『新しい地図』の3人

 2月19日と20日に、大阪で木村拓哉のソロコンサートが行われた。

「2月8日の東京公演から始まった初のソロツアーです。1月8日に発売したソロアルバム『Gо with the Flоw』を引っさげたもの。アルバムに収録されている曲が中心でしたが、過去に出演したドラマの主題歌や『SHAKE』や『夜空ノムコウ』など、SMAP時代の曲も歌いました」(スポーツ紙記者)

 念願のステージは大成功に終わったが、'16年の解散以降、誰も歌わなかったグループの曲をひとりだけ歌ったことに対して、ファンから批判が相次いでいる。

SMAPの曲はファンの間で“5人のもの”というイメージが強いんです。それを歌ったことで、インターネット上では《新しい地図の3人や中居クンの曲でもあるのに、ひとりだけ歌うのはひどい》など、辛辣な声があがっています」(同・スポーツ紙記者)

『JASRAC』に使用料を払えば……

 SMAPが解散し、ジャニーズ事務所に残留した中居正広と木村拓哉に対して、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人は'17年9月に退所した。

「これまで、彼らはファンの前で自分たちの曲を披露することはありましたが、SMAPの曲を歌ったことはありませんでした。そのため、ファンの間では《3人が歌わないのはジャニーズ事務所が許可しないからでは?》という声があがっています」(レコード会社関係者)

 たしかに、著作権に守られた楽曲を許可なく歌うことは難しそう。しかし、取材を進めていくと意外な声が聞こえてきた。

事務所の許可を取らなくても、SMAPの曲は歌えますよ。ライブで1~2曲歌う程度なら、音楽の著作権を管理する『JASRAC』に新しい地図サイドが曲の使用料を払うなど、手続きを踏めば歌うことはできます」(別のレコード会社関係者)

『弁護士法人・響』の坂口香澄弁護士も、香取たちがSMAPの曲を歌う際に、古巣の事務所に許可を得る必要はないと話す。

ライブやCDで歌う際も、JASRACに楽曲の使用料を払えば、著作権法上問題なく歌えます。ただ、作詞された歌詞を変えて歌うなど、もともとの曲をアレンジして使う場合は、翻案権や著作者人格権にあたるため、ジャニーズ出版や作詞・作曲者の許可が必要になります

 法律上、自由に歌えるのであれば、香取たちも木村のようにライブで『夜空ノムコウ』を歌えるということだ。では、なぜ彼らはいまだに歌わないのか。実は、法律でないところでこんな“制約”がある可能性が。

「ご指摘のような契約はございません」

3人がジャニーズ事務所を退所する際に、事務所や当時所属していたレコード会社と個別の契約を結んでいる場合はその内容に従わなければなりません。また、ライブで歌った音源を収録する場合、レコード会社との関係が問題になります。以前所属していたレコード会社と結んでいた契約に拘束されている可能性があります」(坂口弁護士)

 通常、アーティストがレコード会社と契約する場合、専属実演家契約(録音契約)という、ほかのレコード会社などに録音させないかわりに、自社でCDの作成やプロモーションをする契約を結ぶという。個々の契約によって多少内容は異なるが、その中にこんな取り決めがある場合が。

“本契約終了後〇年間、プロダクションは、アーティストとして本契約に基づいて実演した著作物と同一の著作物について、レコーディング会社以外の第三者が行うレコーディングのための実演を行わせないものとする”といった保証条項が入っていることが多いです。この期間は3年くらいが一般的です」(坂口弁護士)

 つまり、そうした契約を結んでいたら、契約終了から数年はSMAPの曲を歌えないということだ。独立してから1度もファンの前で歌わないのは、やはり契約上の問題なのだろうか。以前所属していたレコード会社とジャニーズ事務所に問い合わせたところ、ともに、

個別の契約条件についてお答えすることはできませんが、ご指摘のような契約はございません」とのことだった。

 結んでいないということは、申請さえすれば彼らを阻むものは何もないということ。

 JASRACに3人がコンサートで歌う際の手続きについて問い合わせたところ、こんな回答があった。

JASRACが管理する音楽著作物の利用につきましては、著作者の人格権を侵害する方法で利用しようとしたり著作者の名誉や声望を害する方法で利用しようという場合を除けば、所定の許諾手続きを得ていただければ、どなたでもご利用できます。コンサートの場合は、主催者に楽曲の演奏利用の許諾手続きを得て、開催日の5日前までに演奏利用の申し込みをして、使用料をお支払いいただきます。ご利用される楽曲数に制限はありません」(広報部)

 やっぱり今後3人がライブでSMAPの曲を歌ってくれるのではという期待がどうしても高まってしまう。待ちわびた“歓喜の瞬間”は、近いうちに訪れる!?