美容師時代の夏目容疑者。技術よりも「イケメン美容師」として知られていた(ツイッターより)

「そこで働いていたからといって“カリスマ美容師”といえるかわかりませんが、勤めていた美容室は原宿・表参道・青山界隈では有名な人気店ですよ。自分でそう名乗る美容師なんて、ほとんどいないと思いますけれども」

 と同じエリアの同業者は言う。

 警視庁新宿署は10月9日、傷害と強制わいせつの疑いで新宿区歌舞伎町のホストクラブ従業員で元美容師・夏目裕亮容疑者(27)を逮捕した。友人とともに酒を飲んでいた20代女性の指や腕を噛み、別の場所で無理やり胸を揉むなどしたという。

女子受けヘアーが得意

「事件があったのは8月24日深夜のこと。指を噛んだりしたのは歌舞伎町に近い新宿区内のカラオケBOXで、店を出た後、区内の別のマンションのエレベーターの中でわいせつ行為に及んだ疑い。しかし、わいせつ行為は覚えていないとして一部を否認している。被害女性とは友人と開いた飲み会で知り合ったばかりで、勤務先のホストクラブの客ではないようだ」

 と全国紙社会部記者。

 夏目容疑者は女性に対し、

「オレはカリスマ美容師だ」

 などと前職にかこつけた自慢をしていたという。

 美容師時代の本人のプロフィールなどによると、愛知県名古屋市出身。県立高校を経て市内の美容専門学校で技術や接客を学んで上京し、激戦区の有名グループ店で入店1年目の2015年3月にスタイリストとしてカットデビューした。

 グループの若手美容師でつくるユニットにも参加するなど経験が浅いころから目立っており、男性客のカットを得意としていたようだ。

 やがて店舗の幹部にスピード昇進し、ツイッターで、

《揉み込むだけのくしゃ髪。作りこまずにラフなセットで時間もかからず爽やか。女子受け抜群》('17年12月)

《夏目の得意な、くしゃっとゆるふわ質感のパーマで女子受け抜群の愛されヘア》('18年1月)

 などと、男性客を意識してモテる髪型を提案することも。やたらと“女子受け”をアピールしていることから、夏目容疑者は理想の髪型の必須条件とみていたのだろう。

 ところが、昨年秋ごろ、なぜかホストに転職した。

 退職した理由などを同店に尋ねたところ、

「店長は“お話できることは何もありません”と言っています」(店員)と電話さえ取り次いでもらえなかった。

彼は無類の部類

 一方、ホストとしての評判はどうだったのか。

ホスト転身後の夏目容疑者。お得意のゆるふわの髪型でポーズを決めている(同店関係者提供)

 事件当時の勤務先は、これもまた激戦区で知られる歌舞伎町にあるホストクラブ。関係者によると、容疑者は「夏」という源氏名で約1年前から働き始め、今年の春先には同店で「指名ナンバーワン」を勝ち取って幹部に昇格したという。

「業界はいま景気がよく、年収1000万円を超えるホストがごろごろいる」(同町の飲食店経営者)というが、このエリアで働くホストの男性(23)は「全体でみればそんなホストはごく一部にすぎず、彼は無名の部類」と打ち明ける。

 別の関係者は「夏はそんなに酒癖は悪くない。女性にモテないわけではないし、どうしてこんな事件になったのかわからない」と首をひねるばかりだった。

 勤務先を訪ねると、店の入り口には夏目容疑者の大型ポスターが。開店準備中のホストに「店舗責任者に取材させていただきたい」と申し込んで連絡先を渡したところ、「オーナーに伝えます」と言われたきり返答はなかった。

 夏目容疑者は、美容師としても、ホストとしても、すぐに頭角を現してきた。しかし、カリスマであろうとなかろうと、指を噛むのも胸を触るのもアウト。酒に酔って女性を襲うようではそもそも人間失格である。