

 まあ、本名に近いところはあります(笑)。最初こそ本当にヤバいとしか思ってなかったんですけど、マネージャーさんが偉い人に何回も何回も名前案を送って、やっと決まった名前ってのをあとで知りました。

 今は“9ちゃん”って呼んでもらえるし、僕、構ってちゃんだから、自己紹介すると「この名前何〜?」って聞いてもらえるからうれしくて! “9太郎”って調べたら僕しか出てこないから、エゴサ(エゴサーチ)もしやすいですし!

――9太郎さんがTwitterにあげている動画、数十万回再生は当たり前になっていますが、ネットでの反響をどう受け止めていますか?

 オタクの人たちが見て、広めてくれているのってすごくうれしいです。

――そもそも、動画をあげはじめた理由は?

 もともと、いろんな動画を毎日あげていたんです。今の「オタクあるある」とはまったく関係ないものだったんですけど、ある日ネタに困っちゃって、“あっ、ファンの人のまねしよう!”って思って何となくあげたら、めちゃくちゃ反響があったのでそこから続けて今に至ります(笑)

――『公式からの突然の「大切なお知らせ」に取り乱すオタク』や、『前日の夜に誘われて遠征するオタク』など、動画のネタが細かく、観察眼が鋭いですね

 僕自身がアイドルオタクっていうところも大きいと思います。人によっては、バカにしてるとか感じたり、意見は賛否両論あると思うんです。でも僕は言いたい! とっても愛を持ってやっています! 好きなアイドルのためにマウントをとっちゃったり、我の強さが出ちゃったり、オタクって可愛いなって本当に思ってるんです!

 僕、エゴサをめちゃくちゃするので、動画の反響もリアルタイムで見てるんですよね。“今回のいいね数、過去最強じゃない?”とかガッツポーズしながら(笑)。普通、アイドルはこんなことしないですよね。

8年間で受けたオーディションは100社以上

――9太郎さんは「アイドルオタクアイドル」とのことですが、アイドルを好きになったきっかけは?

 小さいころからモーニング娘。さんが大好きで、モーニング娘。になりたいって本気で思ってたんですけど、中学生のときに、モーニング娘。の募集要項が「女性のみ」って気づいちゃって。“え、僕モーニング娘。になれないじゃんヤバ!”って。でも、モーニング娘。になれないとしても、アイドルにならなきゃと思い、中2からオーディションを受けはじめました。

末吉9太郎(CUBERS) 撮影/齋藤周造

――それから8年間、オーディションを受け続けたと

 そうなんです! 8年間ずっとオーディションに落ち続けました。むちゃくちゃ受けたんですよっ、同じところでも何回も! そのときに見てくれる審査員が違えば可能性あるかもって思って(笑)。何でこんなに可愛いのに落とすの? 僕、こんなに原石だけど? って思ってたから、オーディションに落ち続けても落ち込みはしなかったですね。

――その根気強さが今につながっているんですね

 いま思えば、モーニング娘。が好きなんだから、オーディションでの歌唱審査でも『LOVEマシーン』とか歌えばよかったのに、普通ぶって流行りの曲とか歌ってました。モーニング娘。の曲を歌ってればもっと目立てたのに! あ、ちなみに当時歌ってたのはflumpoolさんの『君に届け』とか(笑)。

――アイドル以外の道に進もうと考えたことは?

 本当にないです! アイドルになる自分しか想像していなかったし、アイドルにならないと幸せになれないとまで思ってましたから。僕、幼稚園のころからずっと友だちがいなくて、カバンとか蹴られたり、めっちゃいじめられてたんですよね。でも、メジャーデビューが決まったときに「おめでとう」とか「すごいね!」とか連絡きましたね〜……。ふざけんなよって思って、既読もつけないまま削除しちゃいましたけど!!

――9太郎さん、いろんな意味で強い!

 ふふふ。僕、かなりひねくれてるんでっ!!

――アイドルとしてのポリシーや、座右の銘は?

 ステージにいるときは絶対に隙を見せないこと。オタクの人って、ステージからハケる本当に最後の瞬間までちゃんと見てるじゃないですか。僕も絶対そうだし。だから、気は抜かないです。

 座右の銘は「下には下がいる」かな! 上には上がいるって言いますけど、下もいる。そう思ったら安心できません? これって性格悪すぎるかな(笑)

末吉9太郎(CUBERS) 撮影/齋藤周造

末吉9太郎◎1993年7月28日生まれ。2019年5月にメジャーデビューした5人組ユニットCUBERSのメンバー。自身もアイドルとして活動しながら、現在でも休日はアイドルの現場に足を運び握手会などにも参加。TwitterやTikTokなどのSNSに投稿する「オタクあるある動画」は3000万回再生を突破。10月9日にはCUBERSのセカンドシングル『妄想ロマンス』が発売。
■Twitter(@cubers_9taro

CUBERSセカンドシングル『妄想ロマンス』※記事内の画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします

<取材・文/たかはしもも子>