間宮祥太朗 撮影/廣瀬靖士

「自分の中で“この人”という存在がいるだけで、人はずっと強くなれると思っていて。人から認識されていないと、自分のアイデンティティーも保てない。たった1人でいいけど、その1人と巡りあえること自体がすごく難しいんですよね」

 映画『殺さない彼と死なない彼女』(11月15日全国公開)で主演を務める間宮祥太朗。無気力な高校生・小坂(間宮)が、リストカット常習者で死にたがりのクラスメート・鹿野(桜井日奈子)と出会い、時間をともに過ごしながら、お互いにとって特別な存在になっていく。

先入観で人を選ばず、人生を豊かに

 クラスの中で孤立していた2人を中心に物語は描かれていくが、

今って、本当の自分を隠しながら生きている人が多いと思うんです。勇気がないから、周りに合わせて、さも“自分はみんなと同じです”という自己プロデュースをしている中、小坂や鹿野は問題だらけの自分に悩んではいるけど、すべてを自覚して、他者がどうこう言っているのもわかったうえで、自分のままあり続けていて、それってすごく難しいことだなって。

 自分の人生を生きるという意味でも、僕はそういう生き方をしている人はすごく魅力的だなと思います」

 間宮の学生時代にも、彼らと相通ずる経験があったんだとか。

「学生のとき、クラスの中に“変なやつ”という言葉で片づけられてしまっている人がいて。でも、ただ勝手に周りがイメージや想像で“変なやつ”というラベリングをしてしまっていたんです。

 実際に話してみると“面白いやつ”だったことに気づいた経験があって。先入観で食わず嫌いのように、接する人を選んでしまうと、どんどん価値観も狭まっていってしまうと思うんです。すべてを取っ払ってたくさんの人と出会うことで、より自分の人生も豊かになるんだと思います」

 “殺すぞ”が口癖の小坂。間宮自身の口癖は、意外な言葉で……?

「“何してんの?”をよく使っていますね。友達にラインするときも“今何してんの?”“飲んでる”“どこ?”“○○”“OK”みたいな、最低限のコミュニケーションで成り立つような友達が多くて。

 最近は、“何してんの”とも言わなくなってきて、ラインで“?”とだけ送ったら、“ごめん、今日は無理だ”とか、返事が来るようになりました(笑)」

まみや・しょうたろう
'93年6月11日生まれ。中学時代からモデルとして活躍し、'08年にドラマ『スクラップ・ティーチャー~教師再生~』で役者デビュー。最近の主な出演作に連続テレビ小説『半分、青い。』やドラマ『べしゃり暮らし』、映画『翔んで埼玉』『ホットギミックガールミーツボーイ』など多数。

スタイリスト/津野真吾(impiger)
ヘアメイク/三宅茜