'18年で芸能界を引退したタッキーが、裏方に回って1年がたった。彼がプロデュースするジャニーズJr.から2つのグループのデビューが決まり、ネット進出も成し遂げるなど、多くの“改革”を進めてきた。そんな彼を評価する声がある一方で、「えこひいきだ」などと批判的な声もあがっている。“滝沢政権”に下された評価とは――。
滝沢秀明('09年5月)

 昨年から、経営者としてジャニーズ事務所を支えていくことになった滝沢秀明(37)。

「昨年初めに『ジャニーズアイランド』の社長に就任し、ジャニーズJr.のプロデュースを手がけるように。9月にはジャニーズ事務所の副社長にも就任しました。彼の行っている新たな取り組みは“滝沢改革”として注目を集めています」(スポーツ紙記者)

 目立った成果として、Jr.の2グループがデビューを決めたことが挙げられるだろう。

新たな「ネット戦略」と守る「伝統」

「1月22日に、アクロバティックなパフォーマンスが魅力のSnow Man(スノーマン)と“ポストKAT-TUN”と期待されているワイルド路線のSixTONES(ストーンズ)が同時デビューします。Jr.全体を見ても、ドラマやバラエティー番組への出演が増えていますね」(同・スポーツ紙記者)

 もうひとつの大きな試みはネット戦略。昨年11月に嵐がSNSを開設して話題になったが、滝沢はもっと前から着手していた。

「'18年3月に、Jr.がYou Tubeでトークやさまざまな企画に挑戦する『ジャニーズJr.チャンネル』を開設。インターネットと距離を置いてきたジャニーズ事務所に新しい風を吹き込みました。字幕を多言語で設定し、アジアから欧米まで海外にも目を向けています」(テレビ局関係者)

Jr.が決められたテーマでトークしたり、さまざまな企画に挑戦する『ジャニーズJr.チャンネル』は、ファンの間で好評

 新しいことに積極的に取り組む一方で、“伝統”も大事にしている。

「Jr.の舞台では、本番数日前のリハーサルで使う曲をガラッと変え、演出を大きく変更するんです。これは亡くなったジャニー喜多川さんがやっていたこと。ギリギリまでよいものを作ろうとこだわっているのでしょう。実際、彼の意見を取り入れると圧倒的によくなるらしく、Jr.の間では評判みたいですよ」(同・テレビ局関係者)

 着々と成果を挙げているが、彼のやり方に対しては批判の声も。

「ファンや事務所内から、“Snow Manをゴリ押ししている”という声があるそうです。彼らは'10年から始まった舞台『滝沢歌舞伎』に初期から出演し、滝沢さんが特に目をかけていました。デビュー直後の1月31日から、タイのバンコクで行われるイベント『Japan Expо Thailand 2020』でパフォーマンスを披露することが決定。デビュー1か月で海外公演を行うのは異例ですよ」(芸能プロ関係者)

Snow Manは海外公演も決まり、Jr.の中でも特に推されている

 将来への期待はあるが、Snow Manへの評価はこれまで決して高くはなかった。

「昨年亡くなったジャニー喜多川さんは『HiHi Jets』や『美 少年』の育成が中心でしたが、SixTONESやTravis Japan(トラビス・ジャパン)もジャニーさんの自宅に泊まるなど、多少の交流はあった。でも、Snow Manとはほとんど関わりがなく、ほかのグループに比べるとあまり期待しているようには見えませんでした。なんとしても彼らを売りたい滝沢さんはメンバーの増員までしましたが、ジャニーさんの期待が低いと言われていたグループを売り出そうとしているため、えこひいきをしているように見えてしまうのかもしれません」(同・芸能プロ関係者)

競わせることで仲違いしないか

 デビューのさせ方にも異論がある。

「2組同時にデビューすれば、CDの売り上げの数字が比較されます。売り上げが低いほうは “人気がない”と思われてしまうかもしれません。2グループは昔から互いに切磋琢磨して、プライベートで遊びに行くほど仲がいいんです。それなのに、変に競わせて仲が悪くなってしまわないか心配ですよ……」(Snоw Manのファン)

 “改革”を危ぶむ声もあるが、滝沢はジャニーズ事務所の副社長として、Jr.だけでなくデビュー組にも目配りしている。

「特に、山下智久さんと中山優馬さんに期待しているそうです。山下さんはインスタグラムの公式アカウントをデビュー組の中で最初に開設し、アメリカの芸能事務所と契約して海外での活動にも力を入れています。また、『美 少年』に楽曲提供をするなど後輩の育成にも積極的。世界進出はジャニーさんの生前の夢でしたし、新しいことに積極的にチャレンジする彼の姿勢を評価しているみたいですよ」(前出・芸能プロ関係者)

 一方、中山は'10年にHey! Say! JUMPの山田涼介と知念侑李と3人で組んだユニット『NYC』が'13年に解散状態になってから目立った活躍がないように見えるが……。

「そんなことありませんよ。最近は舞台を中心に活躍しています。昨年11月に行われた『地球防衛軍 苦情処理係』をはじめ、多くの舞台で主演を務めています。

 中山さんは滝沢さんの舞台『DREAM BOY』を見て、彼に憧れて事務所入りしました。非常に勉強熱心で、先輩の背中を追いかけながら着実に成長しています。滝沢さんはそんな彼の地道な努力を買っていますよ」(前出・テレビ局関係者)

業界人はタッキーにどんな評価を?

 芸能レポーターの石川敏男氏は、'19年の“滝沢改革”は満点に近いと指摘する。

「滝沢さんはジャニーズ事務所の副社長に就任しましたが、それに対して、東山紀之さんや近藤真彦さんなどの先輩たちから批判の声はあがっていません。彼の手腕が評価されているのでしょう」

 これまで、やらなかったSNSに着手したことが大きいという。

「SNSに対して、事務所の上層部からは消極的な声もあったはず。それでも実現できたところからみると、事務所はよい方向に向かっていくと思います。あとは、新しくデビューする2組がうまくいくかですね」(石川氏)

 芸能ジャーナリストの佐々木博之氏も、“改革”は全体的に成功していると話す。

「点数をつけるのであれば、100点満点中70点くらいでしょうか。特に、今年Jr.2グループをデビューさせたことは大きい。一時期、“Jr.からのデビューはない”とも言われていた状況を打開したといえます。それによって、Jr.のモチベーションも上がったので、経営者として大事なことをしたと思います」

 ただ、Snow Manを推していることに対して、批判があがっている状況は改善する必要があるという。

「多くのタレントを抱える中で、特定のグループを推しているとえこひいきをしているように映り、不満に思うJr.が出てくる可能性があります。今年はそうした細かい配慮をしたほうがよいでしょう」(佐々木氏)

 ジャニーズの未来は、滝沢の手にかかっているのかもしれない。