新型コロナウイルスと共存する、衣食住とは

「新型コロナウイルスのような死亡率が高くないウイルスは、広がりやすい。2009年に流行した新型インフルエンザも、免疫がある人が増え、すでに普通のインフルとなっています。新コロナもおそらくそうなりそうなので、“共存”していく覚悟が必要ですね」

 そう解説するのは、感染症を専門にする東京・品川の「KARADA内科クリニック」の佐藤昭裕院長。

コンタクトよりメガネ

 神奈川県で80代の女性が国内で初めて亡くなり、各地のタクシー運転手の感染も確認され、中国・武漢発のウイルスによる肺炎の発症者は広がるばかり。“気温が上がる春には終息に向かう”ともいわれているけれど、それまでどう過ごせば?

 手洗い、うがい、マスクは必要な商品の売り切れが続いているし、専門家の説明も微妙に違う。それ以外に注意したいポイントを、あらゆる面からアドバイスしてもらった。まずは、「衣」から。

「セーターのような頭からかぶるものは、着脱のときに付着したウイルスが顔や口に当たる可能性が。アウターや革製品の服はなかなか洗えないので、玄関干しにして乾かしたり、天日干しにするのがいいでしょう」(佐藤院長)

 汚れやすい手袋もこまめに洗うことが必要だ。

 目が悪い人も要注意。

「コンタクトレンズより、メガネがいい。メガネなら(ウイルスが付着した)手が目の粘膜に触れないし、くしゃみ、咳によるつばや唾液などの飛沫も防げますからね。同様に、ピアスなどの宝飾品も手に触れるので、なるべく避けたほうがいいでしょう」(同)

 それほど難しいことではないので、ぜひ心がけたいもの。

 次に「食」。管理栄養士で栄養サポート研究所「NS Labo」主宰の岡田明子さんは、ウイルスに感染しない免疫力アップのためには、腸を元気にして、繊維とビタミンをとることが大切とアドバイスする。

腸には乳酸菌を多く含む発酵食品に効果があり、みそ、納豆、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルトなどがいいでしょう。食物繊維は便秘予防や、善玉菌が腸内にすみやすい環境作りに適しています。野菜や海藻などに含まれていて、玄米や具だくさんの汁、豆類もおすすめです」

 ビタミンはA・C・E(エース)の摂取を意識したい。

「粘膜を菌から守るビタミンA(β-カロテン)が豊富なのはほうれん草バター炒め、焼き鳥レバー。小松菜はビタミンCやEも豊富です。白血球を活発にするCは、生野菜やフルーツ。それにブロッコリーです。血流をよくし老化を防ぐEは、カボチャの天ぷら、アボカドサラダ、はまちの刺身などに多く含まれます」(岡田さん)

 マイタケも食物繊維が豊富に含まれ、インフルエンザウイルスの増殖を抑えたという研究結果も出ているそう。

うがいより睡眠が大事

「ウイルスは湿度20%で最も活発化するため、できれば加湿器を40~50%に設定したほうがいいでしょう」

 と「住」についての説明をするのは前出の佐藤院長。トイレを介して感染という可能性もあるらしい。

「ウイルスは便にも紛れ込んでいるので、トイレで便を流す際には飛散を防ぐために、ふたを閉めてから流すのがいいでしょう」

 さらに、集合住宅に住んでいる人は油断できない。

「マンションのような集合住宅は共有スペースが多いので、感染のリスクは高まります。一戸建てに比べ、密閉されていることが多いので、窓を開けたり、換気扇を回すことを意識したほうがいいです」(同)

 人が密集しているところといえば、コンサート、スポーツ観戦や習い事も、この時期は控えたほうがいいようだ。

 なかでも佐藤院長がいちばん重要と考えるものは、

免疫力が低下するのが最も危険なので、私は睡眠がうがいよりも大事だと思っています。睡眠時間が2~8%不足するだけで、風邪に5倍かかりやすいというデータもあります。そのためには、残業は避け、睡眠が浅くなる飲酒も控えたほうがベター。肺炎リスクのあるタバコも、もちろんやめたほうがいいですよ」

 未知のウイルスをコントロールできるまでは、ある程度のガマンも必要になる。家事に育児に仕事に忙しく、ストレスをためて不摂生な生活になることは避けたい。