忖度や妥協なしの主人公、北野サクラ (c)日本テレビ

 高畑充希主演、遊川和彦脚本によるオリジナルお仕事ドラマ、『同期のサクラ』(日本テレビ系 水曜夜10時~)。制作チームも高畑&遊川タッグで人気を呼んだ『過保護のカホコ』のスタッフが再集結。

 夢に向かって突き進むために忖度しないヒロインと同期たちの10年を1話1年ずつ描いた野心作の舞台裏をプロデューサーに直撃! 

頭を悩ませる“過保護な呪縛”

 高畑が演じる北野サクラの口癖は“私には夢があります”。ふるさと新潟の離島と本土を結ぶ橋を架けるという夢のために大手ゼネコンに入社したサクラは、妥協も忖度もできない性格。喜怒哀楽の感情が見えないポーカーフェイスで、夢に向かって突き進んでいく。

「評価は賛否両論あるものですが、初回放送後には“感動した”“泣いた”というお言葉をいただきました。“私には夢があります。ふるさとの島に橋を架けること”に始まるラストシーンは、感情を表に出さないサクラですが、涙をこらえているようにも見えて、いじらしく、編集作業をしていた僕自身もグッときました。

 何度見ても泣けてきて、本当に、このドラマを作ってよかったと感じることができました」

 と、大平太プロデューサー。来年、勤続30年を迎えることから、お仕事ドラマを作りたいと、遊川との打ち合わせに臨んだそう。

「アイデアを出していくうちに遊川さんから“同期”という言葉が出たんです。僕も同期は47人いるけれど、いろんなタイプの人間がいて面白い。主人公の名前がサクラなら“同期のサクラ”になる。“過保護のカホコ”に勝るとも劣らないものになる、と(笑)」

 最も苦労したのは、サクラのキャラクター設定で、高畑も参加したという。

「サクラと同期4人の物語という骨子が決まった企画段階から、高畑さんを巻き込みました。ヘアスタイルは、すでに髪をバッサリ切っていた高畑さんの長さが理想的だったので、キープしてもらうことに。でも、どんな子なのかが決まらない。というのも“カホコの呪縛”があったから。

 明るくすると、カホコが出てきてしまう。ぎりぎりまで悩み、何回か稽古をして、やっと見えてきたのが今作のサクラ。無表情ではなく、感情が見えづらくても愛せる主人公を、絶妙なさじ加減で演じてくれてます」

時の流れを描く上での工夫

『女王の教室』『家政婦のミタ』など、ヒット作がありながらも、続編より新しい作品を作ることにこだわるという遊川。

今作では、1話で1年、10年間を描く挑戦をしていますが、思った以上に大変です。サクラはほぼ変わらないけれど、同期4人は経年とともに髪型や服装が変わっていきます。4人については、どこで生まれてどんな幼少期を過ごしたかなど22歳になるまでの年表を作りました。

 32歳になったときにはどうなっているのかまで考えながら演じるのは大変だと思いますが、月村百合役の橋本愛さんは楽しいと言ってくださいました。橋本さんは、10年後は母親になっている百合の役作りのために乳児をあやしたり、工事現場での撮影では、関係者に取材するなど、芝居に取り組む姿勢には頭が下がる思いです。

 新田真剣佑さんは、とにかく華がある。岡山天音さんは、表情もセリフの言い回しも想像を上回る演技をしてくれるし、熱のこもった竜星涼さんの演技は、サクラの上司役の椎名桔平さんが“竜星、よかったよ”と賛辞を送っていました」

脳挫傷で意識が戻らないサクラ。同期の仲間が訪れては、ともに過ごした日を思い出していく (c)日本テレビ

 同期5人の名前には、驚きの秘密も。

「サクラ、百合など植物の名前になっていることにキャストも気づいていると思います。でも、北野サクラの北(北極星)、月村百合の月、同期の男子3人の名字には木星、水星、土星を表していて、北極星の周りの惑星になぞらえていることまでは知らないでしょう。遊川さんのこだわりです」

 撮影現場の盛り上げ役は竜星だが、こんなことも。

「3話(10月23日放送)でサクラと百合が大ゲンカするシーンや役柄上で仲よくなっていない設定なので、意識的に距離を置いている感はありますね」

サクラの意識は戻るのか?

 サクラが納得いかないことがあると、“スーッ”と息を吸ってから相手にダメ出しする行動パターンは、南雲聖一監督のクセをデフォルメしたもので、現地の人からほめられた越後弁とあわせて要チェック!

 重い脳挫傷で、意識の戻る確率は低いというサクラだが、この先も寝たまま?

「みんなの願いが叶って目覚めると思いますので、ぜひ注目してください。さらには、森山直太朗さんが歌う主題歌『さくら(二〇一九)』がいつ流れるのか? 通常は番組の最後ですが、今作ではそうとは限りません。物語とともにご期待ください」

 脳挫傷で意識が戻らないサクラ。同期の仲間が訪れては、ともに過ごした日を思い出していく人事部のサクラだが、希望部署の土木部に異動することはできるのか?

サクラのじいちゃんの達筆

達筆おじいちゃんの秘密 (c)日本テレビ

 サクラと育ての親のじいちゃんは、いつもファックスで交信している。「本当に送っているのでタイムラグができ、撮影は大変なのですが、やってよかったと思っています。じいちゃんの字は、書道家の倉林志保さんにお願いして、ご快諾いただきました」(大平P)

 美字に加えて、じいちゃんの金言は、心に刺さるはず!

黒川部長が読んでいる本は?

黒川部長が読むのは決まってベストセラー (c)日本テレビ

 バリバリ仕事をするというより昼行燈の黒川部長。デスクで読書している姿をちょいちょい見かけるけれど、何を読んでいるの?

「その年のベストセラーです。10年間を描く作品なので、その年に流行ったものを出すようにしています。黒川部長の本もそうですが、同期が集う喫茶店のテレビで報じているのは、その年に起きた大きな出来事なんです」(大平P)


《番組情報》
水曜ドラマ『同期のサクラ』 日本テレビ系 水曜夜10時~