思いがあり、行動があり、結果が生み出されます。「結婚したい」という思いがあって、結婚相談所に入会するという行動を起こしたはずなのに、どうもいい結果を生み出さない(結婚できない)。それは、なぜなのでしょうか?
婚活ライターをしながら、仲人としても現場に関わる筆者が、目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えていく連載。今回は、「結婚できない人たちの思考回路と行動パターン」のお話です。
石橋を叩いても渡らないから
何も始まらない
入会したばかりの佳子さん(31歳、仮名)は、これまで男性と一度もお付き合いをしたことがありません。婚活も生まれて初めての経験でした。入会面談に来たときに、こんなことを言っていました。
「母から、『付き合う男性は、よく見極めなさい。恋愛で失敗すると大変なことになるわよ。お付き合いするなら、学歴、家柄のキチンとした人にしなさい』と言われて育ちました。母の言葉がいつも頭にあって、学生時代は恋愛をすることもありませんでした。社会に出てからは、恋愛の仕方もわからず、ここまできてしまいました」
恋愛を一度もしたことがなく、30歳を過ぎてしまった。ならば、これから恋愛をすればいいのです。結婚相談所に登録しているのは、そもそも“結婚をしたい”と思っている人たちなのだから、そこでお見合いをして、好きになれる人を探せばいい。結婚するために起こす行動は、極めてシンプルなはずです。
私は、佳子さんに言いました。
「普通に生活をしていたら、デートをする異性に頻繁に出会うのは難しいですよね。でも、結婚相談所に入っていたら、やる気になれば、月に4人、5人の異性とのお見合いができるし、交際になればデートもできる。その中から好きになれる人を探せばいいんですよ」
佳子さんも、私の言葉に大きくうなずきました。ところが、入会したもののお相手選びから難航しました。
「お申し込みいただいているお相手には、ピンとくる方がいません。じゃあ、私からお申し込みをかけてみようかと思ったのですが、どんな人にお申し込みをかけていいのかわかりません」
そこで、一緒にお相手を選ぶことにしました。
事務所にやってきた佳子さんと一緒に、男性会員が登録しているサイトを見ていったのですが、お申し込みをかけるお相手がなかなか決まりませんでした。
「学歴は、やはり大卒がいいです」
「この方は、年収が低いのが気になります」
「住んでいる場所が、私の職場から遠いので、結婚したら仕事場に通えなくなります」
「太っている方はちょっと……」
あげくの果てには、こんなことを言いだしました。
「プロフィールの情報だけでは、どんな人かわかりませんよね」
どんな人かわからないから、お会いするのです。お会いして、お話しをするのです。そして、フィーリングが合うか、どんなお人柄なのかを確かめるのです。
匙(さじ)を投げたくなりましたが、「恋愛をした経験がない」と言うのだから、私が手とり足とり、水飲み場まで連れて行くことも仲人の仕事だと思い直し、根気よくサイトを一緒に見ていきました。すると、佳子さんの条件にかなうのではないかという男性がいました。
「この方は、どうかしら? 大卒で都内在住で年収も600万円あるわよ」
私が言うと、佳子さんはプロフィールをまじまじと見て、家族の欄を指さしながら言いました。
「でも、この方、お父さまが高卒です」
親の学歴にまでこだわっていたら、もう選ぶお相手はいなくなります。頭でっかちになって条件にダメ出しばかりするのではなく、直感を大事にする。そして、行動してみることが大事!
石橋を叩いても渡らない。一歩も前に出なければ、新しい未来を切り開くことはできませんよね。
着地点が必ずマイナスになる
負のスパイラル人生
尚美さん(35歳、仮名)は、吉行さん(36歳、仮名)と真剣交際に入って、1か月がたちました。そんなときに、「ちょっとご相談したいことがあります」と面談の申し入れがありました。
事務所にやってきた尚美さんは、深刻な顔で言いました。
「吉行さん、もしかしたら貯金がないかもしれません」
「どうしてそんなふうに思うの?」
「すごくこだわりが強くて、服はファストファッションのお店では買わない。ワインの趣味もあるみたいです」
人にはそれぞれに趣味がありますし、稼いだお給料の中から趣味に費やす金額を決めて捻出(ねんしゅつ)しているのなら、何の問題もない。また、真剣交際に入っているのですから、お互いに貯金がいくらあるのか、1か月にどのくらいの金額で生活をしているのかなど、具体的なお金の話をするのも大切なことです。
そんな話を尚美さんにすると、「お金のことは聞きにくい」と言います。そこで、私が吉行さんのお仲人さんに、貯金の有無をさりげなく聞きました。お仲人さんからは、「貯金はあるそうです」という答えが返ってきました。
それを告げると、尚美さんは言いました。
「貯金はあるって、いったいいくらあるのでしょうか?」
さらに数日後、また尚美さんから連絡が入りました。
「今は別居していますが、横浜に70歳になるお母さんがひとり暮らしをされているようです。お父さんは他界しているし、吉行さんはひとりっ子。将来的に同居になるかもしれません。私が介護をすることになるのでしょうか? もしそうなったら、自信がありません」
そこで私は、尚美さんに言いました。
「同居するかしないか。介護するかしないか。まだ起こっていない未来のことを心配しても、何の意味もありませんよ。それは、そうなったときに考えればいいことではない?」
人間、生きていれば毎日いろんなことが起こります。その起こった出来事を、プラスにとらえるか、マイナスにとらえるかで、未来は変わっていくのです。
例えば、貯金の話。今は貯金がないかもしれない。でも、結婚したら2人で働いて、毎月決まった金額を貯金していけば、蓄えも増えていくでしょう。将来的に貯金ができればいいと考えるか。貯金がないから結婚してからが不安だと考えるのかで、とる行動も、未来も大きく変わっていきます。
年老いたひとり暮らしのお母さんのことにしても、人の人生はそれぞれです。介護などされずに一生を終える人もいます。また、介護が必要になったとしても、それがどの程度なのか、介護保険を使ったり、お金に余裕があるのならヘルパーさんを頼んだり、施設のお世話になることもできるのです。
生活をしていて、起こる事象は変わりません。ですが、それをプラスにとらえる人には、明るく幸せな人生が待っています。ところが、マイナスにとらえる人は、マイナスがマイナスを呼び、負のスパイラル巻き込まれていく。不幸にどっぷりと浸かっていくのです。
最後までマイナスの着地点
結局、吉行さんからはその後、“交際終了”の連絡が入ってきました。お断りの理由は、「尚美さんと結婚の話を具体的にするようになったら、後ろ向きな発言ばかりするので、気が滅入ってしまう。彼女とは楽しい結婚生活が送れないと思いました」と言うものでした。
吉行さんから“交際終了”がきたことを告げると、尚美さんは言いました。
「そうですか。吉行さんは、コミ力もあったしモテる人だろうから、私を好きにさせることも簡単だったでしょうね。私は恋愛経験も少ないし、上手な恋愛の仕方もわからないから、フラレてもしかたないですよね」
またもや、着地点がマイナスでした。好きな異性にフラレるのは、誰でもあることです。でもフラレたときに、それをどうとらえるかで、次に素敵なお相手に巡りあえるかあえないかも変わっていきます。
「こんな私だからフラレて当然」と思うのではなく、「男女は相性。たまたま今回のお相手とは相性が合わなかったけれど、私に合うお相手は、どこかにいる。きっと見つかる」
そう思って、次の出会いに向かうことが大事なのです。
何が起こっても、ポジティブな方向に考えを転換する。婚活を成功させたいなら、忘れないでくださいね。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/