(左上から時計回りに)MEGUMI、市川染五郎(現・松本幸四郎)石田ゆり子、滝沢沙織、中越典子、坂口憲二、木村拓哉、竹内結子、佐藤隆太(2004年)『プライド』制作発表記者会見
 令和初ドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)が高評価を得ている木村。自身の主演ドラマを社会現象化させてきたが、今だから話せる現場での“撮影秘話”を取材してみると──。

代表作のひとつ『プライド』

 数々のキムタクドラマのなかで、今でも圧倒的な人気を誇る『プライド』(フジテレビ系)。木村は、実業団ホッケーチーム『ブルースコーピオンズ』の花形選手としてアイスホッケーに情熱を燃やし、恋愛はゲーム感覚で楽しむ青年、里中ハルを演じた。

坂口憲二さん佐藤隆太さんなど、旬なイケメンたちが脇を固めたことでも話題に。日本では、それまであまり日の目を見なかったアイスホッケーというスポーツを一気に格上げさせたドラマです」(テレビ誌ライター)

 ホッケー未経験者だった木村は、その役柄を全うするために、かなりハードな練習を行っていた。

 出演者にアイスホッケーの指導を行った、パラアイスホッケー日本代表監督の信田憲司さんは、プロ顔負けのストイックな姿に驚かされたという。

「アイスホッケーの選手でも、だいたい1時間半の枠で練習するのが通常なんですが、ドラマのロケでは1日中氷の上にいることが普通でした。控室や休憩場所はもちろん用意されていたんですが、木村さんをはじめとしたキャストの方々は休みもそこそこに、ずっとスキルの練習をされていたのが印象的です

 練習は、12時間以上に及んだこともあった。

「現場にはホッケー経験者であるエキストラの方もたくさんいて、その方々が休憩しているときでも練習をしていました。朝の9時くらいから練習を始めて、夜の11時までずっと練習していたこともありました」(信田さん)

 撮影当日は、ホッケー選手として身体を動かし続けるうえに、セリフや細かい演技も行わなければならない。超ハードな現場だったが、疲れた表情は見せず、エキストラたちを元気づける“サプライズ”も行っていた。

エキストラ全員への気配り

試合を観戦するお客さんたちは、ファンの方にエキストラとして来てもらっていました。夜まで行われる撮影なので、終盤になると、みんな集中力が切れてくるんですが、木村さんが観客席に向かって“もう少しで終わるから頑張ろうね!”と声をかけていたことも。そうすると一気に現場がまとまって、みんなテキパキ動くので本当に助かりました」(制作会社関係者)

 また、木村の役者としての“プライド”が垣間見えたエピソードも。

「普通、競技シーンの撮影は顔が映らない場合、代役を立てるんです。しかし木村さんはなるべく自分で演じたいと言っていましたね。第1話のスケート場で、木村さんが竹内結子さんをお姫様抱っこして滑るシーンがありますが、そこだけは“さすがにケガをすると危険なので、プロに任せてください”とスタッフが必死に説得して、プロのフィギュアスケーターの方が代役で滑ることになりました」(同・制作会社関係者)

 撮影が始まる前からホッケーについて勉強し、現場ではスタッフとも積極的にコミュニケーションをとった。

「“最近、アイスホッケー業界はどうなんですか?”と聞いてくれたことがあって、“このドラマのおかげで、前よりやってみたいと興味を持ってくれる子どもたちが増えていますよ”と伝えると、“ここだけの話、視聴率とかよりもそういう話のほうがうれしいんだよなぁ”ってコソっと話してくれたことがとても印象的ですね」(信田さん)

 トップアイドルにもかかわらず、アイスホッケーに真摯に向き合った木村。現場で共演した未来のプロホッケー選手たちとは、ある“約束”をしていたという。

「木村さんは帰るときに必ず“お疲れさまでした!”と全員にグータッチをして帰っていきました。プロを目指す大学生のアイスホッケー選手もドラマのエキストラとして参加していたんですが、その子たちには“プロになったら絶対、試合見に行くからな!”と声をかけていましたよ。彼らも木村さんの言葉に感激していて、ホッケーを頑張る原動力になったと思いますね」(信田さん)

 役顔負けの男気──みんな“メイビー”じゃなくて、絶対好きになっちゃう!!