結婚できない・しない男の事情って? イラスト/サトウヨーコ

 男女ともに、1度も結婚したことのない割合“生涯未婚率”が上昇し続けているが、中でも男性の生涯未婚率は女性に比べて10%近くも高い。なぜ結婚しないのか? また、できないワケはなんなのか? 多くの未婚男性を間近で見続けてきた専門家に話を伺った──。

結婚できない? あえてしない?

 “結婚できない”のではなくて、“あえて結婚しない(AK)男子”を自称する新たなる男性ゾーンを描いたドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系列)が昨年、話題を呼んだ。ドラマでは、人並み以上の年収と容姿を持つ“優良物件”でありながら、結婚に行きつけない男たちが描かれるが、確かに周りでも独身男性が増えているような……。

「2015年の国勢調査では、男性の生涯未婚率(50歳の時点で1度も結婚していない人の割合)は23・4%と、およそ4人に1人。これが35年には約29・0%と、3人に1人になるだろうと見込まれている。生涯未婚の男性は実際に増えていますし、今後も増え続けると思います」

 こう語るのは、ジャーナリストで近畿大学教授の奥田祥子先生。

 とはいえ 出生動向基本調査(2015年)では18~34歳の未婚男性の85・7%が“いずれは結婚するつもり”と答えているというから、“本当は結婚したいが、できない”という現実もすけて見えてくる。奥田先生いわく、男性未婚化の原因は、

「まずは人間関係の希薄化ですね。独身男性をつかまえては見合い写真を見せてまわるような年配女性や上司はすっかりいなくなりましたし、コンビニや高機能家電の充実で、困ることなく生きていけます。さらには“男は結婚して一人前”という固定観念もなくなってきています」

 一般的には、この3つが原因といわれているというが、実はもっと深い理由があると奥田先生は言う。

次々と相手を“排除”する人が増えてきた

「昔は、半径5メートルぐらい。会社でしたら同じ部署で出会いがあったら“この人こそが運命の人”と思えました。

 それが今では、婚活パーティーや街コンなど結婚関係のサービスがありすぎて、“この人は自分の理想とここが違う。妥協するよりは来週、次の人に会えばいい”となりがちです。私はこれを、相手の“選択ではなく排除”と呼んでいます

 独身でいる理由を尋ねたときによく聞く“いい出会いがなくって”は実は違う。出会いはある。が、理想にこだわるあまり出会いの中での選択ではなく、次から次へと排除してしまっている。だから結婚できないのだという。

「さらに昨今は、安定した職業に加えて、家事や育児協力をしてくれる男性、と女性からの条件がより厳しさを増したことで、男性が女性から選ばれにくくなっているんです」

 どうやら現実は、“あえて結婚しない(AK)”というよりは、結婚できない(KD)という人が多勢のようだ……。

結婚できない主な男性たち

 前述の85・7%という数字を改めて持ち出すまでもなく、結婚したいと思っている男性は少なくない。それなのに結婚できない男性を見てみると、主に3種のタイプに分類できるという。

「ひとつ目は白雪姫を待っている男性。2つ目は非モテ男性。そして、3つ目は経済力の問題で気後れしがちな男性、の3タイプです」

(写真左から)白雪姫を待っている男性、非モテ男性、経済力の問題で気後れしがちな男性

 ひとつ目は『東京独身男子』の登場人物たちのような、収入もあればコミュ力もある男性。それだけに理想がグンと高いだけでなく、「その理想の“白雪姫”が目の前に現れて、さらには彼女のほうからアプローチしてくれるのを待っているタイプです」

 自分からアプローチして断られたら、深く傷ついてしまう。プライドゆえに結婚できないでいるのだ。

「2つ目は、女性と接するのが苦手でコミュニケーション能力も低いタイプ。自分は女性に相手にされないと、はなから決めつけてしまっています。

 3つ目は、コミュ力もあるし、ときにはモテてさえいるんですが、収入の少なさに自縄自縛の状態になって、結婚したい女性にはアプローチできないタイプです」

 つきつめると、結婚したいのにできない男性たちの原因は、“交際を断られたら……”と傷つくことを怖がっている。あるいは、お断りが続いたことによる“男性の婚活疲れ”が最大のネックなのだという。

幸せならばそれでいい

 こうした“傷つくのが怖い”男性たちに対してどう対応すればいいのか?

「(3)に対しては収入の問題が大きいので、経済政策で一定の効果があるかもしれません。ただ(1)と(2)は心の問題ですから、本人の意識が変わらない限り、周りがどうこうすることは難しいですね」

 そして、独身の女性に対しては、さらなる奮起を促したいと奥田先生。

「結婚相談所などへの登録は、女性6男性4の割合で女性のほうが積極的です。ただ、最終的には男性からのアプローチを待ってしまう傾向があります。結婚に関しては、一種の性規範がいまでも健在なんですね。

 女性たちはそれを捨て、これまで紹介したような男性心理を理解して、自分からアプローチするしかありません。そうしないと男性はアプローチしてきませんから」

 さらに、男性を自分の物差しで評価することも必要と奥田先生。高収入のキャリアウーマンとバイト生活の男性。伝統的な性別役割分業からすると男女が逆転していても、幸せならばいい。他人がどう思おうと気にすることはないということ。

同居している場合は、ひとり暮らしをすすめよう イラスト/サトウヨーコ

 また、親世代の女性に対しては、

「高齢の親と独身の子の同居は、さまざまなトラブルの原因になりがちです。息子に結婚してほしいなら、あえて突き放して自立させることが必要です。親に依存させないことが、本人の生活力を上げることにもなります」

【仲人は見た!】これが結婚できる人・できない人の差

 ここからは、仲人・婚活ライターである鎌田れいさんに、彼女がみてきた婚活者たちの成功&失敗体験談をもとにして、結婚できる人とできない人の差を考察してもらおう。

エピソード1 「ボクが結婚できない理由がわかりません」

 御三家といわれる名門中高一貫校から東大に進学、35歳で年収800万円の男性Aさん。鎌田さんの婚活アドバイスに対し、必ず理屈で返してくるのが彼の特徴。

「“僕の悪いところはどこですか?”と聞くので“会話中、眉間にしわが寄って、何度もため息をつくところ”とお答えしたら、翌週、“しわの原因がわかりました。メガネが合ってなかったんです!”ですって」(鎌田さん)

 くせが相手に不快感を与えているとは考えず、自分以外の何かのせいにする。28歳から結婚相談所を転々、これまで100回ほどお見合いを経験したが、いまだに成婚には至っていないそう。

“一応、東大です” イラスト/サトウヨーコ

「常に屁理屈をこね、自分に非があるとは決して考えないような男性と付き合っても、楽しくないですよね。彼は恋愛経験が少なくて相手の反応が読めず、こうした反応になってしまうんだと思います。Aさんに関しては、面談でのことも思い出します。

 結婚相談所ですので学歴の提出は必須なんですが、言ってくださらない。それを押して聞くと、“一応、東大です”。東大出身者の典型的な答え方です(笑)。

 ですが、東大出身で年収もあるからお見合いは組めるのに、お付き合いが続かず、結婚できない。学歴を誇りにしているのにコンプレックスがある。そんなところも結婚できない一因かもしれません」

エピソード2 ネガティブ発想を矯正し婚活が見事、大成功!

 年齢37歳、年収800万円の男性Bさんは、ネガティブ思考。会話の着地点はすべてマイナスな方面で、デートでたこ焼きをほおばれば、“関東のたこ焼きは油っこい!”。こうしたネガティブ思考を鎌田さんが指摘すると、自分でも思うところがあったのだろう、ポジティブ思考を心がけ始めた。

 数か月後、交際を開始した女性Cさんとは、車で2時間の遠距離。「Cさんが、“ここまで車で来るのは大変じゃないですか?”というと、“これから会えると思ったらワクワクで、全然大変じゃないです!”そう答えたそう」

 そこで彼が、否定的な言葉を口にしていたら、Cさんの印象はどうだっただろう? その後、2人はめでたく結婚。幸せに暮らしているという。

ポジティブな見方を身につけて イラスト/サトウヨーコ

「物事には、プラスの面から見る見方と、マイナスの面から見る見方の両方があるものです。カップに半分入っているコーヒーだって、“まだ半分もある”という見方もできれば、“もう半分しかない”という見方ができる。そして人に好印象を与えるのは、総じてプラスで前向きの見方のほうなんですね。

 もともと悲観的なBさんがここまでポジティブな見方を身につけるのは、さぞかし大変だっただろうと思います。ですが、心がけるだけでも行動と発想は変わるんですね。さらに、人の忠告を聞ける素直な性格だったのも大きいですね」

エピソード3 高スペックMBA男性が独身だった理由

 41歳で年収1500万円。日本の大学を卒業後、名門ハーバード大学に留学してMBAを取得したDさん。容姿もいいし、コミュ力だって悪くない。

 「これは有望株!」との鎌田さんの見込みにたがわず、登録女性Eさんとのお見合いはトントン拍子に進み、出会って1か月後にプロポーズ、めでたく結婚と相成った。鎌田さんの結婚相談所でも記録に残るスピード成婚だったそう。Dさんは年齢こそ中年だが、年収もバッチリ。そもそも結婚相談所なんて必要もないように思えるが……。

高スペックで容姿もいいDさんが結婚できなかったのは…… イラスト/サトウヨーコ

「高スペックで容姿もいいDさんが結婚できなかったのは不思議でした。後日、Eさんからの打ち明け話で納得しました。Eさんいわく、初めてキスしたときに歯がガチッと当たり、キス自体も信じられないほどヘタだったそう。Dさんは恋愛経験が皆無だったんですね。

 そして、どこに何を入れたらいいのかエッチの仕方も知らなかった。自分に自信が持てず、女性と交際することにためらいがあったのかもしれませんね。にもかかわらず交際を決断して、彼女もそんな彼を受け入れた。今はとても幸せにやっています。決断が結婚にどれほど大切か、実例のようなカップルだと思います

(取材・文/千羽ひとみ)

奥田祥子先生
近畿大学教授・ジャーナリスト。博士(政策・メディア)。元新聞記者。2000年代初頭、男性の非婚化の深層に迫った「結婚できない男たち」を雑誌に発表し、話題を呼ぶ。『夫婦幻想』『「女性活躍」に翻弄される人びと』『男性漂流』ほか著書多数。
鎌田れいさん
仲人・婚活ライター。雑誌や書籍でライターをしていた経験から婚活事業に興味を持ち、婚活ナビや結婚相談などで幅広く活躍。自らのお見合い経験を生かし、結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトは『最短結婚ナビ』