話題にはなったけれど…(左上から時計回りに)チョコレートプラネット、霜降り明星、りんごちゃん、闇営業で謝罪した宮迫博之と田村亮

 毎年恒例となる『新語・流行語大賞』のノミネート30語が、11月6日に発表された。

「ONE TEAM」「ジャッカル」「笑わない男」「にわかファン」といった、ラグビーワールドカップ関連の言葉や、「令和」「軽減税率」「キャッシュレス/ポイント還元」といった今年を象徴する言葉、「タピる」「サブスク(サブスクリプション)」「ドラクエウォーク」など、さまざまなジャンルからのノミネートが発表された。

『TT兄弟』は流行ったけれど

 しかし、今年のノミネート語には、ある大きな特徴があった。

「お笑いのギャグやキャラクター系の言葉が全く入っていないんです」

 と、あるテレビ関係者は言う。

「2003年にテツandトモの『なんでだろ〜』が大賞を受賞して以来、小島よしおさんの『そんなの関係ねぇ』('07年)やエド・はるみさんの『グ〜!』('08年)、スギちゃんの『ワイルドだろぉ?』('12年)、日本エレキテル連合の『ダメよ〜ダメダメ』('15年)、ブルゾンちえみの『35億』('17年)など、16年連続でノミネートはされていたのですが、今年はひとつも入らなかったのには驚きです

 とはいえ、ギャグが全く流行(はや)らなかった年だったというわけではない。ノミネートされてもおかしくない芸人だっていた。

チョコレートプラネットの『TT兄弟』なんかは、かなり流行したと思いますし、ギャップものまねの『りんごちゃん』の存在感も印象的でした。いずれも人気でしたが、それ以上にラグビー関連や改元、増税などの話題が強かったということでしょうか。また、霜降り明星やEXIT、宮下草薙など、今年活躍した人気の芸人たちが、一発ギャグのみ、という売れ方ではないこともある気がします」(同テレビ関係者)

 チョコレートプラネットは実際に今回のノミネートを狙っていたようで、ある会見の場で「狙っていたのに」と自虐的に語っていた。

 一方で、流行語大賞にノミネートや大賞を受賞すると、“一発屋になりやすい”というジンクスもある。そこをチョコプラは逆手に取って、「選ばれて消えるまでがTT兄弟の物語」と、笑いを誘っていた。

お笑いから遠のいた年

 今回ノミネートされた30語の中で、あえていうなら「闇営業」という言葉がお笑い関連のワードにあたるといえる。いうまでもなく、この夏、連日世間をにぎわせた、吉本興業の闇営業に関する問題に起因するものであり、これは決して、世間に笑いを届けた言葉ではない。その影響について、ある芸能記者は指摘する。

「今回の騒動によって『闇営業』というものがあるということを、初めて知ったという人が多かったはずです。そして、吉本興業のグダグダだった社長会見、現場の裏側の部分が大きくクローズアップされてしまった。お笑いを見て素直に笑えなくなったところは確実にあり、その影響は少なからずあったと思います

 闇営業問題を発端にし、お笑い界全体の流れも指摘する。

ネタ番組がないことにも影響があると思います。ということは、“一発ネタ”も流行りにくい。そして、人気のあったEXIT・兼近の過去の逮捕歴騒動も追い打ちをかけたと思います。昨年ノミネートされたひょっこりはんのように、子どもがまねするネタがないのも大きいですね。そういう意味では、子ども人気もそこそこあったTT兄弟は、やはり惜しくも落選といったところなのでしょうか」

 大賞発表の表彰式にも花を添える存在でもあるお笑い芸人。仮に『闇営業』が選ばれた場合、宮迫博之(雨上がり決死隊)や田村亮(ロンドンブーツ1号2号)が授賞式に出席して、渾身(こんしん)のギャグを見せるわけにもいかない。

 世相を表す流行語、来年はお笑い関連ワードが複数ノミネートされることに期待したい。

<取材・文/渋谷恭太郎>