週女的「流行語」大賞

 政治、お笑い、スポーツ、テレビ、グルメ……。あらゆる分野のトレンドに敏感な識者たちに選んでもらった流行語を“本家”よりひと足お先に大発表!

パワーワードの玉手箱と化した芸能界

 まず、挙がったのは『闇営業』。

闇営業問題の謝罪会見で、事務所社長のパワハラを暴露した宮迫(左)と田村

 テレビウォッチャーの太田サトルさんはこう話す。

言葉自体にインパクトがありましたし、一連の謝罪会見もテレビ界をにぎわせましたよね。人気芸人の宮迫博之さんと田村亮さんがテレビからいっさい姿を消したことは、業界にも視聴者にも衝撃を与えました。事態を収束しようとした松本人志さんが《松本動きます》とツイートして、“〇〇動きます”という言葉もブームになるなど“パワーワード”の宝庫でした

 お笑い芸人らが事務所を通さずに反社会的勢力の会合に参加し、金銭を受領していたことが発端となった『闇営業』問題。コラムニストの辛酸なめ子さんは、こんなところに注目した。

「『反社』がよかったですね。反社会的勢力を略した言葉ですが、今まではこんな略し方はしてこなかったと思います。パッと見、“反吐”という字に見えたので、すごくパワーを感じました。ワイドショーに出演するコメンテーターや芸人が略したんだと思いますが、センスいいですよね。そのころ、私も数回は『反社』を使ったと思います」

可愛い見た目と野太い声のモノマネというギャップがたまらないりんごちゃん

 お笑い芸人のネガティブなイメージが目立ってしまった今年、一発ギャグも例年より不作だったようで、

強いて言えば、チョコレートプラネットの『TT兄弟』でしょうか。昨年はIKKOさんと和泉元彌さんのモノマネでブレイクした彼らでしたが、今年は『TT兄弟』で人気を継続。ですが、国民的な人気になったとは言えません」(太田氏、以下同)

 モノマネ芸人で言えば、りんごちゃんもテレビ番組で引っ張りだこになったが、

「流行語に選ぶとしたら、彼女がモノマネをする前に言う『スターティン』ですかね。ただ、普段の生活で使いづらい言葉なので、あまり浸透していません。エドはるみさんの『グ~!』やスギちゃんの『ワイルドだろ』に比べると、小粒な感じ。子どもたちがまねするほど広まらないと流行語とは言えませんよね」

 今年の参議院議員選挙で議席を獲得した政党『NHKから国民を守る党』略して『N国』もワードとしては強かったが、

「立花孝志代表がテレビ番組で政党批判したマツコ・デラックスさんをテレビ局前で出待ちするなど、かなり話題になりました。ですが、あまりに過激でテレビ的には扱いづらい人になってしまい、メディア露出も激減しましたね」

 辛酸さんにも意見を聞いたが、“関わりたくない”とのことでノーコメントを貫いた。そんな彼女が『闇営業』並みに推しているのが─。

何かと注目される皇室もノミネート

個人的には、今年も『皇室』が熱かったです。秋篠宮家の次女・佳子さまは海外に行った際、その土地の言葉で挨拶するのですが、中でも『ダンケシェーン』(ドイツ語で「ありがとう」の意味)が可愛かったですね。私の中では大ブームとなりました」

 今月、週刊女性が報じた佳子さまがダンススクールの発表会に参加し、ヘソ出しルックで踊っていた姿についても、

「引き締まったお腹を出して、すごくいい表情をされていらっしゃいましたね。私もあの発表会に参加したかった。皇族のお腹って、なかなか見られるものではないんです。肩は見せても、お腹は見せない。『美しすぎる腹筋』で本家の流行語大賞にもノミネートされてほしいです」(辛酸さん、以下同)

眞子さまとの結婚問題がいまだに解決しない小室圭さん(左)と、セクシーダンスを披露した佳子さま。秋篠宮家は今年もアツかった

『令和』となった今も、秋篠宮家の長女・眞子さまとの結婚が延期となっている小室圭さんもはずせないという。

「小室さんのニックネームには話題性があったと思います。留学したアメリカの大学で彼は、『スーパースマートガイ』『フリー・ケイ』『ハッピー・プリンス』『うどん王子』とさまざまなあだ名をつけられて……私の中で流行りました。とにかくひとつでもいいので、皇族絡みのワードが選ばれてほしいです。ただ、あの流行語大賞受賞の場に皇族は絶対に来ないでしょうが……」

“ドリンク×スイーツ”がヒットの法則

 辛酸さんを含めて、女性の識者が支持したのは『タピオカ』ミルクティー。

 トレンドウォッチャーのくどうみやこさんは、

「今年は広がりを見せましたね。昨年までは若い女子高生の間で流行していましたが、今ではスシローやドトール、コンビニでも買えるほど裾野が広がっていろんな人が楽しめるようになったと思います。街で行列を見かけたら、その先には必ずタピオカ店がある─。そんな状況になりましたよね。今年がピークで店は淘汰されていくと思いますが、定番スイーツとして根づいていくでしょう」

 “ドリンク×スイーツ”が流行の秘訣だという。

『ゴンチャ』など台湾の人気店が日本に上陸したことで、人気に火がついたタピオカドリンク

「タピオカは腹持ちがいいので、ランチがわりに飲む女性が増えています。節約にもなるし、『タピった』とSNSで発信できるし、今のトレンドにマッチしているんです。『わらび餅ドリンク』も少しキテおり、キーワードは『ドリンク×スイーツ』なんです」(くどうさん)

 このブームに辛酸さんからはこんな苦言が……。

「タピオカは私もたまに食べていますが、けっこうノドに詰まるんです。ストローで吸うとスポッと何度かノドにハマったので、体調がいいときだけ食べるようにしています。私は気をつけているので大丈夫ですが、高齢者がノドに詰まらせるような事故が起きないことを祈っています」

 タピオカ同様、世間で広がったのは、『サブスクリプション』(以下、サブスク)だと、くどうさん。

「サブスクの意味である定額制サービスは数年前から流行してましたが、今年で分野が一気に増えたと思います。“食”で言うと最初はコーヒー飲み放題から始まって、今ではラーメン、カレーも出てきて、この冬には鍋のサブスクもスタートするようです」

 1か月限定で、10数種類の鍋が食べ放題になるという。

「食のほかにも、眼鏡や家具も出てきました。今では企業向けに“どうしたらサブスクを始められるか”というセミナーがよく開かれており、企業側にとっても収益が見込めるのでしょう」(くどうさん)

 テレビドラマ界にも新しいスタイルを生み出した作品が誕生した。ドラマウォッチャーの田幸和歌子さんは、

「今年4月から放送された日本テレビ系のドラマ『あなたの番です』(以下、『あな番』)は、今年を代表する作品ですね。田中圭さん主演の本作は、3か月1クールという連ドラの常識を覆して、2クールでの放送。

 ストーリーも“交換殺人”というテーマの新しさもありました。最初は視聴率も芳しくなく、評判も微妙でしたが、どんどん右肩上がりで数字も評判も上がっていきました」

ネットを巻き込んだドラマ作りが評価

 本作のキーワードは『考察』。

「ドラマを見るだけじゃなく、SNS上で視聴者が“誰が犯人なのか”を予想し合ったり、ネットで『考察』のまとめサイトが作られるなど、ドラマが能動的に楽しめることを提示したことはすごく新しかったと思います。

 能動的に見る流れは、前クールに同局で放送された菅田将暉さん主演の『3年A組』から話題になっていて、『あな番』で花開いたというわけです。テレビ離れしていた若い世代を呼び込んで、業界への影響が大きかったと思います。今年のトレンドであり、今後もネットと連動したドラマというスタイルは増えていくと思います

ネットで考察ブームを呼んだ『あな番』

 だが、そんな『あな番』も最終回の評判はすこぶる悪かったとか……。

「『考察』が盛り上がりすぎてしまうと、制作者がその裏をかくことばかり考えてしまうのでしょう。結果として、『あな番』も考察を越えるようなエンディングを迎えられず、よくわからない終わり方をしてしまいましたね。ドラマのスピンオフ作品が有料の動画配信サービス『Hulu』でしか見られないという仕組みも不評で……」

 今期のドラマで注目しているのが、生田斗真主演のドラマ『俺の話は長い』(日テレ系)だという田幸さん。

「1時間のドラマで、30分×2本立てという仕組みは、かなり実験的な試みです。若い世代はちょっと退屈だと、すぐスマホなどに興味を奪われてしまう。テレビにスピード感が求められる中で、フレッシュな提案と言えます。この作品がヒットしたら、『あな番』のような新しい潮流になるかもしれません」

 2019年も残すところ、あと2か月。今年を振り返ってみて、あなたにとっての“流行語”は何でしたか?