マネージャーと当面のスケジュールを打ち合わせ。 撮影/佐藤靖彦

 イヤミな上司役などが話題となり、今では名バイプレーヤーとして数々の作品に引っ張りだこの木下ほうか。どこか強面な印象もあるが、その素顔は意外や多趣味!? 仕事からプライベートまで、彼の知られざる一面を密着取材で大公開!

NGとか出してられません

 密着のスタートは、NHKドラマ10『ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~』(NHK総合)の現場から。昨年初秋のまだ暑いさなか、ちょうど昼時の控室で、出番を待ちながらテレビモニターで収録中の映像をチェック。

「こうやって楽屋ではモニターをまじまじと見てしまうけど、自分も逆に(収録中)出演者さんに見られていると思うと、ものすごく恥ずかしいんですよ。NGとか出してられません。いや、出すけどね(笑)

 木下ほうかといえば、『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ系)の“イヤミ課長”で大ブレイク。

 2014年に話題となった連ドラ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)での意地悪な夫役でも注目を集めたこともあって、“いけず”なイメージを思い浮かべる人も多いかもしれないが、そればかりではない。

 その演技力は昔から定評があり、個性あふれる存在感も相まって幅広い役を演じ分け、名バイプレーヤーとして重宝され続けてきたのだ

藤井隆さんと撮影中の“ほっこり担当”に

 現在はドラマ『アライブ がん専門医のカルテ』(フジテレビ系 木曜22時〜)に出演、重要なポジションである腫瘍内科部長・阿久津晃を演じている。撮影現場におじゃましてみたら、ブツブツ言いながら廊下を歩いていた。“ほうかさん!”と声をかけてみると、

ジャマせんといて。今、役に没頭してるんだから」と、険しい表情を見せたかと思いきや、「というのは冗談で(笑)」と微笑み、こう続けた。

「医療ドラマは専門用語が頻発するから緊張感が漂いがちなんだけど、この作品では僕と藤井隆さんが緩和する役となろうと。ふとほっこりする場面を作ろうと、彼と作戦会議してます

木下は大学卒業後、最初に入団したのが吉本新喜劇。「藤井くんとは重なっていないけど、知り合いではあります」 撮影/佐藤靖彦

 この冬は他ドラマの出演や映画の公開も控えている木下。多忙な毎日のリフレッシュ法は、バイク仲間であるお笑い芸人とのツーリングや、最近始めた“サバゲー”

あともうひとつの生きがいが、去年から始めたキックボクシングです。毎週、俳優仲間と集まって区民会館でやってるんですけど、大学のとき、空手部だったから身体が覚えていて年齢のわりには動けてます」

 練習後は“打ち上げ”と称して飲みながら交流を深める。

「僕は10代でそこそこ不良でしたけど、ほぼ見かけだけで、25歳まで酒もタバコもせえへんかった。今はお酒飲んで、みんなで演技論とか恋愛論とかするのも楽しい。結婚? 僕は結婚したら絶対に離婚したくないから、慎重です。そのへんの話になると、後輩たちに論破されることになるんやけど

 独特な話しっぷりである“ほうか節”は、どこか落ち着く。それが人気のひとつなのだろう。

「まあ、またぜひ取材しに来てくださいな」

 最後に手を振ると、後輩たちと談笑しながら駅に消えていった木下。またその素顔を、のぞき見したくなる──。

仕事にプライベートに密着2か月!

WORK編

●ドラマ『アライブ』で、主演の松下奈緒さんとは共演3回目。同じくメインキャストを演じる木村佳乃さんとは、映画で共演したことを機に、親しくしているそう。

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

●『ミス・ジコチョー』の収録前のメイク。「ほんの少しマッサージをしてもらえるだけで、顔のすっきり感が違うねん。気持ちいいです〜。でも、変な顔は撮らないでくださいね(笑)」

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

●現場マネージャーと台本やスケジュールのチェック。「『アライブ』は、『昼顔』でも一緒だった高野舞さんが監督を務めるので、それも楽しみ」

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

衣装姿で昼食をとる阿久津部長

●廊下ですれ違うスタッフみんなにも声をかける。「スタッフがいての僕ですから」

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

●ランチ中
お昼休憩は、フジテレビ湾岸スタジオの社員食堂でランチ。「若鶏の照焼定食」をチョイス、税込みでなんと500円。これにタバスコをめちゃくちゃかける! 「辛いのが大好きなんで」

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

●楽屋で発見!
2018年に務めた伏見警察署の1日警察署長。“STOP!暴力!! はい、論破!!”という文字がプリントされたクリアファイルと手帳を今でも使用。

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

仕事終わりにキックボクシング!

PRIVATE編

●仕事終わりで、区民会館の貸しフロアへ到着。区民であれば無料で使える貸し会議室などを利用して、俳優たちがキックボクシングの練習を2時間行う。この日も仕事終わりで18時半入り。

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

1か月半前に左足のふくらはぎを壊し、肉離れ中。なのに、このフォーム! 「学生以来、キックボクシングを再開して3か月目にケガ。運動神経伸び盛りなのに、ずっと休んでるわけにいかんから」

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

●ストレッチ→筋トレ→基本フォーム→型→ストレッチで、本格的な練習を2時間。この日の参加人数は13人。登録者数60人の中、「今日は少ないほうです。しかも女子がゼロ。いつもはカワイイ女優さんとかいるんですけど……

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

あなたたち親衛隊の意味、知ってる?

●キックボクシングの練習のあとは仲間たちと交流会でカンパーイ!

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

●俳優たちとの雑談で、木下が10代のころにやっていたアイドルの親衛隊(石野真子、松田聖子)の話に。「あなたたち親衛隊の意味、知ってる? 追っかけじゃないの、守るの。だから強面なの

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

●お疲れさまでした〜! 礼儀正しく挨拶をして、終電に間に合うように地下鉄へ。「たまに2次会もやりますけど(笑)」

木下ほうか 撮影/佐藤靖彦

(取材・文/いくしままき)


●Profile●
きのした・ほうか 1964年1月24 日生まれ、大阪府出身。俳優、映画監督、プロデューサー。16歳のときに映画『ガキ帝国』でデビュー、これまで数々のドラマや映画で活躍。ドラマ『田園ボーイズ』(テレビ神奈川、TOKYOMXほか)にも出演中。映画『嘘八百 京町ロワイヤル』が1月31日に公開。