宮野真守 撮影/高梨俊浩

「最近、いろんな経験をさせていただけるのがとても楽しくて。先日もこの作品のメンバーで『オールスター感謝祭』に初めて出演したんですが、テレビで見た有名人の方たちがたくさんいらっしゃって緊張しましたし、そこで面識のなかったアンミカさんに話しかけていただいたり(笑)。いろんな可能性が広がっていて、とても幸せです」

 声優に俳優、歌手とマルチな才能で活躍の場を広げる宮野真守(36)。11月6日から始まる『ウエスト・サイド・ストーリー』では、主人公のトニー役に挑戦。ミュージカルは本作が初主演となる。

10代後半でぶち当たった壁

「10代のころに映画版を見たことがあるんですが、まさか僕がミュージカル初主演であのトニー役を演じるとは思っていなかったので、最初は戸惑いもありました。ただ、そこで逃げる男ではありたくなかったので(笑)、しっかり前を見て作品に向かい合って、新たな自分が見つけられたらと思います」

 俳優としてのキャリアは7歳から。

「兄が先に劇団に入っていて、気づいたら僕も入団していました。表現するのは昔から好きだったみたいで。例えば幼稚園のお遊戯会でも、周りの子とは違うこだわりを持って演じてたりして、もう全力だったみたいです(笑)

 そんな俳優活動も10代後半のころ壁にぶち当たる。

「最初のころは、この芸能界でお芝居でずっとやっていくんだと思っていました。でも、高校3年のときに、なかなかうまくいかないし、周りも進路を決める時期だったりして、自分がこの先どういう大人になるべきか、リアルな問題として焦っていたし、悩んでいたんです」

 そんなときに出会ったのが、まさに天職ともいえるこの仕事。

「そんな時期に初めて声優のオーディションに挑戦し、合格したのがNHKの海外ドラマ『私はケイトリン』という作品。本当に右も左もわかりませんでしたが、現場で先輩方の表現を見たりして必死で覚えました。

 そこから、仕事がどんどん続いていって、声優という職業がどこか道を示してくれたし、自分に自信を取り戻させてくれたんです。もちろん、不安になることもありましたが、そのひとつの光が見えるだけで当時、青少年だった宮野真守は安心して戦える、自分の芸を磨いていけるという自信になったと思います」

気分転換は「お笑い番組」

 25歳で歌手としての新たな道にもつながった。

宮野真守 撮影/高梨俊浩

「歌うことは好きで、10代、20代のころは前向きにレッスンを受けていました。カラオケも好きで、平井堅さんやケミストリーさんの曲にすごく影響を受けて。それが今の音楽活動にも生きていますし、非常にありがたいです」

 声優という仕事でこんなうれしい出会いもあったそう。

「お笑いは好きで、気分転換に録りためた番組を見たりします(笑)。芸人さんにお会いするの緊張するんですよ、好きすぎるがゆえに。

 以前、声優の現場で志村けんさんとご一緒させていただく機会があったんですが、子どものころ、誰もが影響を受けた方じゃないですか。内村光良さんも、めちゃくちゃ番組を見ていた方だから、実際にお会いするのが不思議な感覚で。でも、お話しさせていただくのは幸せですし、貴重な経験ができるのは楽しいですね」

■僕にとっては○○の秋!

「春は花粉症がひどくなるので、秋がいちばん過ごしやすい季節。それに、大人になって味覚も変わってきたんです。昔、きのこが全然好きじゃなかったんですけど、今では“きのこ、ウマッ!”って食べてびっくり。お酒も好きなので、紅葉を見て飲みながらきのこを頬張る秋もいいですね(笑)」

ブロードウェイ・ミュージカル
『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1
11月6日〜2020年1月13日まで、IHIステージアラウンド東京にて公演

<スタイリスト/横田勝広(YKP)、ヘア&メイクNakatani(C+)>