かつて空港で激写された木村拓哉と工藤静香

 『女性セブン』(10月24日号)で大きく報じられたのは木村拓哉・工藤静香の娘Koki,……でなく、一般人の長女だった。そのタイトルは、

『木村拓哉&工藤静香 「Koki,より凄い」長女がフルート日本一に!』

 次女・Koki,の活躍ぶりはいまさら言うまでもないが、ここにきて、芸能活動をしていない長女にもふたたび注目が寄せられている。

クラシックの世界で“親の七光り”は通用しない

 現在長女は来年大学受験を控えた高校3年生。フルートの腕前については以前から報じられていたが、今回、全日本学生音楽コンクール東京大会予選に出場し、フルート部門の高校の部を勝ち抜いて、10月中旬に開催される東京大会本選への出場権を得たという。

 それだけではない、8月末に開催された『日本奏楽コンクール』では管楽器部門高校の部で見事優勝している。長女の実力は“本物”といっていいだろう。

「クラシックの世界は芸能界とまったく関係がないとまでは言いませんが、有名人の子どもというだけで、手心を加えたり、忖度するようなそんな甘い場所ではありません。芸能界における“親の七光り”といったものは通用しない世界ですよ」(音大講師)

「木村家にはKoki,を含めて2人の娘がいる」ということは世間でよく知られている。しかもそれは今に始まったことではない。その背景には当時の芸能界のオープンな気質が大きく関わっている。

 SNS時代の今だからこそ有名人が出産しても、性別や名前を公表することは少なくなったが、以前は当たり前のように公にされていたものだった(今でこそ本名を伏せ、「長女」という一般人表記をされているが)。海外では誘拐の危険性があるので、有名人がその子息の顔や名前を公表することが滅多にないと考えれば、かつての日本の芸能界はとても異質な場だったといえよう。

 まだネットも普及していなかった当時、木村の長女に至っては、名前はもちろんのこと出産時の様子が複数の週刊誌で報じられ、生後間もなくの臍(へそ)の緒がついた状態の彼女の写真までが掲載された。何も有名人みながそうだったわけではなく、やはり木村拓哉がそれほど特別な“国民的スター”であったから、そこまで報道が加熱したわけである。

「キムタクの娘」呼ばわりは嫌!

 そんな娘たちを気遣って、通わせる学校にインターナショナルスクールを選んだりもしたが、芸能マスコミは常に彼女たちをマークして、世間の注目がなくなることはなかった。

 だが、同じ木村の子どもであってもそれぞれ個性は異なる。現在のKoki,をみるに、華やかな世界で脚光を浴びることになんの抵抗もないどころか、むしろそういった光り輝く世界を求めているのが見て取れる。一方の長女はというと、

以前、週刊誌にも報じられたことがありましたが、芸能界には全く興味がなく、表舞台に出ていくことがもともと好きではないようです。音楽以外にもゲーム好きな一面もある大人しい子。当時から“キムタクの娘”扱いをされることを非常に嫌がり、音楽のためにフランス留学し、日本を出たいと言っている時期もあったそうです」(芸能プロ関係者)

 現在は都内の私立高校へ通っているという。ただそこは演奏家を目指すエリートたちが多数在籍する学校。きっと彼女もさらに上を目指し、音大へ進むだろう。その実力からすれば志望する学校へ行けると聞くが、問題はそこから先だ。

 実力ある演奏家が国内のコンクールを総なめしたら、腕試しも兼ね、次は世界に目を向けるのは当然の成り行き。彼女も世界に挑戦するのだろう。

 そこでまた凄まじい成績を残したりすれば、木村の娘でなかったとしても国内だけでなく世界の音楽業界から脚光を浴びるのは必至。しかし、厄介なことに“木村拓哉の娘”であれば芸能マスコミからも大きく取り上げられることになってしまうのだ──。

 芸能界一の夫婦だからこそ、脈々と報じられ続けてきた歴史がある。当時の加熱ぶりの名残りが今回の報道にも繋がっているのかもしれない。

 それはすでに木村家が“物語化”していることの証明でもある。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。