'02年の公開以来、第3作までシリーズ化されている嵐の5人が出演する映画『ピカ☆ンチ』。実は、デビュー20周年を迎えた昨年に4作目を作ろうとしていたのだが、撮影は中止に。なぜビッグプロジェクトは頓挫してしまったのか―。

 今年でグループでの活動を休止する嵐。ラストイヤーとなる'20年は、4月に行われる予定だった中国公演が新型コロナウイルスの影響で中止になるなど、不運に見舞われている。そんな彼らやファンをさらに悲しませる出来事が。

「5人が出演する映画『ピカ☆ンチ』シリーズの4作目が作られることになっていたのが、ひそかに撮影中止になっていたんです。今のところ、撮影のめどは立っていないそうです……」(映画配給会社関係者)

『ピカ☆ンチ』は嵐のメンバー全員が出演する映画で、'02年に第1作『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』が公開された。

映画は5人の夢だった

「東京・品川の八塩団地で暮らす高校生5人組の、家庭や学校生活、恋愛模様を描いた青春物語です。主人公の相葉雅紀さんは平凡な青年、二宮和也さんは無口だけど仲間思いの情熱家、松本潤さんは少し天然なお金持ち、櫻井翔さんはバイクを乗り回す不良、大野智さんはかわいいけど運の悪い男を演じました。監督は堤幸彦さんが務めています」(映画ライター)

 それぞれのキャラが立ち、仲のいい様子が実際の5人を思わせるとファンから好評で、デビュー5周年の'04年に第2作『ピカ☆☆ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』、15周年の’14年に第3作『ピカ☆★☆ンチ LIFE IS HARD たぶんHAPPY』が公開された。

「第1作は当時のジャニーズ事務所が買い取ったばかりの『東京グローブ座』での単館上映。収容人数は500人程度と小規模でしたが、全員で映画に出ることは5人の夢だったので、大喜びだったそうですよ」(芸能プロ関係者)

 まだデビューして間もない駆け出しのころだったためか、いまでは考えられないこんなファンサービスも。

映画のチケットセンターに電話すると、メンバーによる肉声のメッセージが日替わりで聴けたんです。たまに“俺、明日映画見に行こうかな”といった言葉も流れ、実際その日に劇場に行くと、スケジュールの空いているメンバーが舞台挨拶をすることもありましたよ」(同・芸能プロ関係者)

プロジェクト頓挫の舞台裏

 一方、5人がすっかり人気者になった第3作のロケ現場では、異常事態に見舞われた。

都内の団地で撮影が行われ、“見学お断り”の看板があったのにもかかわらず、200人ほどのやじ馬が集合。現場はパニック状態だったそうです。嵐がロケをしているという情報がSNSなどで拡散され、多くの人が集まってしまったんです。

 注意するスタッフの呼びかけを無視して“がんばって~”“大好き!”という黄色い声援が鳴りやまなかったそうです」(製作会社関係者)

’14年のロケでは二宮以外のメンバーが撮影に参加

 多くのファンに愛されてきた映画なので、4作目が企画されたのは自然な流れだろう。

 本誌も'17年に、アニバーサリーイヤーのビッグプロジェクトのひとつとして続編を作る計画が進んでいることを報じていた。

「'17年から'18年にかけて撮影や編集を行い、嵐がデビュー20周年を迎える'19年に公開するというスケジュールでした。ネット上では、待望の続編が決まったと喜ぶ声があがっていましたよ」(前出・芸能プロ関係者)

 それから3年たっても映画の公開どころか撮影するという発表もないが、計画は水面下で進んでいたらしい。

「スケジュールに変更があり、'19年に撮影して今年の初めに公開する予定で準備が進められていました。これまでどおり堤幸彦監督を中心とした同じ製作チームで、着々と撮影に向けて動いていたそうです。しかし、昨年の初めに突然、中止になってしまったんです」(前出・映画配給会社関係者)

 プロジェクトが頓挫したのには、こんな舞台裏が。

「ジャニーズ事務所から、 “4月から始まるアニバーサリーツアーで、5人のスケジュールを調整するのが難しいから撮影を延期してもらえないか”という要請があったそうです。追い打ちをかけるように、1月末には嵐が'20年末で活動を休止すると発表しました。

 その後、事務所からはいつ撮影するかといったことについての連絡はなく、関係者の間では“もう撮影をするのは難しいのでは?”という声が出ているそうですよ」(同・映画配給会社関係者)

 当初予定していた撮影期間中に、活動休止が決まったことは何よりの痛手だった。

「'20年末までというリミットが設定されたことで、ただでさえ多忙で調整が難しかった5人のスケジュールに余裕がなくなりました。先の見通しがつかなくなり、製作を断念せざるをえなくなってしまったのでしょう」(前出・芸能プロ関係者)

 現段階で撮影できていないとなると、公開は絶望的だ。

「大野さん以外の4人は来年からも個別に活動を続けますが、彼は個人での活動も休止します。嵐には“ひとりが嫌だと思ったことはしない”というルールがあるので、彼の思いが変わらなければ来年以降に映画を撮ることはできません。そうなると、4作目はこのまま幻になってしまう可能性もあります」(同・芸能プロ関係者)

“ハーフ”ではなく正式な続編

 製作側にはどのように話が伝わっていたのだろうか。’14年の『ピカ☆ンチ』第3作で監督を務めた、演出家の木村ひさし氏に話を聞いた。

─4作目のオファーは来ていましたか?

「僕のところには来ていないので詳しいことはわかりません。そういう話があるのであれば、堤幸彦さんのところにオファーがあると思いますよ。4作目の話があったのであれば、僕の前で止まっているのではないでしょうか」

─20周年ツアーで5人のスケジュールが合わず、撮影中止になったと聞いています。

「僕にオファーは来ていないのでわかりませんが、話だけ聞くとそういうことはありえそうですね」

─4作目を製作しようという話はありましたか?

「具体的には聞いたことはありません。ただ、僕が担当した作品は正確には第3作ではなく、『ピカンチ・ハーフ』という2.5作目という位置づけでした。なので、いずれ正式な第3作をやりたいのではないかと漠然と思ったことはありましたね」

 4作目の撮影が頓挫したことについて、ジャニーズ事務所に問い合わせたが、期日までに回答はなかった。

 第3作は5人の発案で製作が決まったという。ファンの願いをかなえる奇跡の撮影再開はあるのだろうか。